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STORY ~白銀の物語~  作者: 黒羽カウンター
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出発

 久しぶりに横になって眠ったショウだったが、元々眠りが浅いのもあってか中途半端な時間に目が覚めた。まだ日は昇っておらず、周りは暗くて見えづらい。


『起きるの早いねショウ。あんな戦いのあとだし、もっとゆっくり寝てればいいのに』


 イブが声に出さずに話しかけてくる。


『早く起きようとしたわけじゃないんだけどな。せっかく早く起きたんだ、鍛錬するか』

『二度寝すればいいのに鍛錬バカだな~』


 小屋の外に出るとフクロウの鳴く声が聞こえてくる。まだ少し肌寒さを感じるが魔力障壁を張っているショウは気にも留めない。


「忘れてたけど結界張り直したんだな」

「そりゃそうでしょ。そうじゃなきゃ落ち着いて寝れもしないよ」

「そりゃそうか」

「眠れないのか?」


 上を向くと屋根の上に座るロウダスの姿があった。


「目が覚めちゃっただけだよ。眠れないのはお前の方だろ」


 事実、フットの部屋から自室に戻った後も眠れず、今の今まで外にいたのだからショウの言葉は正しい。


「そうだな。――母との思い出を思い出していたら寝ようとしても眠れなくてな」


 そのとなりではオネイロスがぐっすり眠っていた。


「そうか。それなら母親の話でも聞かせてくれよ、興味がある。」

「寝ないのか?」

「ロウダスが眠くなったら寝るよ」

「それなら――」


 それから小一時間話し続けていた。話すのが得意ではなく、途切れ途切れではあるが思い出の中の母親を語っていた。


「……流石に眠くなってきたな」

「本来ぐっすり寝てるのが普通だぞ、ライガ達みたいに」


 ライガ達はリビングでぐっすり眠っていた。あれだけの戦闘、傷は治っても流した血は戻らないのだ、疲れないわけがない。


「そうだろうな、流石に寝よう。ショウも明日ここを出るなら早く寝た方がいい」

「……ロウダスは学院に通わないのか?」

「どうした急に」

「学院は色んなことが学べて、色んな奴と会える。まだそんな通ってないけど…きっと面白い場所だ。ロウダスは同い年だから入学できるしさ、ロウダスがいたらもっと面白くなると思う」

「………」

「ロウダスは魔法も使えるし、強い。今度はロウダスとも戦ってみたいな。」

「………」


 ロウダスは少し困惑しているような顔で黙ってしまった。


「ようはさ、ロウダスともっと一緒にいたいんだ。どうだ?」

「……ショウ達となら面白そうだとは思うが……少し考えさせてくれ」

「ああ」


 ロウダスは小屋に戻っていき、ショウは外で素振りをし始めた。


(……寝ないのか?)


 小屋に戻ってこないショウを見てロウダスは小首をかしげた。

____________________


「やはり…俺は行かない」


 翌日、出発する前にロウダスが話しかけてくる。


「王都で住む場所もないし、金もない」

「住む場所なら寮もあるしなんなら俺の家に住めばいい。部屋なら空いてるぞ。金も特待生で入ればいいんじゃないか?ロウダスの実力なら問題無く通るだろ」

「……父を一人にする訳には……」

「私を気にする必要はないよ。ついでにお金もロウダスが思っているよりはあるからね」


 フットがロウダスに袋を渡してくる。


「これは?」

「元々ロイドさんに頼んで連れて行ってもらうつもりだった。ここには無い物をたくさん見てきなさい。そしてたまに帰ってきては話を聞かせてくれ。」


 袋の中には着替えなどの荷物とお金が入っていた。


「いいのか?」

「駄目と言った覚えは無いよ。ロウダスが近くの村に行く度に周りの物や人に目が行くのは知っていたからね、人には苦手意識が勝っていたようだけど」

「……そうか」

「息子のこと、よろしくお願いします」


 ショウ達に向かって頭を下げる。


「はい。息子さん、お預かりします」

「連れて行くの俺だけどな」


 ロイドが割って入ってくる。


「よろしく頼む」

「ああ、これからもよろしくな!」


 一行にロウダスが加わった。


「決まったなら早く行くぞ。今日中にはこの森林抜けて近くの村まで行きたいんだからよ。」

「よし、行くぞロウダス!」

「ああ……父、行ってくる」


 ロウダス達を見送るフット。


『ロウダス、大きくなったわね。育ててくれてありがとう』

「―――!……どういたしまして、といってもお礼を言われることでも無いよ。私達の息子なんだからね。これからも見守っていてくれ、ルウ」


 小屋の傍には墓が1つ、墓にはルウ・ランクロウと刻まれていた。

(語り部)

「そもそもなんでロウダスはどこの学院にも通ってなかったのかって?フットが学院に応募し忘れてたからじゃないかな?もしくは最初は行かせる気が無かったのかもしれない。僕にはわからないね」

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