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STORY ~白銀の物語~  作者: 黒羽カウンター
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vsキメラ4

「いいんですか?学院長殿。このまま見ているだけで。援護射撃した方が…」


 王都の外壁の上に集まる魔道士達は戸惑っていた。自分達の魔法ではブラックワイバーンを倒せなかったにしても援護することくらいは出来る。ましてやあんな子供達が戦っているのに見ている訳にはいかない。だがそこにやってきた学院長に止められていた。


「構いませんよ。彼等は自身の手でどうにかします。……窮地は時に、人の纏う殻を無理矢理破壊する起爆剤になる。今日は面白い物が見れるかもしれません」

____________________


「ショウ、起きろ!!起きないと死ぬぞ!!」


 先程まで宙に浮いていた魔剣が落ち、気を失ったショウにライガが叫ぶ。

 倒れたショウにとどめを刺そうとキメラが蟹の鋏をハンマーのように振り下ろす。


「させない!」


 ローウェルが鋏を剣で受けると足下の地面が陥没する。そのローウェルの横っ腹に拳が叩き込まれ、殴り飛ばされる。


「ガルゥゥ…」


 邪魔者を排し、残るは地に付す獲物のみ。再び鋏を振り上げた時だった。


「ガァ?!!」


 ショウの体から強烈な光が放たれた。


「悪いな、少し寝ていたよ。もう目は覚めた。この第二ラウンドで決着をつけるぞ」


 光が徐々に収まっていき、ショウは白銀の鎧を纏っていた。両手両足に装着された鎧、体を覆うのは王国騎士が着ているような重装ではなく、胸元と腰周りだけを覆うようなもの。

 動揺していたキメラが我にかえり、大鋏を振り下ろす。


「ガゥ…?」


 鋏の下には何もおらず、後ろには魔剣を構えたショウの姿があった。


「魔力が溢れそうだ…これまで以上の魔力で満たされてる」


 風と雷を纏い加速するショウだが、その姿を背中に現れた目玉達が捕らえる。加速し続けたローウェルの動きを捉える程の動体視力ならばショウの動きは止まってる様にすら見えるだろう。だがその目から放たれるレーザーがショウの体を貫く事はなかった。


「これが【騎士形態(ナイトフレーム)白銀騎士(シルバーナイト)】の力…」


 ショウの体に当たったレーザーはその効力を発揮することなく消えていった。レーザーを気に留めることなく突き進む。


『【白銀騎士(シルバーナイト)】は装着してる間、使用者が拒む力を無力化する。ショウの体の毒も無毒化されてるよ。それに使用者の身体能力も強化してくれる。それでも元々あった力の差が縮まっただけで相手の方がまだまだ上、後は自力でどうにかするしかないよ』


 イブがこの力について教えてくれる。実際、相手の方が能力的にはまだ強い。

 キメラが翼を広げて空に飛び上がり、双角に魔力を集める。だがそれが下に放たれる前に片方の角を斬り落とすと集めた魔力が暴発し頭が吹き飛ぶ。


(強化はされてるけど、魔力の消耗も激しい…長期戦は出来ないな)


 空中でも素早く、縦横無尽に飛び交い触手や腕で襲いかかるキメラに防戦一方。


(速さすら相手の方が上、なら…)


 ショウが足を止めた。そしてショウの魔力がこれまで以上に高まる。風の魔剣(ハヤテ)の刃だけを空間収納に納め、柄を握った状態で静止する。迫る触手達を他の魔剣で斬り落としていき、伸びてきた拳すら刀を交差して斬り落とされると、埒が明かないと言わんばかりにキメラが突撃してくる。


「変幻流は空間を鞘へと変える。変幻流抜刀術…」


 キメラが両断しようと伸ばした大鋏に向けて、異空間に納められた刃が抜き放たれる。


空断ち(からだち)ッ!!!」


 突風を思わせるような刃は迫ってきた大鋏を腕ごと両断し、胸元の核ごと上半身を切り離した。


(もう一つも直ぐに斬らなくちゃ…!)


 居合いの勢いを残したまま馬の方の核を斬ろうとすると、いくつもの触手を重ね、核を守ろうとする。


(この触手を斬ってる間に核が再生してしまう…)


 切り離された上半身の獅子が勝ち誇った様に笑みを浮かべる。


「お前は負けている。試合にも、勝負にもな!」


 その場の全ての者が、空へと駆け上がる閃光を見た。


見上げるは星の輝き(サテライトシャイン)!」


 その輝きはキメラの2つめの核を切り裂き、キメラは驚愕の表情を浮かべながらも核を失ったからか、原型を留められず溶けて大地へと落ちていった。


「格下と見たショウ君に斬られ、まだあると思った命も、私に斬られた。お前の負けだ」


 地上からは歓声が轟く。全てのモンスターが討伐され、スタンピードは終結した。


「助かりましたよ、あのままだとまた再生されてました」

「ショウ君があれの気を引き付け、核を破壊してくれたから出来た事だ。最初は退けといったが、君がいなければ勝てなかったかもしれない。…そういえば名乗ってすらいなかったな、このローウェル・ベルマック、皆を代表して礼を言うよ」


 地上に降り、ローウェルと握手を躱す。


「ところで君は、ポール・シュヴァルツという人を知ってるかい?」

「それは俺の父ですが…」

「やはりか……君はどことなく、父親に似ているな」


『ギリ間に合ったか?安心しろ坊主、このくらいのモンスターならすぐに倒してやるよ!』

『良かったな坊主、助かってよ。あ、俺は通りすがりの旅人だ、怪しいもんじゃないぜ?』

『近くの村まで護衛する事になったわ。いや〜飯も用意してくれるらしくて本当に助かるわ!最近モンスターの肉を焼いて食うだけの日々だったからな!』

『ん?俺の名前か?そういや言ってなかったな。俺はポール、ポール・シュヴァルツだ。よろしくな、坊主!』


 かつての憧憬を思い出す。


「そうですか?…そうなら嬉しいですね!」

(彼の親族に再び助けられるとは……僕もまだまだだな…)

「さぁ、凱旋といこうか。僕…私達の帰りと朗報を待ちわびているだろうさ」

「あ、俺は仲間の様子を見てきますね。あいつらのお陰でキメラに集中して戦えたんですから」


 そういってライガ達のところへ走っていった。

騎士形態ナイトフレーム白銀騎士シルバーナイト

銀色の鎧を纏い、身体能力を強化する。鎧を纏っている間、魔法や気などの攻撃を無力化、軽減する。元々かかっていた毒や呪いなども無効化できる。

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