魔力測定
今回で試験終了になります。
「これから魔力量を測り、それで試験は終了となります。測定はこの装置に触れればいいだけですのでそう時間はかかりません」
装置の見た目は土台に石版が取り付けられているだけのシンプルな見た目をしている。それよりもその後ろにある巨大な水晶に目が行く。
「こちらの水晶は測定した魔力量によって色が変わります。傍から見てもわかりやすいようにといういわば演出ですね。詳しい数値は装置に出ますので私はいらないと思いますが」
なかなか辛辣な試験官だった。
「色は1,000以下が紫、2,500以下が藍、5,000以下が青、10,000以下が緑、25,000以下が黄、50,000以下が橙、100,000以下が赤となります。それ以上は出る事はないでしょうし説明は省きます。出た時のお楽しみとでも思ってください」
「100,000超えるなんて最上級生クラスじゃないか?」
「50,000超えることだって珍しいらしいしね」
「でもアッシュ様ならいけるんじゃないか?見れる機会あるかもしれねえ!」
「マジ期待上がりすぎてヤバいんだけど!それ見れたら今後もうまく行きそーな感じしてくる~!」
「というか、自分の魔力量を気にしろよ……」
「私、紫かも……」
「俺が100,000超えすればいいんじゃね?」
「どっからその自信来るんだお前……」
「俺に秘められた才能が今明かされるかもしれないだろ!」
それぞれ意気込みを口にしているが、大半が緑まで、それ以上は黄が数人いるかどうかくらいなものだった。そしてショウの番が回ってきた。
「俺の番か」
魔力を石版に込めると、水晶が強く輝いた。その色は……
「――白か。これが100,000超えの色なのか?」
「確かにそうですが……まさかこの色を見ることになるとは思いませんでしたね。数値は……150,000!?」
その場は騒然としていたが、ショウとイブからしたら既に知っていた結果であり、驚くことでもなかった。その後に控えていたアッシュには物凄い形相で睨まれたが気にも止めずにその場を後にした。
「それではこれで試験は以上になります!恐らくは明日辺りにでも合否のメッセージが受験票にて伝えられるのでちゃんとお持ち下さいね!それではご入学お待ちしております!」
「ありがとう、お姉さん。それではまた!」
『随分快活なお姉さんだったな』
『耳が痛い……』
『それにしても赤の上は白なんだな』
『白は何色にも染まる可能性の色だからね。今後に期待を込めての色なんじゃない?』
『そうなのかもな…明日の合否に期待しておこう』
『間違いなく合格だと思うけどね』
因みにアッシュの魔力は95,000の赤、白まで後1歩届かなかった。
「今年は測定器で白が数人出たとの報告がありましたよ。今年は豊作ですね、学院長」
「そうですね、副学院長。彼らの更なる向上、これからの活躍が楽しみでなりません」
(白は見えぬ未来の色。彼らがどういう色に染まるか……黒く染まる事だけは阻止したいものですね)
期待と不安を胸に秘め、副学院長との会話を続ける学院長だった。
毎年赤が一人いればいい方と考えたら今年とんでもない豊作では?