友達の戦果
今日夜にもう一話投稿できたらやります。
その日の放課後には瀬尾さんからも祝福の言葉とバレンタイン兼誕生日プレゼントである市販の板チョコを貰った。
結果、俺の手元には大量のチョコで溢れかえってしまい、斗真たちがくれたチョコが入っている袋になんとかしまえたが、今にも破裂しそうなくらいにパンパンに膨れ上がっている。
あまりのチョコの多さに驚きつつも淡く微笑みを浮かべていた。
「良介は男に女にもモテモテだなー」
斗真がこちらを見て微笑を携えている俺を見て笑った。
「しばらくおやつには困ることはないな」
種類も豊富でシンプルなものからパッケージからインパクトを感じさせるものまで。家に帰ってから美味しくいただくことにする。
「瀬尾さんからはチョコは貰ったのか?」
「ん。これ」
斗真は鞄から可愛いリボンでラッピングされた袋を取り出して俺に見せた。透明な袋の中には小さなチョコボールが五、六個ほど入っていた。
「梨花の手作り」
斗真は口元を緩ませながら言ってきた。手作りチョコを自分のために作って渡してくれるのだから嬉しいに決まっている。俺も優奈からのチョコをかなり楽しみにしているのだ。
それもバイトから帰ってきてから味わえるので、疲れた身体によく染みるに違いない。
「それでさ。あの二人の戦歴はどうなったの?」
「あの二人?」
「真司と秀隆。あいつらはチョコ貰えたのかなって。何か知ってる?」
上から目線だなと自分で思いつつ斗真に尋ねる。二人も俺の誕生日を祝ってくれた大事な友達だ。何も戦果を上げることができずげんなりとした姿よりも一つでも貰ってはしゃいでいる姿が見たい。
「えっと……確か秀隆はチョコ二つほど貰ってたかな。一つは友チョコでもう一つは本命だって。さっき空き教室に呼ばれて告られたって言ってたし」
「へぇ、そうなのか。良かったな……え?」
斗真から衝撃過ぎる言葉がまるで当たり前かのようにスルッと発せられたので思わずスルーしそうになったのだが、しばらく間が空いたあと俺は聞き返した。
「同級生で同じバスケ部の子から告られたらしくて、オッケー出して無事お付き合い」
「おー!良かったじゃん!」
バレンタイン効果というやつか。付き合っているならまだしも付き合ってもいない好きな人にチョコをあげるというのはかなり勇気がいるだろう。
あとで秀隆の元に行って声でもかけてやるか。
きっと告白されたときのドキドキと付き合えたことによる嬉しさできっと表情は緩みまくっているに違いない。
「秀隆は大勝利ってことで、じゃあ真司は?」
「あーえっと……」
斗真はポリポリと頬を掻く。
「ゼロ。だったらしいっす。あとで慰めに声かけてやるべきかな……」
「やめておけ。多分真司の心にダメージが負う。傷口に塩を塗ることはせず、そっとしてやるのが一番だ」
そのあとちょうど秀隆とすれ違ったので祝言を述べたと共に真司の様子を尋ねてみたところ、生きた屍のようになっていたらしい。
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