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オープンしたてのスイーツ店

「良くん」


 放課後。今日も学校での一日を終えて、大きく伸びをしながら椅子にもたれかかっていると、優奈に声をかけられた。


 風邪が治ってから数日が経過していて、病み上がりからか、最初は少し身体が重そうにしていた優奈だったが、今は普通にピンピンしている。


「今日は別々に帰ってもいいですか?梨花さんからお誘いを受けまして……」


「お誘い?」


 バイトがあるないに関わらずずっと一緒に帰っていたので、別々に帰ってもいいかと言われた俺は少し目を見開いて少し悲しい気持ちになったが、瀬尾さんの名前が出てきたので俺は尋ねる。


「はい。最近オープンしたスイーツのお店があったじゃないですか。梨花さんに二人で行こうって言われたんです」


 優奈が言っているそのスイーツ店は、最近テレビでも話題になっているお店のことだろうか。

 確か店の名前はbelle(ベェル)と言ったか。フランス語で美しい、綺麗という意味だそうだ。


 味はもちろんのこと、見た目も可愛くておしゃれだとオープン直後にも関わらず既に多くのお客さんが来ているようだ。特に十〜二十代に人気にあるらしくて、SNSでもそのお店のスイーツの写真を上げる人が多くいるらしい。


 心なしか、優奈の口元が微かに緩んでいるように見えた。優奈や瀬尾さんに問わず、女性は甘いものが好きなイメージがある。優奈に至っては自分で作ってしまうくらいなのだから、相当甘いものに目がないのだろう。

 以前食べたチョコカップケーキも、お店のものですと言われても納得がいくほどの美味さだった。


「うん。是非行ってきなよ」


 学校終わりの放課後に、友達と遊びに行くのを止める理由など俺にはない。男が絡んでくるのであれば話は変わってくるのだが、二人だというのだからそこの心配をする必要もない。平日の夕暮れ時にナンパをする輩は流石にいないだろうしな。

 俺は優奈のお出かけを受け入れる。


「ありがとうございます。スイーツの写真も良くんがバイトから帰ってきたら見せますので」


 安堵の笑みを見せながら、優奈は言った。

 

 瀬尾さんのクラスもホームルームを終えて、こちらのクラスに顔を覗かせる。


「それじゃあ行ってきます。バイト、頑張ってくださいね」


「おう。優奈も楽しんできてな」


 そう言うと、優奈は鞄を持って瀬尾さんのいる元へと歩いて行った。


 (さて、俺も行きますか)


 重い腰を上げて、俺もバイト先へと向かい歩き出した。

お読みいただきありがとうございます。

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