朝の目覚めは筋肉痛
「んっ……いった……」
目覚めて身体を起こすと、俺は顔を顰めた。
予想通り筋肉痛になっていて、腕と足は筋肉が炎症していて痛む。普段やらない運動を一日中行っていたからだろうが、それだけ昨日を満喫していたということだ。
まだ開ききっていない瞼を擦りながら、俺は温もりを感じる隣に視線を送る。
優奈は気持ちよさそうな寝顔を浮かべて、小さな寝息を立てていた。仰向けに眠っていた優奈はゴロンと寝返りを打ってこちらを向いた。
ん……、と声を漏らしたので優奈も起きるのかと思ったのだが、また小さな寝息が聞こえてくる。
口元に数本の髪がかかっていて、俺は指に指を絡ませると耳にかけてやる。すると潤いのある唇が露わになった。
昨日の夜のことを思い出しながら、優奈の寝顔を見つめる。
寝る直前に優奈に対する想いが爆発、限界突破してしまって唇、その奥にある柔らかな器官をまるで奪うかのような情熱的な口づけを交わした。
俺から一方的にしてしまったことだが、優奈もそれを受け入れて途中からこちらを求めてくるかのように……
かあぁっと顔が赤くなっていくのを感じて優奈から視線を逸らそうとするが、俺の本能がそれを拒む。隣に眠る少女をずっと見ていたいという俺の本能が。
「なんでこんなにも無防備に眠っちゃうのかね……」
俺は淡く微笑みながら呆れ混じりに呟いて、優奈に優しく触れる。いつもの寝息に安堵感が増してさらに心地よさそうな寝息を立てるのだから、本当にずるい。
俺の意識が優奈の寝顔から昨日深く混じり合った唇へと移動する。昨日のこともあってか、いつもより艶めやかで桜色に輝いていて、瞳が奪われたかのように視線が釘付けにされてしまう。
気がつけば、俺は手を伸ばしていた。
「ってバカか俺は……」
人差し指で優奈の唇に触れようとした直前で、俺はその手を引いて自分を罵倒し、小さく息を吐く。
もし触れてしまえば、自分を押さえつけることができなかったかもしれない。気持ちよさそうに眠っている優奈を、俺のわがままな行動で無理矢理起こしてしまうことだけは絶対に避けたかった。
せめてでも、俺は優奈の髪を触れて、そして頬へと伝っていく。今の俺にはそれだけで十分だ。
ベットから起き上がって筋肉痛に顔を引き攣らせながらも、優奈にもう一度布団をかけ直してやって俺は自室から出た。
良介が朝起きて優奈の寝顔をただ見つめながら幸せを感じている回でした。
ここ最近フルスロットルで執筆していて、今日その反動がきたので少しクオリティ落ちてるかも……ごめんなさい。
明日からはまたちゃんと気合い入れて頑張って参ります。




