物語の狩人
この世界にはギルドを統括する中立機関という組織が存在する。彼等がクエストを精査し、脅威度を定め、各ギルドへと送り、冒険者がクエストを受けている。そして中立機関はクエストの脅威度の他にモンスターのランクもつけている。下からE、D⁻、D、D⁺、C⁻、C、C⁺、B⁻、B、B⁺、A⁻、A、A⁺、S、SSの十五段階あり、通常遭遇するモンスターはこの中のランクに該当するだろう。しかし今、目の前に例外が存在する。人々が天災と呼び、時に神の使いとも呼ぶ神話級のモンスター、それがSSSのモンスターである。
「ユナちゃんだけでも逃したい所だけどな……」
「ウォオオオオオオオオォォォォン!!」
ショウの考えを否定するようにジェヴォーダンの咆哮が轟く。
(不味い!奴の咆哮は聴いた者を恐慌状態にする、あいつらが動けなくなる!)
ロイドがショウ達を見るとショウ達四人が光に包まれていた。
「これ、ユナちゃんから魔力が流れてるけど……」
当の本人は咆哮に驚いて気絶していた。無意識に魔法が発動しているようである。
「強化魔法の光、精神異常耐性を強化してるみたいだね。なるほど、これで幸福の影響を軽減していたから無事だったんだね」
「納得してる場合か!早く逃げるぞ!」
ライガが雷を放った時には既にその姿は無く、ライガの後方から襲いかかっていた。
「させるかよ」
ロイドがライガとジェヴォーダンの間に入り、ジェヴォーダンの爪を受け止める。足下が砕ける程の衝撃が伝わるが気にする事なく爪を押し返す。
「桜吹雪」
身を屈め、その場で円を描く様に回転するとロイドを覆うように粒子が舞い、ジェヴォーダンを包む。粒子から飛び出したジェヴォーダンは体中を切り裂かれていたが、血が流れることは無かった。
「こいつぁ……桜花!」
ロイドの放った斬撃がジェヴォーダンの首を飛ばす。しかし…
「やっぱ駄目だな」
ジェヴォーダンの首は切り口に戻っていき、綺麗にくっついた。傷などどこにもない。
「どうして……」
「あれは呪われているんだよ。肉体自身は死んでいるのに蘇らせて無理やり動かしているんだ」
イブの説明を聞いている間に再びジェヴォーダンが突進してくる。
「わかってればやりようはいくらでもあるがな」
ロイドが刀を振ろうとしていたがジェヴォーダンの体が斬られることは無かった。何故なら、
「ヴォ……!」
見知らぬ少年によってジェヴォーダンが蹴り飛ばされたからである。
「グルルゥ……」
乱入してきた少年を威嚇するジェヴォーダン。
「誰だあいつは……あの巨体を蹴り飛ばしやがった」
ショウ達と年齢は然程変わらなそうな少年、黒髪が少し目にかかり、吊り目と仏頂面が怖い印象をあたえる。
少年を睨み続けていたジェヴォーダンだったが、少年が来た方向を一瞥すると早々にその場を立ち去って行った。
ジェヴォーダンが見ていた方向から一人の男が姿を現す。
「大丈夫でしか?皆さん。ああ、怪しまれても仕方ないんですが、構えないで下さい。私はフット・ランクロウ、そこにいるのが息子のロウダスです。私達はこの森林に住まう狩人です」
それはかつて狼王を鎮めたという狩人と同じ名前であった。
(語り部)
「……この天災弱すぎないかな?って思ったかい?僕も思うよ、弱いなぁって。でもこの後ちゃんと弁明があるからそれを見てから不満に思ってほしい。」
「因みに幸福のモンスターランクはSSだからそれよりも上という事になる。とてもそうは思えないよね。」




