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斗真の提案

短いです

「良介。週末暇?鍋パやろうぜ」


「急だな」


 斗真からそう声をかけられたのは、いつも通り一日の授業が終了して、優奈と帰路に着こうとしていたときだった。

 突然やってきて、鍋パをしようだなんて言ってくるのだから、眉を顰めずにはいられない。


「ほら。めっちゃ寒いじゃん。そんなときは鍋つつきたくなるじゃん」


 身体も温まるし野菜も多く取れるので、俺と優奈も週に一回以上の頻度で鍋料理を食べているので、斗真のそういう気持ちもよく分かる。


「だからさ、良介ん家で鍋パやろうぜ」


「それでやっぱ俺ん家なのかよ……」


「だって店だと高くつくし待ち時間あるかもだろ。その点、家なら待ち時間ないから用意したらすぐ食べられるじゃん」


「俺ん家がすげー便利みたいな言われ方してる」


 爽やかに微笑む斗真に、俺の眉間にはさらに皺が寄った。そんな俺に目もくれることなく、斗真は優奈に視線を向ける。


「天野さんはどう?」


「わたしはいいですよ。みんなで鍋を囲むのも楽しそうですし」


「だってさ」


 優奈からOKを貰ったことを俺を攻め落とす武器として携えた斗真は、再度俺を見た。

 優奈が首を縦に振れば、基本俺もその意見に乗っかることは斗真は既に理解済み。だからまず俺よりも先に優奈の意見を求めたのだ。


 こういうところは本当に抜け目がなくて、いい性格していると思う。


「駄目だなんて言ってないだろ。ただそういうのはもっと事前に言ってくれ。準備だってあるんだから」


「おっし。決まりだな」


「他に誰か誘う予定なのか?」


「ん?あぁ、あとは梨花も誘って四人でやりたいなって」


「四人?てっきり真司たちも誘うのかなと」


「あいつらといるのも騒がしくて好きだけど、この四人の時間も好きだからさ。美味しい鍋食べてのんびり楽しく過ごしましょうってことで」


 確かに四人で遊んだりまったり過ごす時間も久しいような気がする。確か今年の花見以来だったか。


「あぁ。分かった」


「材料とかはどうしますか?必要なものがあるなら揃えておりますけど」


「いや、材料は当日にみんなで買いに行きたいな。ほら、毎回二人の食費を圧迫させるのも申し訳ないし」


「まぁ主な原因は斗真とか真司のせいだけどな」


「それは言うなよ……」


 悲しげに呟いた斗真に、俺と優奈は小さく笑う。

 鍋にも人それぞれ好みがあるだろうから、こちらとしても当日にみんなで準備した方が色々と助かる面もある。


「んじゃ、俺はそろそろ部活に行くわ。梨花には俺から言っておくよ」


「時間はどうするよ」


「あー。まだ決めてないけど鍋はやっぱ夕飯で食いたいな」


「じゃあ午後からってことでいいか?」


「おぉ。それじゃあよろしくな」


 斗真はそのまま部活先へと足を運ぶ。その姿を俺と優奈は見つめていた。


「言うのはいいんだけど毎度突拍子すぎないか」


「石坂さんらしいと言えば石坂さんらしいですね」


 急な思いつきなのか、前々から考えていたことを今日俺たちに教えたのか。斗真の性格上それを読むことはできなくて、俺たちは苦笑を浮かべながらも週末の鍋パを楽しみにしていた。

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