おまけ 平和な日常
ゴールデンウィークも最終日。
前半は斗真たちと身体を動かしたり優奈と誕生日デートをしたりと中々アクティブに過ごしてはきたのだが、終わりに近づくにつれて平日の学校とバイト以外は家でゴロゴロする日々が続いていた。
俺自身、外で遊びたいタイプではない。
座り慣れたソファーに腰を下ろして本を読んだり動画を見たりと、家でのんびりと過ごしている方が好きだったりする。家にいる方が気が休まるからだ。
それに家事をすることで、ストレス解消になったりもする。
「ん。干せてるな」
お昼下がり。
昼食を食べ終えた俺は、ベランダで干していた愛用している敷布団の様子を確認して、小さく微笑んだ。
天候は今日も快晴で強い日差しが照りつけていて、まさに洗濯日和である。
顔を布団に近づけてスンスンと鼻を鳴らせば、柔軟剤とお日様の香りがして心地いい。きっと今日はいつもよりも気持ち良く眠りにつくことができるはずだ。
その他の洗濯物を取り込んだあと、敷布団を回収して俺はベランダから出る。
俺が洗濯物の回収をやっている間、優奈は昼食後の食器や調理器具を洗ってくれている。きっともう終わってひと段落ついている頃だろう。
リビングに戻れば、ソファーに座る優奈の後ろ姿が見えた。
「優奈ー。食器洗ってくれてありがとー」
だが、優奈の返答はなかった。
よく見ると、優奈の頭が僅かに揺れている。もしかして……と思い、俺は覗き込むようにして優奈の様子を伺った。
「やっぱこうなってたか……」
そこにはクッションを抱き抱えて眠っている優奈の姿があった。カクン、カクンと一定のリズムを刻んで頭が上下に動いていて、閉じた瞼は重そうでしばらくは開きそうにもない。
「せめて毛布か何か被って寝ろよな」
優奈は薄手の長袖に膝下までのスカートを身につけている。暖かいとはいえそのまま眠ってしまっては風邪を引いちまうだろうと、俺は苦笑を浮かべながら毛布を持ってくる。
「ん……っと」
座ったまま眠っているのは辛いと思い、俺は優奈を抱き上げてソファーに横たわらせたあと、持ってきた毛布を優奈にかけてやる。
お日様にも負けない優奈の優しく甘い香りが俺の鼻に広がる。こんな可愛らしい寝顔を無防備で晒しているくせに、悪戯するなとか写真を撮るなとか無茶なことを言ってくるのだから困った物だ。
優奈が眠っている間に家事は済ませようと、俺は立ち上がる。そうすれば優奈が起きたあとは家のことは気にすることなく過ごすことができる。
「あ、その前に……」
俺は思い出したように呟いて、優奈の元に向かう。彼女の綺麗な髪を軽く撫でてやって、
「おやすみ。愛してる」
普段は絶対に言えない言葉を口にして、俺は今度こそ立ち上がって家のことをやり始める。
気持ちよさそうに眠っている優奈の表情は穏やかでありながら、どこか嬉しそうに笑みを含めているようだった。
お読みいただきありがとうございます。
タイトルにもあるように面白味も何もない日常回です。
実は優奈は起きていたのかそれとも眠っているのか、それとも途中から起きていたのか、それは読者様のご想像にお任せします。




