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STORY ~白銀の物語~  作者: 黒羽カウンター
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王都へ

「今頃王都はどうなってるだろうなぁ?」


 ロイドの顔が歪み、焦りの表情が浮かぶ。


「早く戻らないと不味いな…」


 状況が飲み込めていないショウ達にイブが説明する。


「スタンピードがもう起こってるってことだよ」

「「「「!!」」」」

「スタンピードはダンジョンで起こるんじゃないのかよ!?」

「そう、だから王都の近くに把握していないダンジョンがあるんじゃないかな?上位の冒険者を既存のダンジョンに差し向けたのなら、未発見のダンジョンに魔力を送ったと思った方がいい。彼らが魔力を送った先が未発見のダンジョンなら、モンスターがダンジョンから溢れない程度に管理しているだろうね。そこに魔力を送ってダンジョンを活性化させてモンスターの量を増やせばダンジョンからモンスターが溢れる。そのモンスター達を王都に向かうように誘導出来るなら人為的にスタンピードを起こす事ができる。そして恐らく、それを本当に実行したんだよ。」

「もうスタンピードを起こしちまったんなら、お前と話してる場合じゃねえな!」


 ロイドが斬りかかるが、刃が届く前にスキンヘッドの男の腕が水蒸気になり、白衣の男を包むとその場から消えてしまった。


「瞬間移動か?…逃げられたか」

『もしもーし、聴こえてるかなぁ?』

「どこだっ!?」


 音源は魔力吸収装置だった。通信で話しかけてきている。


『これから王都に救援に向かうだろうお前らにちょっとしたサプライズをしようと思ってなぁ?』


 直後、その場は装置から放たれた強烈な光に包まれた。

 この日、ダムダ炭坑は大爆発により崩落し、人の立ち入る事の出来ない場所となった。


「ったく…俺じゃなけりゃ生き埋めだったぞ、俺をここに送ったのは正解だったな…」


 地表が割れ、地上へと飛び出すロイド。その下からはショウと気絶しているライガ達を運び出す神霊達がついてきていた。


「流石です、助かりました!」


 装置が爆発した時、爆風を斬りはしたものの、その衝撃で炭坑内が崩落し、生き埋めになる寸前の所で、ロイドが地上まで岩盤を斬って道をつくりながら駆け上がって来たのだ。


「代わりに魔力も気も殆ど残ってねーし、疲労感も半端ないがな。歳はとりたくねえもんだな…」

(急いで王都に戻らなきゃなんねーってのにあのハゲ、余計な事していきやがって…)

「それじゃあ先に向かいます」

「お前も魔力吸収されて魔力は残ってねえんじゃないのか?」

「今魔法で飛んでいたじゃないですか。魔力ならある程度は回復してますし、向かう最中でも十分回復できますから」

「ははっ、お前の魔力回復速度は異常だな」

「俺は魔力が無くても向かいますけどね」


 そう言って駆けていくショウの姿を見送るロイド。


「どっちに似たんだかな」

(両方共か、他人の為に生きて死に急ぐのは…)

「あれ…爆発は…ここどこだ?」

「また地面に転がされてたのか僕は…」

「…耳痛い」


 ライガ達も程なくして目が覚めた。


「ここは地上じゃよ。その男と儂らに感謝しろよ、そ奴が地上までの道を斬り拓いて儂らが運んだんじゃからな」


 ゼウスが状況を説明すると、ショウがいない事に気付く。


「ショウの奴は?!取り残されてないよな?」

「あいつなら先に行ったよ。俺も魔力が戻ったら向かわねえとだ」

「あいつはいつも俺達の先を行くな…」


 魔力を奪われて何も出来ず、ただ見ているだけだった自分と、結界を斬り、装置を止めさせたショウを思い返す。

 ガンッ!と鈍い音がなる。


「いっ…てぇな!何すんだよジジイ!!」

「しょぼくれとる場合かっ!今非常事態じゃぞ、とっとと王都に向かわんかい!それともお主は友を一人で死地に向かわせるのか?」

「いや、でも魔力も残ってねえし…」


 直後、ライガ達の魔力が急激に回復する。


「な、なんだこれ?!こんな事できたのかよ!」

「非常事態じゃからな。滅多に儂らもこんな事はせん。それで、他に行かん理由はあるか?」

「さっさと立ちなよ、ライガ。あの場で何の役にも立てなかったのは皆同じだろ。この場で座り込んでても君、ダサいだけだよ?」


 レイが服に着いた土をはたき落としながら立ち上がる。


「ロウダスはもう行っちゃったしね」


 レイの指の先にはもう既に走り出してるロウダスの姿があった。


「あっ!置いていくなよこの!行くに決まってるだろぉ!」


 走っていくライガ達を見送り、その場に倒れ込むロイド。


「あの野郎、毒なんて仕込みやがって。魔力吸われて多少調子が落ちたと言っても掠めるとか…やっぱ歳はとりたくねえな~」


 スキンヘッドの男が投げた釘に塗られた毒が体に回っていた。常人なら十分死に至る猛毒だが、戦場で何度も毒を受けたからか、毒に耐性を持っていた為に死にはしなかったものの無事とはいかなかった。


「王都はあいつが大丈夫っていうんだから大丈夫なんだろうけど…とりあえず歩くか」


 その場に立ち上がると、ゆっくり歩いていった。

(語り部)

「毒受けながら戦って、地上まで岩盤斬りながら駆け上がって来るって凄いよね。因みに万全ならスキンヘッドの男は既に体がバラバラになってたかもしれないけれど、たらればに意味なんてないよね。それでも言うんだけどさ」

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