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STORY ~白銀の物語~  作者: 黒羽カウンター
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防衛開始

 王都に暮らす人々は今日も平和な日常が始まることを疑っていなかった。

 昇る日の光で目を覚ます事を。仕事場で同僚と談笑し、時には上司に叱られながらも仕事を終える事を。夜にはクエスト帰りの冒険者が増え、賑わう酒場で友人と酒を飲み交わし、酔いつぶれてるであろうことを。


「今日も平和ッスね先輩~」

「テメーも戦えや!何が平和じゃボケェ!!」

「しばくぞクソガキッ!!槍構えんかいっ!!」


 ラージボアの突撃を盾で食い止め、槍を突きたてる衛兵達。


「トドメいただき!」


 衛兵の一人がラージボアの脳天に槍で穿つと、ラージボアがその場に倒れる。


「最初からやれやっ!」

「面倒じゃないですか~、先輩達が削ったからこその一撃ッスよー」

「じゃぁかしい!ワシらの負担が大き過ぎるわいっ!」

「まぁいいじゃないですか。王都の外壁までモンスターが来ることなんて滅多にないし、たまには激しい運動しないとじゃないすか」

「トレーニングは怠っとらんわっ!いらん世話じゃあっ!」

「いやぁ~、ほんと平和…」


 その時、王都中に鐘の音が響き渡り、平和の終わりが告げられた。


「な、何の音だ!?」

「これは…」

「伝令ーー!!」

「どうした、なにがあったんじゃ?!」

「外壁の見張りから、王都南部12キロメートル地点にモンスターの大群が出現。王都に向かってきていると報告が!」

「なんだとっ!?」


 王都の外壁の前には衛兵達や街に残っていた冒険者達が集まっていた。


「スタンピードとは…面倒な事になったもんじゃ」

「確認出来たモンスターはイービルボアにロックアント、フォレストウルフ、ダークバイソン、その他Cランク帯が数種、それにワイバーンなどのBランクモンスターも多数。数は200を超えているようですが、まだ増えているそうです」

「そりゃちときつい、ただでさえAランク冒険者パーティはダンジョンの異変調査で出払っておるし、王都の冒険者に呼び掛けてはおるもののそうすぐには集まらん」


 この場には50人程の冒険者と近くにいた衛兵達のみ。他の衛兵達は街の混乱を治めるのに手一杯であり、冒険者も王都に残っていたB、C、Dランクだけである。


「せめて他のギルドマスターが一人でも残っていれば…」


 ギルドマスター達はS級危険指定区域の調査や未開拓領域の探索に殆どが出回っており、唯一残っていたギルド・優雅なる城(プレシャスシャトー)のマスターが結界を張ってモンスターの進行を食い止めているが、どれ程保つかは分からない。


「な~に、心配しなさんな。新進気鋭のBランク冒険者パーティの俺達、竜の牙がモンスター共を蹴散らしてやるよ!」


 張り切る冒険者もいるが、大半の者は目の前の災害に体が震えていた。


「先輩達、俺達生きて帰れるんスかね?俺、さっきから手の震えが止まらなくて…」

「そんなの知るかい!そん時の運次第だ、どんなに強くても死ぬときゃ死ぬし、手が震えようが足が震えようが生きとる事もある。今この場から逃げ出さないだけ衛兵としては上等だわな」

「先輩…」

「それに、頼れる味方も来たようだしよ」


 門からは30人ほどの宮廷騎士が出てきた。宮廷騎士はBランク以上の実力者のみが集う、いわばエリート集団である。


「この門の責任者か、遅れてすまない。市民が混乱していてな」


 衛兵隊長に騎士の鎧を着た少年が話しかける。


「あれが噂の天才剣士、ローウェル・ベルマックか」

「最年少で宮廷騎士副団長になった武芸の天才。実力はSランク冒険者にも劣らないらしいが、どうなんだかな」


 僅か17歳で副団長に任命された少年、短めの金髪、青い瞳、他の騎士と違い軽装の鎧を身に纏い、腰に白い鞘の剣を携えている。


「弓兵が外壁の上からモンスター達を射続けてはいるものの、数は然程減っていない。さらにはどれ程強力なモンスターが現れるかも分からない。各自万全の体勢で臨め、一体でも多くモンスターを討伐しろ。誰かが一体倒す毎に守り抜ける可能性が増していく」


 バリィィィィィィィィンッ!!


 結界を砕かれる音と共に凄まじい咆哮と地響きが轟く。


「結界は壊れた、後ろは護るべき王都、退く道は無い!!目の前の災害を討ち滅ぼす、行くぞっ!!!」


 日常が崩れ去り、王都防衛戦が始まった。

(語り部)

「平和ってふとした事で崩れるものだよね。これの場合、人為的に崩されてるんだけどね。何気に初めて出てきたギルドマスターだけど、活躍が薄そうに見えて王都を上空まで包む超広範囲結界を一人で維持してるのって、実は結構凄いんだよ?」

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