王都到着
狼王森林を出てからは順調だった。その日のうちに村に着き、次の日の昼には王都の門までたどり着けていた。嬉しい誤算はロウダスの作り出した狼の分身にユナを乗せることで移動速度が格段に上がったことである。
ユナを家に送るとお母さんに号泣しながらお礼を言われ続け、少し困るショウ達。
「落ち着きました?」
「……はい、お見苦しい所をお見せしました。この度は本当にありがとうございました。――本当によかった……」
お母さんがまた少し涙ぐむ。
「旅は怖い事もあったけど楽しかった!また行きたい!」
「拉致されたのに元気だよな」
「そろそろ行かないとね。報告もしないと」
「それじゃあユナちゃん、また会おう」
ユナと別れ、学院へと向かう。学院長に虚無感についてやその後安楽の森へと飛ばされた事などを報告すると楽しそうに聞いていた。
「君達は入学早々、色々とやらかしますね。それは結構な事ですが、生きなければ何も為せません。無事で良かったですよ。」
「すみません、深追いが過ぎました。反省はしています。」
「でも同じ事が起きたらまた同じ事をするんでしょう?」
「はい、後悔はないので」
学院長は微笑むだけだった。それから視線がロウダスに向かう。
「それで、そちらの子は?」
「こいつはロウダス、入学させようと思って預かってきた」
「急に来て何を言い出すのかと思ったら…いや、構わないですが」
書類や試験は後日として今日は報告だけで帰ることになった。
「俺は他に用があるから。またな」
「ありがとうございました!また会いましょう」
「僕も帰って無事を伝えないと。それじゃ」
「俺達も帰るか。ロウダス、ショウの家見て驚くなよ!」
「…楽しみだ」
各々の道へと進んでいく。日常へと帰っていく。
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「ロイド様!勝手に入られては困ります!」
「よう、戻ってきたぞ王様」
「王への口調をどうにかしてください!」
「構わないよ、彼に敬語で話される方が怖い」
玉座に座る男こそ、このアヴァンテンド王国の王、ライン・フォン・アヴァンテンド。金髪碧眼の優男といった見た目の若き王だ。
「それで?俺を呼び出した理由は何だ」
「ここだけの話、近々スタンピードが起こると思われる」
日常はそう長く続きそうにない。
(語り部)
「日常って、人によって違うと思うんだ。平和が日常という人もいれば常在戦場という人もいる。危機が来ることが必ずしも非日常とは限らないと思うんだ。スタンピードが日常だなんて、悪夢でしかないけれどね。そもそもスタンピードが何かって?簡単にいえばモンスターの群れによる災害みたいなものかな?……ところで本だけに囲まれた日常ってどう思うかい?僕は割と悪くないと思っているよ」




