待ち受ける罠
―一層―
「広いだけで何もないな」
「部屋の奥に先へ進む階段もある。罠でもあるのかと思っていたけど……何!?」
警戒しながら先へ進もうとすると突如部屋の壁が接近してきた。
「急いで戻るか先に進むかしねえとぺしゃんこだぜ」
「なら先へ進むぞ。レイ、ここは任せろ」
両腕をショウとライガに掴まれるレイ。
「へ?ちょっとまってせめてどちらかァァァァッ!!!」
壁が閉じ、部屋の先の階段でレイは腕を抑えながら悶ていた。
「腕がァァァァッ!!せ、せめておぶってからでも間に合ったんじゃ……」
「急いでたからしかたねーよ」
「悪いな、レイ。腕大丈夫か?」
「両腕とも脱臼するかと思ったよ。こういうのはライガにだけやらせてほしいものだ。地面を転がり回るなんて、品性に欠ける」
「俺ならいいのかよ」
振り返ると再び壁が元に戻り、通れるようになっていた。
「大人数で来てたら間に合わない奴も出てたかもな」
「まぁ何回かに分けて少人数で駆け抜ければ間に合うかもだけどね」
「まるでダンジョンみたいだな」
―二層―
「このフロアの壁、至る所に穴が空いてるけど……」
入ったと同時に後ろの入り口が閉まり、穴からガスが噴き出す。
「毒ガスか!吸い込まないようにしろよ!」
「穴を塞がないとね、氷結!」
壁の穴全てを凍らせ塞いだ。
「この毒ガス、空気より重いみたいだから屈まない方がいいね。誰も体調悪くはなってない?」
イブが聞くと全員無事を伝える。
「何が起きてもおかしくない。気をつけて進もう」
―三層―
三層は全体を金属で覆われたフロアだった。他の物は何もないように見える。
「ここも何かあるのは確かなんだろうけどな」
「ここはそんなに広くないね。目の前に次のフロアへの階段がある」
階段へ進もうとフロアの中間まで進むと突如天井から無数の噴射口が現れる。
「また毒ガスか!」
「いや、これは……!」
噴射口から炎が吹き出し、足下に残っていた先程の毒ガスに引火し大爆発を起こした。フロア全体は火に包まれ、残る物は何もない。
―――ように思えた。
「危ないところだった」
そこには土で出来たドームが残っていた。
「空気より重い毒ガスが下に流れ込んで炎で生存者を爆発させる。よく出来た罠だな」
「よく間に合ったなこのドーム。というかよく保ったな」
「ドームの外側をレイが氷で覆ってくれたからな。」
「感謝するといいよ。この僕に!」
「今回は本当に助かったぜ」
―四層―
「ここって何階まであるんだろうな」
「さあね。そこまで長くない事を祈りたいところだよ」
「ここを突破するのには時間が掛かりそうだがな」
ショウ達は迷宮の中にいた。灯りもなく、ショウの光の魔剣によって照らして進んでいた。
「迷路は壁に手をついて進めばゴールにつくもんだ。急げば必ず抜けられるぜ」
「ここは迷路だけじゃないみたいだけどな」
「へ?」
後ろからは轟音を響かせながら大量の水が流れ込んで来ていた。
「おいレイ!あれ凍らせられねえのかよ!」
「あの量を凍らせるのは流石にキツイかな」
「詰んだんじゃね!?」
すぐさま通路は水で満たされ、流されてゆく。
「苦しい~!!溺れて死ぬんだ俺はー!!!」
「何やってるんだい君は?ちゃんと周りを確認しなよ。」
「来世は魚に……あれ?水は?」
ショウ達の周りは空気の層で包まれており、水はショウ達を避けて流れていた。
「この迷路を松明で行こうとしたら水で火も消えて暗闇の中流されるのか。中々キツイな」
「お前本当に便利な」
『ショウはオールラウンダーだからね』
『来世は魚になるのかお主』
「忘れろジジイ」
30分後、無事に下層への階段に辿り着いた。
「階段が水の上で良かった。また下が水で満たされるとどうなるかわからないからな。」
「水で満たされてたら俺とレイはほぼ魔法が使えないからな」
「自分達が感電か氷漬けで低体温症か。本当に助かったな」
―五層―
「ここは……居住区か?部屋が沢山ある」
「元々何かの住処だったのを利用しているのかもね。上の罠は昔からあるものなんだろう。自宅警備用にしては手が込み過ぎているけれど」
『居住区と言っても今は人の気配はない。フロアごと爆破するような罠が新しく仕掛けられていてもおかしくないだろう』
「嫌なことを言うなフローヴァは。確かにその通りなんだけれども」
「もうここに入ってそれなりに時間が経ってる。急ぎたい所だけど……すんなりとは通してくれないな」
行く先には空を飛ぶ物体が複数。
「ドローンとか…急に近代化してんじゃねーよ!」
ドローンの下に備え付けてある魔道マシンガンから魔力弾の嵐が襲い来る。
「数は15機、威力は建物を風穴だらけにできる程じゃないにしろ、人なら即座に蜂の巣だね」
「全部躱しながらドローンを壊すのは流石に厳しいな。数はいつだって脅威だな」
「レイ、お前商人の家だったよな。ドローンの知識はあるか」
「美術品メインだけどね。子会社が扱ってはいるとも。知識はあまりない」
「あれ最新式か?」
「いや、確か少し型が古い奴じゃないかな。中古品だね」
「なら構わねえ」
ライガの指の先からは細い電気が出ており、それはドローンの上部の電気の塊へと繋がっていた。
「落ちろ!雷槌!」
強大な雷が複数のドローンへと落ち、機能が完全に停止する。
「感電防止されてる最新式じゃこう上手くはいかなかったかもな」
「俺との模擬戦でも使えばよかったのにな」
「使う余裕が無かったんだよ……」
その頃、最下層では上層からの音を聞きながら寝転がっている男がいた。
「やっぱりここまで来るか。恐ろしい子供がいたもんだね~っと」
立ち上がり、男は笑みを浮かべる。
「どうせスカウトは受けないだろうし、どうしようかな?」
笑い続ける男の目は深淵の如く黒く染まっていた。
こんな所には住みたくないですね。
この世界、普通に電化製品とかが開発されています。ゲームは子供に大人気、ドローンを飛ばして遊ぶ子供がいる世界。




