夕食、そして
「ロウダスはなんで屋根の上にいたんだ?」
「……?」
人数が多く、小屋の中では狭いから外でBBQをすることになった。肉を食べながらロウダスに質問する。
「狼王の所に向かうのかと思って追いかけるつもりだったのに屋根の上にいたからな、なんでかなと」
「小屋の外に出たのは他に聞く話もなかったからな、外で夜を待つつもりだった。……俺の切り札は満月の夜にしか使えない。」
「満月は今日か。なら……」
「ああ、今日を過ぎればもう俺一人でどうにかする事は出来ない。あれは周りも巻き込むから共闘するなら使えない。俺はショウ達と共に戦うと決めた、やるからには必ず生きて母を止める」
「それはいいんだけどよ、そもそもロウダスは強いのか?不意打ちで蹴り飛ばしただけだからな、実際戦ったらどうなんだ?」
「そういえばロウダスは魔法を使うのかい?ライガと同じ近距離戦タイプなのかな」
串を持ち、肉を食べながらライガが近づいてくる。レイは皿に取り分けていた。
『魔力量だけならお主より上だぞい』
「マジ!?俺、こんなぽっと出狼野郎に負けてんの!?」
『安心しろ、お前の魔力量はレイにも負けている。ロウダスだけの話ではない』
「嘘でしょ……」
ゼウスとフローヴァに告げられた事実を聞いてライガはその場に項垂れていた。
「ライガお兄ちゃんは何してるの?」
「あいつの事は気にしなくていいぞ。それより肉焼けたぞ、たらふく食え」
「わーい♪お肉にお野菜こんなに食べられるなんて夢みたい~♪」
「よく食べますねぇ」
そんなライガ達をよそにBBQを楽しむ3人。
「俺の魔法だが……」
『話の途中でなんだけどさ、あの狼はロウダスのお母さんなんだよね』
「今更どうしたんだイブ?」
ショウ達の視線がイブへと向く。
『あの狼、若干意識が残ってるみたいだね。ロウダスに蹴られた時から』
「そうなのか?」
「……それはわかっていた。だからこそ母になら殺されてもいいと言った。それに、だからこそ退いてくれたんだろう」
『残留思念が残ってたんだろうね。…ところでさ、戦うのは明日って言ってたけど』
森林中の鳥達が飛び去って行く。
『ちょっと甘いよ』
音が近づいてくる。
『神の悪意は待ってはくれないんだ』
木々をなぎ倒して狼王が姿を現す。
「ヴォオオオオオオオオオオォォン!!!」
「キャァァァッ!」
「ユナ!」
狼王の咆哮が空気を揺らす。
『思ってたより耐えてくれたけど神の呪いに残留思念ごときが耐えれる訳が無い。残留思念が無くなれば止めるものはない。明日まで待ってくれる訳無いじゃん』
「冷静に説明してる場合か!」
強化魔法を発動して再びユナが気絶する。
「フット、ユナを連れて下がっててくれ」
「わかりました」
パキィィン!という甲高い音が聞こえる。ジェヴォーダンの体当たりによって結界が割られていた。
「結界が!」
「あれは彼女が生前張った物、彼女には効果がありませんし、彼女の力なら壊すのはわけないでしょう。それより結界が壊れたなら他のモンスターもやってきますよ!」
段々と周辺に気配が集まってくる。
「照天!」
光の魔剣から光球を飛ばす。光球が周りを照らし、夜の森林が昼間の様になる。
「これで見えるだろ」
ジェヴォーダンは待ってはくれない。見えるようになった時にはショウの目の前までやってきていた。
「くっ!」
ショウは構えるが、ショウの前にはジェヴォーダンではなく青白い熊型モンスターが立っており、ジェヴォーダンを殴り飛ばしていた。
「母をこれ以上好きにはさせない」
(語り部)
「BBQ…いいよね。アウトドアでやってみたい事でも一、二を争う存在かもしれない。ここから出る気ないけれど。外で食べるお肉、美味しいんだろうね、食べてみたい気もする。僕食事できないけれど」




