食後のデザート
書こうか迷ったのですが、勢いで書きました。
おまけ程度だと思い、気軽に呼んでください。
「優奈。これ何?」
食器を片付け終えて、コーヒーとカフェオレを作っていたときにあるものに目が留まった。
手提げタイプのテイクアウト用の白い箱が邪魔にならないところにひっそりと置かれていたのだ。
ポンポンと優奈の肩を叩いて尋ねる。
「気がつきました?」
整った顔立ちに笑みを含ませて言うと、優奈はその箱を開ける。そこからは一つのショートケーキの姿があった。
「放課後、スイーツ店に行くって言ったじゃないですか。そこで食べたショートケーキがとても美味しくて、良くんにも是非食べてほしいって思って買ったんです」
食器棚から皿とフォークを取り出すと、ショートケーキを皿に乗せて、食卓に持っていく。
座ってと手で合図してきたので、俺はコーヒーとカフェオレを食卓に置いて、椅子に腰掛ける。
「いつもバイトを頑張ってくれている良くんには何かご褒美を上げたいと思いまして……」
「いつも優奈に飯を作ってもらってるだけで、俺にとっては十分すぎるほどのご褒美をいただいてるんだけどな。いくらだった?お金返すよ」
「お金なんていりません。これは良くんのご褒美なんですから」
財布を取りに向かおうとする俺に、優奈は首を横に振る。
「じゃあ……いただきます」
「はい」
抵抗するのを諦めて手を合わせる俺を見て、優奈は嬉しそうに頷いた。フォークでショートケーキを一口サイズに切って口に運ぶ。
「……美味い」
ふわふわなスポンジ生地に泡立てた生クリームはあっさりしていて甘すぎない。そこに半分にカットされたイチゴの程よい酸味がマッチしていて全体的にバランスが取れた美味しさになっている。
ケーキの王道であり、頂点であるとそう思わせられるような味だ。
「良くん。口元に生クリーム付いてますよ」
「え?あ、ほんとだ」
軽く口元を舐めると、微かに生クリームの味がする。気をつけて食べていたつもりだったのだが、付いてしまっていたのだ。
「動かないでくださいね」
そう言って優奈は指で生クリームを取ると、それを自らの口の中に含んだ。生クリームを飲み込むと「甘い……」と微笑を携えながら言った。
「めっちゃ恥ずいんですけど……」
ケーキに落としたフォークをそのままに、俺は羞恥の声を漏らす。おそらく素でやっていたのだろう、最初はキョトンとした顔の優奈だったが、自分のしたことを徐々に思い出して、少し顔を赤らめる。
「べ、別にいいじゃないですか。良くんの彼女なんですから……」
口の中に広がる甘さと、恥じらいの姿を見せる優奈の可愛らしさのダブルパンチが俺を襲う。口の中も視界も甘くなったような気がして、俺はコーヒーを流し込むのだが、しばらく甘さが引くことはなかった。
「ふぅ。美味しかった。買ってきてくれてありがとう」
「喜んでくれて良かったです」
ショートケーキを食べ終わり、俺は満足げに呟くと、優奈も安堵の表情を見せた。
「優奈はショートケーキ食べたんだよな?瀬尾さんは何食ってたんだ?」
「モンブランとパフェ食べてました」
スマホを操作して俺に写真を見せてくれる。
そこにはメロンやイチゴ、黄桃と言ったフレッシュなフルーツの下に生クリームとバニラアイスという中々にボリューミーな特大パフェだった。
「モンブランに加えてこれって……一人で食い切れるか?」
男ならなんとか食べられるかもしれないが、女子一人では食べ切れる量ではない。甘い物好きな瀬尾さんでも流石に無理があるだろう。
「元々シェアするつもりで頼んだらしくて、これもすごく美味しかったですよ」
「へぇー」
「今度、二人で行きましょうね」
「そうだな。そのときは特大パフェでも食いにいくか」
「はい」
約束をして、俺はコーヒーを飲んだ。
お読みいただきありがとうございます。




