新入りメンバー
「良介。ちょっといいか?」
とある日の休み時間。
次の授業の準備をしていたところで、真司に呼ばれたので顔を上げると、秀隆も隣に立っていた。
「どうした?」
「斗真から聞いたんだけどさ。今度勉強会するんだろ?」
「あぁ。そのつもり」
斗真や優奈と勉強会の日程について話し合った結果、今週の土曜日に俺と優奈、斗真と瀬尾さんと純也の五人で行うという話になっている。
秀隆と問いかけに俺は首を縦に振る。
すると二人は懇願するかのようなつぶらな瞳を俺に向けて、
「良かったら俺たちも勉強会に参加してもいいかな?今回の中間テストの範囲広いしやっぱ一人でやるのには限界あってさ。でも二年生になって最初のテストだから最低でも真ん中より上にはいたいんだよ」
「そしたら斗真が今度、良介の家で勉強会するから来る?って誘ってくれたんだよ。良介学年トップだから分からないところあっても教えてくれそうだし……どうかな?」
真司の成績は真ん中より少し下位に位置していて、秀隆はほぼ真ん中かほんの少し上位という、二人とも似たような成績である。
「俺はいいけど……優奈や瀬尾さんにも確認はしてみる。多分了承してくれると思うけど」
男の割合が高いのにさらに男二人が参戦するのだ。女性陣にも伝えておかなければならない。
優奈と瀬尾さんのことだ。二人のことはよく知っているし人柄もよく理解しているから断るということはまずないだろう。
「マジで感謝」
「おいこら。抱きついてこようとするな」
真司が両手を大きく広げてこちらに向かってくるので、片腕を前に出して真司の額を押さえてこれ以上の前進を防いだ。男から抱きつかれるのは流石に気分がよろしくないし何より他の生徒の目が気になりすぎる。万が一優奈にそんな趣味があるとは思われたくない。
秀隆は俺たちのやりとりをまるで他人事のように見つめて微笑を携えていた。
それにしても勉強会を開くたびに人が増えていく。リビングに設置しているテーブルと食事の際に使用するテーブルの二つがあるので、ある程度の人数は呼ぶことができるのだが、まさかここまで増えるとは思ってもいなかった。
「二人とも俺の家の場所分かる?放課後にでもラインに位置情報送っとこうか?」
「いや。当日はみんなで行くつもりだから」
「ん。了解」
早速今の話を伝えようと、俺は立ち上がって優奈のいる席に足を運ぶ。
優奈の席の周りには瀬尾さんと平野さんと東雲さんが何やら話をしていたようで、東雲さんが近づいている俺に気づくと優奈に俺が来ていることを伝える。
振り返った優奈は柔らかな微笑みを浮かべて、クリーム色の瞳で俺を真っ直ぐ見つめた。
「話していたところ悪いな」
「ううん。むしろちょうどいいって感じ」
「ちょうどいい?」
「うん。カッキーにも関係のある話だから」
話の腰を折ったことを謝ると、平野さんが首を横に振ってそう言われたので、首を傾げている俺に東雲さんがのんびりとした口調で頷く。
「ともえさんと結月さんも今度の勉強会にお誘いしたいと思ってるんですけど……」
「カッキーと優奈ちゃんと梨花ちゃんに教えてもらえるって凄い豪華だよねー」
「いやいやともえちゃん。二人に比べたらわたしなんてそんな大したことないよ」
「何言ってるの梨花。わたしたちからしたら順位一桁の梨花も本当に凄いんだから」
「勉強会は良くんのお家でやるので良くんにも相談しておこうと思ったんです」
「カッキー!わたしたちも混ぜて!」
「カッキーお願い」
平野さんと東雲さんは手を合わせて、俺にお願いする。優奈と瀬尾さんからも口には出してはいないが、お願いと言いたげな目で俺に訴えてきてきた。
「うん。いいよ」
「ありがとカッキー!」
「助かるー」
二人は安堵の色を示した表情を見せた。
「それで俺の方からも一つお願いがあってさ。真司と秀隆も勉強会に参加したいって言ってるんだが、一緒にテスト勉強やってもいいよな?」
「はい。構いませんよ」
「わたしもいいよ」
「わたしたちもお願いした立場だしね」
「うん。みんなでやろうよ。勉強会」
「ん。決まりだな」
どうやら今回の勉強会は、これまでの勉強会よりもさらに騒がしくなりそうだ。




