いつかの未来予想図
ショッピングモールからただ帰ってくるだけのお話なので鬼短いです。
その後は、優奈と昼食を食べたりゲームセンターで遊んだりと、充実した時間を過ごすことができた。
その帰り道ーー
「良くんって子供好きなんですね」
手を繋ぎながら歩道を歩いていると、優奈が口を開いてそう言った。
「あぁ。子供は結構好きだぞ。見てて可愛いし癒されるしな。急になんで?」
「面倒見がいいなと思ったので」
「あー。まぁ、面倒を見るのは別に苦とは感じないな」
誰かの助けになる、世話を焼くというのは日頃からやっている。最初は意識して行なっていたのだが、今ではそれが当たり前になり無意識下でやっているのでそこまで大変とは思わない。逆に世話を焼き過ぎて疎まれないかどうか心配になるほどではあるのだが。
「それに優奈だって面倒見がいい方だと思うぞ」
「そうですか?」
「おう。蓮くんの口元を拭いてあげる姿とかサマになってたし」
あの子に向けた優奈の柔らかな表情に暖かい視線は、まるで聖母のように優しくてとても美しかった。
「良くんだって、蓮くんを抱っこしてあげている姿とかまるで本当のお父さんみたいでしたよ」
「お父さんね……」
まだ先のこと過ぎてイメージのしようもないのだが、いずれはそうならなければいけない日が来る。蓮のような元気いっぱいな子供だと中々骨が折れそうな気がするのだが。現に僅か相手をしただけなのに、疲労が蓄積している。
蓮くらいの歳の子供はいろんなものに目を引かれてあっちこっちに動き回りたくなるのだろう。
「優奈も将来はいいお母さんになれそうだな」
「お母さんですか……いつか、そんな風に呼ばれる未来がくるといいですね」
優奈は目を細めてフフッと笑みを浮かべる。
もし仮に、将来子供ができたとしたら、ショッピングモールだけじゃなく水族館だったり動物園に出かけたりして、その度に子供の対応に追われながらも楽しく遊ぶことができるのだろう。
勝手に脳内で広げている未来予想図。
そこにはどんな景色が待っているのだろうか。
だが、今日のデートで分かったことがある。
例えどんな未来が待っていようとも、隣には優奈に立っていてほしいと。太陽のように眩しく、一輪の花のように美しく笑ってくれる優奈に立っていてほしいと。
きっとそれだけで、俺の人生は明るく彩られるはずだからーー
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