人生ゲームと将来の話
区切りを考えて今話はかなり短くなっています。
ご了承ください。
そこからの実家での四日間はあっという間に過ぎていった。残っていた課題を済ませて、三人でゲームしたり少し恥ずかしかったが買い物に行ったりした。この一週間で二人は本当に仲良くなり、まるで親子のようにも見えた。
「良介。明日にはアパートに戻るのよね?」
帰省して六日目の午後三時。
スーパーで買ったチョコクッキーを食べ終えたあと、人生ゲームをやっていたときに母さんが尋ねてきた。
「うん」
「優奈ちゃんがいなくなってしまうのは寂しいわー」
「おい。息子を忘れんな」
ツッコミを入れつつルーレットを回す。六が出たのでその分マスを進めると、
「美容院で髪を切る。三千円払う」
俺は千円札三枚をお金入れに戻した。
「あんたも髪伸びたわねー」
「そうか?」
確かに中学時代に比べるとだいぶ伸びているかもしれない。もう少し伸びたら切ることにしよう。
「わたしの番ですね」
優奈は張り切った様子を見せてルーレットを回すと七の出目が出たが、二マス先に必ず止まらなければいけないマスがあった。
「結婚。プレイヤーから五千円ご祝儀をもらう」
「優奈ちゃん結婚おめでとー」
「ほい」
俺と母さんは五千円を渡した。とは言っても俺と母さんもいずれそのマスに止まるので結局はチャラになってしまうのだが。
「結婚と言えば……優奈ちゃんは最初の子供は男の子と女の子、どっちがほしいの?」
「えっ!?」
母さんの唐突の質問に優奈は動揺を隠せずにいた。また始まったよと、俺は頭を抱える。
「まだそういったことは考えたことがなくて……」
「ぶっちゃけて言うとね。最初は女の子が欲しかったんだー」
「息子がいる前で言うことではないな」
「それは願望なだけであって良介が五体満足で産まれてきてとても嬉しかったのよ。あんまり手はかからなかったし家事も手伝ってくれるし。まぁ食費だけは馬鹿にならなかったわね」
「それは仕方ないだろ。育ち盛りなんだから」
母さんはクスッと笑って「それもそうね」と言った。
きっとどちらが先に産まれてきても大変だと思う。母さんの場合、俺が中学に上がる前から一人で育ててくれていたから尚のことだ。もし女の子だったらもう少し楽をさせてあげられたのか。そんなことはないと思う。それぞれがそれぞれに抱える問題というのがあるのだから。
「赤ちゃんが無事に産まれてくれるなら、どちらでも構わないです。両親がそうしてくれたようにわたしも愛情持って大切に育てます」
「頼もしいわね。期待しているわよ」
そう言って母さんはウインクをする。優奈は俯いてしまった。
「好きなのは分かったら、あんま変なことは言うなよ。次、母さんの番」
何度吐いたか分からないため息を漏らす。「将来が楽しみだわー」とウキウキした様子で母さんはルーレットを回した。
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