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STORY ~白銀の物語~  作者: 黒羽カウンター
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vsジェヴォーダン2

「ショウ、大丈夫か!」

「…ああ、問題ない」


 すぐにヒールで傷を癒す。


「本当に便利だな、あの魔剣達」


 ジェヴォーダンの切れた前脚が元に戻り、ライガへと噛みつこうとする。大きさを考えると丸呑みにされてもおかしくない程の巨大な口が目の前まで迫る。


「確かに直線的な動きだらけで冷静に見極めれば避けられなくもねえか」


 ジェヴォーダンの噛みつきをギリギリで躱す。それと同時にジェヴォーダンの閉ざされた口から電気が迸る。


「ヴォアアア!?」

「たっぷりの雷のプレゼントだ、味わいやがれ」


 怯んだジェヴォーダンの横からロウダスが呪いの核を狙う。


擬似猛獣武装(ビーストアームズ)・大鷲」


 腕を青白い鷲の爪に変えて腹を抉ろうとするも飛び上がって躱される。飛び上がったジェヴォーダンの口には膨大な魔力が集められていた。


「避けろロウダスーー!!」

「間に合わな…」


 ジェヴォーダンの口から放たれた息吹は10数mの大きさの大穴を開けた。かなり深く、底が見えない。


「間一髪だったね。かなり深いけど、当たっていたら塵も残らなかっただろうね」


 大穴から少し離れた場所にロウダスを抱えたレイが立っていた。


「すまない…助かった」

「無事だったかロウダス!しっかしあんなもん撃てたのかあいつ、とんでもねえ威力だぞ」

「ジェヴォーダンの息吹、もはやレーザーだったけどあれ1発で大都市1つが吹き飛んだ事もあるって伝承があるくらいだ、あれでも弱体化してるんだろうね」

「あれでか」


 再び魔力が口に集まり始める。


「また撃つ気か!こっちに撃たせるのは不味いって!」


 後ろには小屋がある方向である。


「せめて別の方向向けねえと!」


 ライガが駆け寄り、顎を蹴り上げるとレーザーが上空へと放たれる。上空にあった雲が全て吹き飛ばされてしまった。


「危ねぇ、間に合った…」

「……何か様子がおかしくないかい?」


 ジェヴォーダンは上を向いたまま硬直してしまった。


「もしかして、今の蹴りでとどめ刺したか!」

「いや、これは…」

「ありゃ~、まずいねこれ」


 オネイロスがそう呟くと同時にジェヴォーダンから膨大な魔力が解き放たれる。


「うぉわっと!」

「吹き飛ばされそうだ…!」

「くっ…」


 伝承によればジェヴォーダンの獣は満月の夜、月を見上げると狂暴性を増し、一夜にして国を滅ぼしたとされる。


「死んで魂の無い抜け殻だっていうのにそれでもこれだけの力が出せるなんて、厄介だね~」


 相変わらずオネイロスからやる気は感じられずゴロゴロしている。


「さっきまでとは雰囲気が違うぜ…」


 ジェヴォーダンが前脚をあげ、振り下ろす。それだけで巨大な斬撃が飛んでくる。雰囲気の変わったジェヴォーダンに気を取られていた3人の反応が遅れるのも仕方ない事である。


「呆けてると死ぬぞ!」


 割って入ったショウが斬撃を弾く。斬撃の向こうにいた筈のジェヴォーダンの姿はすでに無く、後ろから全員が吹き飛ばされていた。


「カッ……フッ……ひ、ヒール…」


 全員を回復しはしたものの、全員が甚大なダメージを受け、回復しきれていない。


「強くなりすぎだぜ……」

「まいったね」

「……」


 ショウが立ち上がり、魔剣に魔力を込める。


「……皆、もう一度だけあいつを斬る。それで俺の魔力は殆ど無くなるだろう。あとは頼む。1つ気づいたのは……」


 ショウが走り出す。ショウとその後ろにいる3人を丸ごと消し飛ばそうと口に魔力を集める。先程までとは比べ物にならない程の魔力量が集まっていく。ジェヴォーダンの手前でショウが空中に飛び上がり、ジェヴォーダンが目でその姿を追う。8つの刀を構え、それぞれの刀が光りだす。


八閃花(ようせんか)


 放たれた8つの斬撃に向けてジェヴォーダンのレーザーが放たれる。8つの斬撃がかき消され、ショウもレーザーに飲み込まれていく。

 ショウを消し飛ばして満足気なジェヴォーダンだったが、違和感を覚えていた。ジェヴォーダンが気づいた時には首と体が離れていた。


映清水(うつしみず)


 水で作った分身に光を屈折させて色をつける。さっき撃たれたショウは水で創り出された分身、本体とロウダス達は逆に光の屈折で見えなくし、姿を隠していた。


「あと、頼んだぞ」

「任せてくれ」


 ショウの後ろをレイを背負ったライガとロウダスが走ってきていた。


氷結(ル・ジェル)


 切り離されたジェヴォーダンの体は抵抗なく凍りつく。


「お前はレーザーを撃ったあと、少しの間だけ体が硬直する。お前がどんなに速かろうと攻撃できる…爪の斬撃だったらこうはならなかったな」


 凍りついて動かなくなった体目掛けてロウダスが巨大な狼の前脚を纏わせた右腕を振りかぶる。


擬似猛獣武装(ビーストアームズ)・狼王…」


 切り飛ばした首が自身の体ごとレーザーで吹き飛ばそうとしていた。だがその首もどこかから飛んできた数発の銃弾によって撃ち抜かれ、力を失う。


「狼王の鋭爪っ!」


 巨狼の爪が凍りついたジェヴォーダンの体をバラバラに切り裂いた。その体からは黒い霧の塊のような物がバラバラになりながら出ていき、空気へと溶けていった。

 

「勝った…終わったぁ!」

「何回死ぬかと思ったことか…」


 ただの死骸に戻ったジェヴォーダンの頭を眺めながらロウダスは先程の銃弾を思い出す。


「あれは父の…」

「ロウダス、持っていってちゃんと埋葬してあげよう。」

「……そうだな、ショウ」


 ショウの空間収納に首を入れる。


「向こうも気になるし、少し休んだら戻ろう」


 全員その場に崩れ落ちた。傷も深く、すぐには立ち上がれそうにない。


「満月で力が増した時は不味いかもと思ったけどなんとかなったね。」

「かなりギリギリではあったが……結果を見れば最良だろう。」

「これで安心して寝れるよぅ……( ˘ω˘)スヤァ」

「お主、戦ってる時も半分くらい寝ておったよな?」

____________________


「向こうも終わったみたいだな。異常な魔力を感じた時は流石に手助けしようかと思ったが…やるもんだな、あいつら」


 ロイドの周りには100を超える死骸が転がっていた。その中にはB⁺相当のモンスターも混ざっている。


「それにあんたも、よくここから撃てたな。流石伝説の狩人」

「よして下さい。勘で撃っただけで当たったかもわかりません」

「全部当たってるんだろうなぁ、あの銃弾」


 ユナを小屋の中に寝かせながら4人の帰りを待ち続ける。

(語り部)

「本来のジェヴォーダンとは比べられないけれど、強敵だった。最後のレーザーがもし撃ち込まれていたらあの森林周辺が丸ごと吹き飛んでいただろう事を考えるとファインプレーだったね、狩人。ジェヴォーダンの敗因は数多くあれど、結局は思考能力が無かったのが悪い」

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