深まる謎
城に到着すると、部屋に案内される。
お茶とお菓子が用意されているので、ルナは片っ端から全種類食べていく。
うむ。1時間くらい待たされてる。
ヤマトは意思決定が遅いのか?
すると、身なりの良い男性から声がかかる。
「失礼してよろしいでしょうか?」
戸は開けっ放しにしていたのだが、律儀に声をかけてくる。
「大丈夫だ。」
「失礼します。」
礼をして部屋に入ってくる。
ベリーが座るように促すと、男が座る。
待たされる理由が分かった気がする。
礼儀を重んじすぎるんだ。
俺はすぐに切り出す。
「今どんな状況なんだ?話を聞きたい。」
「今王が出払っております。代わりに王の妹であるハナ様と面会していただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
「かまわない。すぐに案内してくれ。」
「それで、その、ハナ様なのですが・・・」
「何かあったら言ってくれ。遠慮はいらないぞ。」
「ハナ様は人見知りで、直接話をするのが難しいのです。特に男性が苦手で・・・ハナ様が部下の者に耳打ちをして代わりに話す形となり、失礼にならないかと心配しているのです。」
「かまわない。すぐに案内してくれ。」
「分かりました。案内します。」
俺はベリーに袖を掴まれる。
「ウイン、もう少し口調を抑えた方が良いわ。」
「ん?普通だった思うぞ?」
「ウイン、今から会う姫は人見知りなんだよ。いつもより声を抑えてくれないかい?」
エムルに指摘されるとは!
気を付ける必要があるな。
「分かった。3人で話をして欲しい。俺は深呼吸をしておく。」
部屋に入ると、カラフルな衣装の少女が中心に座り、横に忍者の格好をした女性が片膝をついて横に控える。
俺達4人が座ると、忍者が話を始める。
「この方はハナ様。私はシノ。よろしくお願いします。」
あ、この忍者も話が苦手だな。
話はみんなに任せよう。
ルナがこちらの自己紹介を済ませ、早速本題に入る。
「私たちの住む大陸から、名前持ちのゴブリン、バグズがこの地に上陸しています。こちらとしては、軍を送り、バグズの討伐をしたいのですが、ヤマト側の考えをお聞かせください。」
花がシノに耳打ちする。
「バグズの脅威、分かった。この国、名前持ちの魔物、キュウビの対応、追われてる。軍は少し、待ってほしい。」
「キュウビの対応が終わるまで軍を送る話は待ってほしいという事で良いですか?」
「その通り。」
ん?このやり取りが続くのか?ハナが耳打ちして、会話が苦手な忍者が話をする。
そしてルナが翻訳したように確認を取る。
俺は会話に割り込んだ。
「すまない。俺は街を見て来て良いか?終わったらみんなから話を聞きたいがどうだ?女性だけの所に男が俺だけなのは居心地が悪いんだ。」
「かまわない。ごゆるりと楽しんで欲しい。」
俺は部屋から出るが、ベリーも付いてくる。
「ベリーは居ても良かったんだぞ。」
「私も、外交はよくわからないわ。」
それもそうか。
「街を見て歩きたいが、来るか。」
「うーん。そうね。私も行くわ。」
街を歩くと、様々な店が並んでいるが、棚に物がまばらだ。
物が足りないのか?
考えながら歩いていると、狐族の女性がベリーを見つめる。
女性はベリーの所に近づく。
「ねえ、あなたベリーでしょ!?その首輪、ベリーよね!お願い、助けてほしいの。みんなを助けて!もう無理なの!」
狐族の女性はベリーにしがみつき、泣き出した。
よく見ると女性は痩せており、来ている服も傷んでいた。
ベリーは女性を抱きしめるが、俺は状況を呑み込めない。
俺はベリーを見つめるが、ベリーも泣いている。
俺は黙って見守った。
ベリーと女性は落ち着きを取り戻す。
俺は口を開く。
「ベリー状況は分からないが、俺に出来ることはあるか?」
ベリーの代わりに女性が口を開く。
「私たちの家に来て欲しいの。」
街を出て、少し歩くと、家とは言えないテントのような建物が無数にある。
しかも魔物に襲われたのか、そのテントすら所々壊されていた。
魔物の多い状況で街の外でキャンプ生活をする。
明らかに異常事態だ。
「どういう状況でこうなった?説明してくれ。」
女性が口を開く。
「私たちは本土の西部で生活していたの。しばらく前にゴブリンが攻めてきてみんなで戦ったけど、強い者はゴブリンに殺されて、女はさらわれ、私たちはここまで逃げてきたの。でも今は本土も余裕が無くて、みんなに食べ物も十分に食べさせられなくて、戦う力が無い者だけで魔物から守ってるの。もうどうしようもできないのよ。」
女性は泣き出す。
「なあ、キャンプハウスを出して、食べ物の炊き出しをしたいが、ベリーはどう思う?」
ベリーがまた泣き出す。
「助けて!みんなを助けたい!」
ベリーとこの女性は知り合いなんだろうな。
まだ良く分からないことが多いが、話は後だ。
俺はキャンプハウスのスキルを使う。
大きめのログハウスを作っていくが、全然足りない。
MPが少なくなり、作れる建物はこれで限界だ。
後は食べ物だな。
「みんな、食べ物を出すから、料理の出来る者を呼んでくれ。」
俺はデイブックの外周探索時の魔物の肉が残っていた。
ストレージで魔物の肉を出す。
すぐに煮炊きの準備がされた。
「残りは魔物だな。俺は周りの魔物を狩ってくるが、ベリーはここを守るか?それとも一緒に来るか?」
「私はここにいるわ。」
「分かった。数日帰らないが、みんなとの連絡や説明を頼む。」
俺は周りの魔物狩りを始めた。
7日後
ルナの反応だ。
俺はルナの元に走る。
「ウイン、今すぐ戻って食べられる物を全部出してください。狐族の食料が足りません。」
「分かった。」
俺が戻ると、すぐにすべての食べ物を出した。
エムル・ベリー・ルナ全員揃っており、狐族の者も居た。
「このヤマトで何が起きているか良く分からない。会談はどうなった?狐族は助かりそうか?」
「ウイン。落ち着いて話をしようじゃないか。」
俺たちは話を始めた。
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