プロローグ
初投稿です。よろしくお願いします。
目の前は本の迷宮だった。読書をする為ではなく本を保管する為の空間であり、奥が見えない通路はその空間の広さを物語っていた。
その通路の真ん中には椅子に腰掛け本を読む者が1人。
「──おや、珍しいね。ここに権限も無く迷い込む人がいるなんて。はじめまして……それとももうすでに会ってるかな?記憶が曖昧でね」
そう言って持っていた本を近くの本棚に戻し、別の本を確認し始めた。
「………うん、はじめましてだね。ここに来る人とはよくある事だから気にしないで」
「───?」
「僕が誰でここがどこかかい?僕はここの管理をしている管理人だよ。そしてここはあらゆる記録が集まり、貯蔵されていく記録の書庫さ」
「───?」
「どうやって帰るのか?帰りたいなら僕が帰してあげるけど……折角だし、何か読んでいくかい?と言っても権限のない君はここにある本を読むことはできないから僕が読み聞かせる事になるけど」
「───」
「時間を気にしてるのかい?ここにいる間は君のいた場所とは違う理で時間が進む。ここでどれほど過ごそうと戻った時、君の時間が進むことは無いから安心していいよ。君の世界では1秒たりとも進んでいないから」
それならばと話を聞く事にした。
「ならリクエストはあるかい?」
「…………───」
「異世界の話?君から見た異世界というなら当然あるが、君は別の世界があると思っているのかな?」
「───」
「確かにここのような存在が別にあっても不思議じゃないね。事実、異世界なんて無数にあるのだし。……それならこれにしようか」
そう言ってまた近くの本を取り出した。
「リクエストの異世界、興味が惹かれれば聞き続けてもいいし、帰りたくなったら声をかけてくれればいい。それでは――」
語り部は本を開き、語り始めた。
面白そうと思ってもらえたら幸いです。