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八八冒険記  作者: 夢形えいて
1章
8/51

始まりの神社(sideシュン) 01

 翌日、同好会の部室に集合した僕たちは、八八の御朱印帳を眺めながら作戦会議を開いていた。

 「1,2,3・・全部で10か所の神社の名前が書いてありますね。11番目だけ、名前のところが 空白になっていますね。どうしてなのかな?」 

 僕たちは、御朱印帳の最初のページを見ながら作戦会議を始めた。

 「よくわからないですね。」

 僕の横から御朱印帳を見ていたユウも頭を悩ませている。

 「会長、とりあえず、どこから行きますか?」

 そんな僕たちの様子を見ていたヨシ先輩も行き先を決めかねているのか会長に尋ねている。

 会長は、僕たちに見つめられる中、静かに思案していた。

 「素直に考えれば一番上に書いてある所に行くべきなんだろうが、この順番にも何か意味があるかもしれないな。」

 「ここから一番近いのは露天神社ですね。」

 そんな会長の様子を見ていたヨシ先輩が、ふと気付いたことを口にした。

 「近くにある露天神社ってどこですか?」

 聞き馴染みのない名前だったので、思わずヨシ先輩に問いかけていた。

 「あぁ、お初天神の事ですね。あそこは、確か梅田駅の近くだから、すぐに行けそうですね。」

 心当たりがあったのか、ユウが横から答えてくれた。

 「そうだな。しかも、少彦名大神を祀っているので、病気平癒の祈願もできると思う。」

 ヨシ先輩は、僕に気を使うように顔を向けた。

 「ヨシ先輩、そうなんですね!困った時の神頼みで、ぜひ、アヤさんの病気平癒の祈願に行きたいですね。」

 ユウも露天神社の御神体を知らなかったのか驚いた様子であった。

 「会長、八八も気になりますけど、まずはアヤのために自分が出来ることをやりたいです。」

 この旅の始めにアヤの病気平癒の祈願に行けるなら、是非行っておきたいと思いユウの発言にかぶせるように言ってしまった。

 「効率とシュンの気持ちを考えると一番上から行くより、お初天神にまずは行くべきだな。」

 三人の意見を聞きながら、会長は方針をまとめた。

 「じゃあ、まずは、お初天神から行ってみるか。」

 会長は、『八八』を掲げ、三人に宣言した。

 「会長、ありがとうございます。ここからだと、杉本町から天王寺に出て、御堂筋ですかね。」

 僕はすぐに携帯で乗り換え案内を調べて、三人に伝えた。


※※※※※※※※   


 いつも満員で有名な御堂筋線もxxxトリプルエックスが流行りだしてからは、比較的、空いてる時間帯が多くなっていた。

 「梅田かぁ~、何となく最近は繁華街を避けてたから久しぶりですねぇ。」

 ユウは、車内の路線図を見上げ、経路を確認していた。

 「ユウ、遊びに行くんじゃないぞ。」

 ユウにそう指摘したヨシ先輩もこれから待ち受ける事に対する期待と不安を隠せない様子であった。

 「それにしても、この御朱印帳に御朱印を押すとどうなるんでしょうね。」

 僕は、そんな空気を変えたくて会長に話しかけた。

 「そうだな。とりあえずはいつも通りに参拝してから、納経所に行くしかないだろうな。」

 「そういえば、今回は電車なので杖は持ってきてないが、皆、数珠はちゃんと持ってきているか。」

 会長は、カバンから数珠を取り出し、僕たちに見せた。

 「もちろんですよ。鈴虫寺に行った時にみんなで一緒に買ったやつをちゃんと持ってきています。」

 ユウは、カバンから会長と同じ数珠を取り出してみせた。

 梅田駅で降りた僕たちは地上に上がると、露天神社に向かって歩きはじめた。

 地上に出てから信号を渡るとすぐにアーケードが設けられている大きな通りになっていた。通りの両側には、居酒屋や大型ゲームセンター、レストランが並んでいる。商店街を200メートル進み、右に曲がって少し進むと大きな道路が目の前を横切るように走っていた。その道路の横断歩道の先にはまたアーケードが設けられた商店街があった。ふと目線を上にするとアーケードの入り口の上部に、女の子の絵と「お初天神通り」と書かれた看板があった。

 「この通りで合ってるみたいだな。」

会長は、改めて進路が合っていることを確認した。

 「そうですね、このまま進みましょう!」

 僕は、少し焦っているのか、思わず三人を急かすような事を言ってしまった。お初天神通りに入ると、左手にお初天神通りの成り立ちが書かれており、その横の敷地はビルの建設途中らしい工事現場となっていた。そのまま道なりに進んでいくと、両側に和食居酒屋や立ち飲み屋、レストランやバーが賑わっていた。

 「なんだか思っていた雰囲気と違いますね。」

 「そうやな、意外に居酒屋が多いんやな。」

 ユウとヨシ先輩は、少し間の抜けた声で話をしていた。

 「さぁ着いたぞ、ここがお初天神だ。」

 会長がそう言うと、僕たちは足を止めた。僕たちの視線の先には、あまり目立たなかったが、露天神社への入り口があった。

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