特別編 お正月
新年明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします!
新年初めは特別編です!
短めですがお楽しみください!
十二月三十一日。
俺はさっきまで優奈と年越し蕎麦を食べながら年末特番の歌番組を見ていた。それも終わりを迎えてあと数分で今年が終わるところまで時間が経過していて、俺たちはソファーに腰掛けながら話していた。
「いやー。今年は終わるのが早く感じたな」
「本当にあっという間でしたね」
「その割に随分と内容の濃い一年を過ごしたような気がするよ」
俺は感慨深そうに呟いた。
優奈と出会ったのが十ヶ月前で、お互いを意識し始めて正式に付き合い始めたのが二ヶ月ほど前。色んなことがあったがその一つ一つがあったからこそ今こうして優奈と一緒に年を越すことができるのだ。
「優奈」
俺が名前を呼ぶと、隣に座る少女がジッと見る。その艶めやかな髪も俺を射抜くように見つめるその瞳も桜色の唇も、全てが愛おしく思えてきて俺は優しく微笑んだ。
「ありがとうな」
「どうしたんですか?急に改まって」
「なんか急に言いたくなった。今までありがとうって」
唐突に、優奈は俺の肩に頭を預けてきた。
「優奈?」
「まるでこれから先がないみたいな言い方みたいで、少し嫌です」
そう言った優奈は上目遣いでこちらを見つめる。
「今までも。そしてこれからも、ですよ」
「そっか。そうだな」
俺は優奈の手に優しく触れる。すぐに互いの指を絡めあって優しく握りしめ合った。
そうしているうちに、年の始まりを告げる鐘の音が鳴り響き、花火が打ち上がった。
「新年明けましておめでとう」
「新年明けましておめでとうございます」
「今年もよろしくな。優奈」
「こちらこそよろしくお願いしますね。良くん」
スマホが突然うるさく鳴り響く。
確認すると、新年を祝う連絡が大量に届いていて、顔を見合わせた俺たちは笑いながら返信していった。
☆ ★ ☆
時刻は午前零時半を指していた。
「明日の初詣は何時くらいに行こうか?」
「そうですね……神社が混む前に行きたいです」
「それじゃあ少し早めに家を出てその後は一緒にお雑煮作ってのんびり過ごそうぜ」
今日は天気もいいので神社に向かっている最中に初日の出を拝めるだろう。それも好きな人と眺めることができるなら尚更だ。だからいつもより早めに起きようと思っている。
「というわけで今日はもう寝ようか」
俺は立ち上がって手を差し伸べる。
優奈も微笑を浮かべてその手をとると、俺たちは寝室へと移動する。
ベットに入ると、優奈が俺に抱きついてきて胸の中に顔を埋めてすりすりと擦り寄ってくる。
優奈の甘い香りは何度も嗅いでいるはずなのに、未だに慣れることはなく心臓の鼓動が早くなる。
「良くんは暖かいですね」
「誰かさんにドキドキさせられてるせいでな」
顔を上げたはにかむ優奈の頬に触れれば、くすぐったそうにしながらうっとりしたような瞳で俺の手の感触を楽しんでいた。
「こんなことしてたらいつまで経っても寝られないな。この続きは初詣から帰ってきてからってことで」
「はい。いっぱい可愛がってください」
名残惜しいが、俺は優奈の頬から手を離す。
優奈はコクリと頷くと、俺の髪を軽く撫でる。
「おやすみなさい。いい夢を」
「おやすみ。優奈もな」
腕の中で目を閉じる優奈の頭を、俺は優しく撫でながらそっと目を閉じる。
今年も隣で眠りにつく少女を守っていこうと、心に強く想いながら。
お読みいただきありがとうございます。
特別編なので、本編では書けなかった二人で年越しするイベントを書いてみました。
『気がつけば両想い』やその他諸々、そして近々投稿予定の新作の方も応援のほどよろしくお願いします!




