特別編 ???
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とある教室。
そこから先は暗闇が広がっていて光は差し込まない。そもそも光というものが存在しない。
そこには円形の机が中央を陣取っていて、五人の生徒が椅子に腰を下ろしていた。
「えー。今日はお集まりいただいてありがとうございます」
一人の生徒が言うと、三人の生徒は軽く頭を下げる。
「いや斗真。このセッティングはなんだよ。こんな円形の机学校のどこにあったんだよ。あと純也と真司と秀隆がなんでここにいるんだよ」
その中でただ一人会釈をしなかった生徒――柿谷良介は斗真に向けて言葉を投げかける。
この教室には良介と斗真、そして純也と真司と秀隆の五人がいた。
「こうして君たち五人を招集したのは他でもない」
「キャラ変わってね?」
良介のツッコミに触れることなく、斗真はバンっ!と机を叩く。そして目を大きく見開いて、
「俺たち、最近働いていないよな?いや、働くことができていないと言うべきか」
「……は?何言ってんの?」
斗真の突然の言葉に良介は唖然とする。
「働いてない?斗真バイトやってねぇよな?」
「違う。俺たちのことじゃない。この世界の創造主が働いていないと言っているんだ」
「創造主?」
「あぁ。この世界の創造主がここ最近何もせずのほほんと暮らしているせいで俺たちの世界の時間は止まっているんだ」
「なんでだろう。理解が全く追いついていないのにその言葉は言ってはいけないような気がする」
良介は斗真の言った言葉に引っかかりを覚えた。触れてはいけない何かに触れているような気がして、良介は思わず身体を震わせた。
「そこでっ!創造主がどうしたら仕事をするようになるかみんなで考えようっ!」
「「「おー!!!」」」
「俺がおかしいのか……」
良介は頭を抱えた。
「まずはあれだな……創造主のやる気を引き出させないと……何かいい意見はあるか?」
「はいっ!」
真司が意気揚々と手を挙げる。
「真司くん」
「露出!露出を増やしましょう!」
「なんでだよ!」
すかさず良介が声を張り上げる。
が、真司は気にすることなく続ける。
「この世界には天野さんを筆頭に多くの美人な女の子がいます。創造主も最初は彼女たちに目を心を奪われて仕事をしていたんでしょが、ここ最近はそれに慣れてきたのでしょう。それは神様に限った話ではありません。創造主を始めとして多くの方々をまたドキドキさせるためには露出は必須!今思い出してみればかなり露出が少なかったと思われる!」
「た、確かに……」
「一理あるかもな……」
純也と秀隆も同意を示すように小さく頷く。
「いやねぇよ。天地がひっくり返ってもねぇよ」
「じゃあ何だよ。良介は天野さんの水着姿見たくないのか?」
秀隆の言葉に良介はぐっと言葉を詰まらせる。
「それは……見たいといえば見たいが……他のやつに見られるのは……」
「な?見たいだろ?俺たちだって同じ気持ちだよ」
「お前らとは絶対プールや海には行かない。優奈の水着姿なんて死んでも見せないからな」
「はいはい。えーっとじゃあ女子の露出をもっと増やしたらどうかっと……他には何か?」
「もっとイチャイチャを増やすのはどうかな?」
次に言ったのは純也だ。
「カッキーや天野さんの学校での様子とか見てて凄く微笑ましいし。そういうのを今まで以上に出していけばいいと思う」
「そこについては……良介。どうなんだよ?」
「え、何が?それよりも俺だけ置いてけぼりなんですけど」
「普段家でどんな風にイチャイチャしてんだよ」
「黙秘」
完全プライベートのことなので良介は口を完全に塞いだ。
「お前たち二人のイチャイチャは世界を救うんだよ」
「知らんわ。そんな世界ならいっそのこと滅んだ方がマシだわ」
偶然見られるのならまだいい。なぜそんなことを言わなければいけないのか訳が分からず、良介はため息を漏らす。
「秀隆は何かある?」
「そうだな……恋のライバル出現とか?」
「おー!待ってました!」
斗真が目を輝かせる。
「待ってない。それに残念だったな。俺は優奈のことしか見てないし優奈も俺のことしか見てない。てかそれどこの少女漫画だよ」
「すげー自信。盛り上がりは大事だろ?」
「それはいらない盛り上がりだな。俺と優奈は普通に穏やかな日々を過ごすことができればそれでいいんだよ」
「それはつまらんなー」
「つまらない日々が一番楽しいんだ。とにかく余計なことはなくていいからな」
そう言うと、良介は肩で息をする様子を見せた。この場を一人で捌いていたのだ。そうなってしまうのも無理はない。
そのとき、ある場所から光が差し込む。
「おっ。どうやら動き出したようだな」
「え?何が?」
「創造主が」
光がどんどん差し込んでいく。
「さて。みんなそろそろ持ち場に戻ろうか」
「はーい」
「はー。また忙しくなるのか」
「今度はもう少し出番増えるといいなー」
それぞれ言葉を残しながら、光の方向に向かって歩き出していく。
そしてこの場には良介だけが取り残されていた。
「な、なんだったんだ……」
未だに状況を把握できていない良介が呟く。
『……良くん……』
光の方向から良介の名を呼ぶ声がする。心が温かくなって何度でも呼んでほしいと願う彼女の声が。
(まぁいいか)
良介も立ち上がって声の方向へ足を一歩前に踏み出す。その先に広がる世界に向けて。
お久しぶりです。
えっとですね。つまり何が言いたいかというと……
「同じアパートに住んでいるクラスのお姫様と気がつけば両想いになっていました」二年生編を制作することにしました!
読者様から良介と優奈の今後を読みたいというお言葉をたくさんいただき、僕の中で彼らの続きの世界を作ってあげたいという気持ちが強くなり、二年生編を執筆しようと決めました!
良介と優奈に手を引っ張ってもらい、読者様に背中を押していただいてもう感謝の言葉しかありません!
ちなみに今回の特別編は勢いで一時間ほどで執筆してみました。笑笑
本編はこんなふざけることなく真剣に彼らと向き合って執筆して参りたいと思っています。
ですが本編の方はこれから執筆していくので、投稿自体はもう少し後になると思います。すみません……
長くなりましたが、これからも良介と優奈の物語は続いて参りますので応援のほどよろしくお願いします。
それでは。




