イブの予定
昨日投稿できなくてすみません!
「――以上でホームルームは終わりだ。みんな良いお年を迎えるんだぞ」
終業式と教室内での軽いホームルームを終え、青蘭高校は明日から二週間程度の冬休みを迎える。
「いやー二学期も無事乗り越えたー」
「なんかあっという間に終わった感じがするな」
「色々あったからね」
教室内と廊下は帰宅する生徒の声で賑やかになる中、俺と斗真と純也の三人で話をしていた。
「二人は明日のクリスマスイブは彼女とイルミネーション観に行くの?」
今日は二十三日。冬休みの初日からクリスマスだ。
「イルミネーション?」
「毎年クリスマスイブに駅前でイルミネーションやってんだよ。絶対に行ったほうがいい。俺たちは今年も行くよ。イルミネーションを見てる梨花の横顔が可愛いからな」
「結局そこに行き着いちゃうのね。てかそれイルミネーションじゃなくて瀬尾さんを観に行ってんじゃんかよ」
「瀬尾さんは愛されてるねー」
イルミネーションのことを語っていると思いきや、最後には瀬尾さんの話を締めるあたりは斗真らしい。
クリスマスイブとクリスマスは毎年家に引き篭もっていた俺には知り得ない情報であった。
(優奈も行きたいって思ってんのかな)
クリスマスイブという特別な日というのもあって、いつもと違う幻想的な雰囲気に惹かれてイルミネーションを観に行く女子は多いと聞く。
帰り道にでも聞いてみようと思い、俺は意識を話へと戻す。
「二人ともいーなー。俺は明日バイトだよ。彼女いないから別にいいんだけどさ」
手を頭の後ろに組んで羨ましそうに俺たちを見ながら、純也は笑顔で「それに明日人少ないし」と言葉を付け足す。
明日と明後日はどうしても優奈と過ごしたくて、なんとか休みを貰うことができた。その考えは、彼氏、彼女持ちのバイト仲間も同じなようで純也やトモさんに負担がいってしまうのだ。
「幼馴染先輩とはイルミネーション行かねぇの?」
「奏も同じ時間までバイトだから」
「そのあとは?」
「家に凸るって」
「完全に脈ありパターンじゃねぇかよ。イブの日に男の家に来る女子は完全に好きって言ってるようなもんじゃん!そもそも同じ時間までバイトって……」
「バイトの時間聞いてきたから教えたら、『じゃあわたしも同じ時間にするわー。帰ったら純也の家行くねー』って」
「マジかよ……相当のにぶちんじゃんか。幼馴染先輩が可哀想に思えてきた……」
これ以上言葉が出ないという様子で苦笑を見せる斗真を、純也は目を丸くして見ていた。
「そもそも奏は幼馴染だからそんな目で見たこと一回もないんだよ」
「もし幼馴染先輩が告ってきたら?」
「奏が?ないない」
「だからもしって聞いてんじゃん。どうなんだよ」
「まぁ……付き合えないとまでは言えない」
「なんじゃその回答は」
「あー!もうこの話は終わり終わり!ほら、お二人さんの彼女も待ってくれてるんだから帰った帰った!」
両手で俺たちを追い払うようにする純也。優奈と瀬尾さんは俺たちを待っていた様子で、話に夢中になっていて気がつかなかったのだ。
「ちぇっ。はぐらかしやがってよー」
「悪いな純也。明日のバイト頑張ってな。今度なんか飯でも奢るよ」
「じゃあカッキーの家でなんか食いたい」
「オッケー」
俺と斗真は純也と別れて、二人の元へと向かった。
「優奈。明日駅前のイルミネーション観に行きたい?」
帰り道、俺は優奈に尋ねた。
「行きたいです。梨花さんともその話をしていたので……」
「ん。分かった。それじゃあ明日の夜にイルミネーション観に行こうか。ご飯はイルミネーション観に終わった後に家で食べる感じでいいかな?」
元々二十四日の夜は家で食べるつもりだったので、食料も買い込んである。かなり豪勢な料理にするつもりだ。
「はい。大丈夫です」
優奈はにこやかに笑った。
俺も初めて観に行くイルミネーションに心を躍らせた。
次話はクリスマスイブです。
良介と優奈はどんな風にイチャイチャするんですかね。
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