不穏の影
「あっ……」
階段を上がっていた女生徒の一人が足を滑らせ、頭から床に落ちる事を予感させる。だがそうはならなかった。そこには銀髪の少年が女生徒の腕を掴み、体を支えている姿があった。
「大丈夫?間に合ってよかったよ」
「あ、ありがとうシュヴァルツ君……あの、重くない?」
「全く。むしろ、もう少し重みがあった方が君の存在をより感じられそうな程だ」
「……はぅ……」
女生徒は頬を紅く染め、今にも気絶しそうであった。
(私もシュヴァルツ君に助けられた~い!)
(あの子、うまくやったわね)
(私の事も抱き上げて感じて欲しいわ~!)
(あいつ近くに姿なんて無かったはずなのに一体どこから……)
(あれくらい出来るようになれば俺もモテるかも……)
(それは無いな)
(どういう意味だそれ!)
女生徒をそのままお姫様抱っこで階段の上まで運んであげる。
「これからは足下に気をつけて、フォルネさん」
「うん、気をつけるよ……」
食堂で昼食を摂っているとライガが質問してきた。
「実際のとこ重かったろ」
「ライガの踵落としに比べれば本当に重さを感じない程だったぞ」
「俺の雷迅脚と比べられてもな……」
「唐突に姿が消えるから何かと思えば、見事な救出劇だったじゃないか!正に白馬の王子のようだったよ」
「王子って柄じゃないんだけどな」
入学してから一週間が経った。ショウとライガ、レイの三人はよく共に行動するようになった。先程のようにショウの近くではやたらと困っている人や危険に遭う人が多く、それらを助けていると、ルックスも相まってか生徒の中でかなりの人気を獲得していた。ライガとレイも美形揃いのせいか3人揃っているとかなり注目される。
「ところで聞いたか?最近行方不明者が何人か出てるらしいぜ。人攫いかもとか、街にモンスターが潜んでんじゃねーかとか言われてるらしいぞ」
「巡回していた衛兵が急にいなくなったって話は聞いたね」
「夜はあまり出歩かないほうがいいだろう、被害は日が沈んでからの時間帯ばかりらしいからな」
「何なら俺達で事件解決するっていうのもありだと思うんだけどよ」
『この前の強盗団の時に停学になりそうって話じゃったのに懲りんのぅ』
「そもそも僕達で解決出来るならとっくにしてるだろうさ。国の騎士達や冒険者にも依頼して調べているようだし、そのうち解決するよ」
「個人的にはどうにかしたいけどな」
『私としてはショウ達が解決した方が面白いんだけどな』
『少し夜に調べてみるか。事件が起きてるのに見て見ぬふりも出来ないし』
「そろそろ昼休みも終わるし、教室戻るか」
不穏の影がショウ達に迫る。
一日一回は事故に遭遇するショウは某名探偵予備軍になりかねない




