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クラス替え

「わたし三組!」


「えっとわたしは……あ!わたしも三組だ!」


「やったっ!また一緒のクラスだね!」


 賑やかな声が飛び交う。

 彼らは掲示板に貼り出されている一枚の紙を眺めていた。そこにはクラス替えの内容が記載されている。


 仲の良い友人とまた一年同じ教室で過ごすことができて喜ぶ者もいれば、新しい出会いに心を躍らせる生徒も見受けられる。


 俺たちは掲示板へと足を運ぶ。既に多くの生徒がいたので俺たちは後ろの方にいた。


「さーてさて。名前はどこにありますかなー」


 俺の隣で斗真がわくわくした様子で張り出されている紙を見つめる。その近くには優奈と瀬尾さんもいる。


「んー。人が多くてあまり見えない……」


 その場で何度か軽く飛び跳ねながら瀬尾さんが呟く。優奈も精一杯背伸びをして確認しようとするが人が壁となっていて掲示板の文字を見ることができないようだった。


「俺が優奈の分まで見ておくよ」


「ありがとうございます」


「じゃあ俺は梨花の分も見てあげる」


「お願い」


 俺と斗真は優奈と瀬尾さんの分も含めてクラス表の名簿を見つめる。名前順に表示されているので優奈の名前は最初の方にあるだろう。


「優奈は……一組だな」


 一組の欄の一番最初に天野優奈の名前があった。しかも優奈の名前の下には斗真の名前があった。


「お!俺も一組!天野さんよろしく!」


「はい。こちらこそ」


 斗真の爽やかな笑みと挨拶に、優奈も≪姫≫の名に相応しい微笑で応える。やはり仲の良い人物と同じクラスになれるというだけで、心の持ちようが大きく変わるようだ。


「そんじゃあとは良介と梨花だけか。どこにあっかなー……」


 斗真は再びクラス表へと視線を移す。

 二人と同じクラスになれることができたらまた一年楽しい学校生活になるだろう。そんな上手く事が運ぶことはないだろうと思いつつ俺も名前を探せば――


 一組に俺の名前が記載されていた。


「あった。一組」


「おおっ!やったじゃん!」


 そう呟くと、斗真はこれ以上ない喜びの表情で手を出してくる。俺も同じようにすると「イェーイッ!」と少し強めのハイタッチをしてきて、手のひらが少しヒリヒリする。


「良介とまた同じクラスで授業受けれるなんてすげー嬉しいよ!」


「おう。また一年間よろしくな」


 屈託のない笑顔で斗真は嬉しいことを言ってくる。俺も淡く微笑んでそう返事をした。

 残りは瀬尾さんだけとなった。一年に続いて今年も俺たちが固まっているのだから、二年生は瀬尾さんも是非とも同じクラスになっていてほしい。


「あっ!梨花も一組だ!」


 斗真が瀬尾さんの方を見て嬉しそうに言った。


「えっ!?本当!?」


「マジマジ!!」


 いつも落ち着いた雰囲気を醸し出している瀬尾さんが珍しく感情を強く出した。俺も確認していたが、瀬尾さんの名前も一組にあった。


 俺たち四人は、二年生は同じクラスメイトとして一年間を過ごすことが決まったのだ。


「やった!天ちゃんと同じクラスだ!」


「やりましたね。梨花さん」


 二人は喜びを分かち合うように表情を綻ばせていて、俺たちも優しい眼差しで二人を見つめていた。


「二年生はもっと楽しいクラスに楽しくなりますな」


「二年生も平和で穏やかに過ごせればそれでいいかな」


 そもそもこの三人と同じクラスメイトになったというだけで、少なくとも俺の中では楽しいクラスになるというのは確定事項である。


 あとは一年生の最初の頃のような変なトラブルに巻き込まれませんようにと願いながら、新学期の生活に心を躍らせた。

お読みいただきありがとうございます。


二年生は賑やかで楽しく、甘々な日々になっていくでしょう。

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