それぞれの反応
アッシュは試合場で繰り広げられている光景をただ呆然と眺める事しか出来なかった。
「レベルが違う……」
自分が最も強い、自他共にそれを認めていると思っていた。周りに持て囃され、自分でも才能がある事を自覚していた。試験でも首席合格、学院の中でもトップクラスだと信じていた。それが同じ年の子供に虚仮にされ、見返すどころか傷1つ負わせる事なく一撃で気絶させられ、目を覚まして戻ってみればこの戦いである。目で追うことすら今のアッシュには難しい。
「同学年ですら手も足も出ない存在が目の前に2人。何が踏み台、踏み台どころか今の俺じゃあの試合場の余波だけでズタボロ、立ってることすらできねえ……」
井の中の蛙、遥か東の島国の言葉が頭に浮かんだ。だがアッシュはそれを意外とすんなり受け入れた。むしろ喜びすら感じていたのだ。目前に明確な目標が現れたのだから。アッシュの目には魔法の名家である自身の親族すら霞む程にあの2人の戦いは輝いて見えたのだ。
「いつか必ず……超えてやるぞ」
戦いを終え、歓声を浴びる2人を見下ろしながらそう呟いた。
「いや~、素晴らしい戦いでしたな!新入生とは思えませんよ。実に今後が楽しみですな~」
「ええ、そうですね」
(あれがあの人の息子、ですか。あの8本の魔剣全てを使っていることが既におかしいですが、あの年でこれ程の実力。誰かに師事しているのでしょうかね?可能性としてはあの人ですが、あの人はもう弟子はとらないと言っていましたし……)
「どうしました、学院長。悩みごとですか?」
「いや、気にしないでいいですよ。個人的に興味を引くものがあったので」
(これからも楽しませてもらいたいものですね)
「実に、美しい戦いだった……」
『なかなかいい勝負だったな。久々に血が滾ってきた』
『よしてくれよ、君が暴れると僕の部屋が醜くなる。せめて外でやってくれ。いや、すまない。庭でも困るからどこか人のいない場所でやってきてくれ』
『いいだろう。先に帰っていろ、すぐ戻る』
「……さて、今日の僕は気分が良い。街に美しい物を探しにでも行くかな」
最後のは今後出ます。




