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追い詰められるアオール①

デイブック民主国はゴブリンによって被害を受けた後、避難した国民によって復興が行われていた。


だが、すでに国力を失ったデイブックの国民はアーサー王国へと亡命し、その流れは加速していた。


もちろん国に残る者も居る。


アオールは、国に残り、権力を手に入れる道を選んだ。

アオールはヘイトの死によって実質国のナンバーワンになっていた。


「ふっふっふ、ヘイトが死に、今俺がナンバーワンだ。上にへこへこする必要もない。これから俺がこの国を支配する。」


アオールは思い違いをしていた。

アオールが2番目の権力を維持できていたのは、ナンバー2であるおかげだった。

ナンバー2という立場は楽なのだ。

アオールの場合、

何か問題が起きれば、『意向を伺う必要がある。』と裏の存在を匂わせてヘイトに相談すれば良かった。

上からの指示を部下に伝える際も、『睨まれたくない。黙って受けてくれ!』と裏の存在をほのめかすことでうまく部下をコントロール出来た。それでも従わないものはヘイトに潰してもらえば良い。

自らリスクを負う必要がなく、部下に対してでかい態度を取ってさえいれば良かった。


もちろんトカゲの尻尾きりに利用されるリスクはあったが、運よく立場を維持できた。





アオールが追い詰められていることに自身は気づいていなかった。

「アオール様!大変です。マスコミギルドにブラックベアの群れが迫っています!」


「冒険者や警護は何をしている!?」


「戦ってはいます!しかし多くの者がアーサー王国への亡命を開始し、防衛の手が足りないのです。」


「お前らでギルドを守れ!」

ギルド員たちは驚いて一斉にアオールを見た。

ギルド員の多くは戦うすべを持たない者だった為アオールの異常な指示に驚いたのだ。


「アオール様はどうなさるのですか?」


皆がアオールの発言に注目する。

「俺、私は上の階でやることがある!上の階には絶対に入れるなよ!」

アオールは走って上の階に上って行った。


残されたギルド員は素早く判断をした。

「逃げるぞ。もうマスコミギルドは終わりだ!」

このことで多くの職員がギルドを去った。


この事件でアオールは無傷だったが、逃げ遅れた職員がブラックベアの襲撃を受け、多くの死傷者を出した。








ヘイトの死後、マスコミギルドの勢力は急速に弱まった。

さらに軍部と冒険者ギルドは一般人も含めた移民を進めた。

このことにより、国内に戦闘が出来るものが激減した。






アオールは冒険者ギルドに乗りこむ。

「国を守るべきギルド長が軍部と協力して移民を進めるのか!!国民の安全を何だと思っている!!」

アオールは口が上手かったが、アオールの悪評はすでに冒険者ギルドにも届いていた。


「国民の安全を守るために一般人の移民も進めている。」

ギルド長はどっしりと落ち着いて対応する。


「ふざけるな!今すぐ連れ戻せ!」


「出来ないな。やりたければマスコミギルドで動いてくれ!話は終わりだ!こいつをつまみ出せ!」


アオールは両腕を左右から掴まれ、足をじたばたしながら抵抗する。

「な、何をする!離せ!私はマスコミギルドのトップだぞ!」

アオールは冒険者に殴られ気絶させられると、マスコミギルドの前に放置された。

マスコミギルドの職員にアオールを助けようとする者は居らず、自らが目を覚ますまで外に放置されていた。


アオールが目を覚ますと屈辱に震えた。

この俺がこんな扱いを受けて良いはずがない!これは間違っている!

見ていろよ!軍部も冒険者ギルドもマスコミギルドの態勢を立て直したら真っ先につぶしてやる。


だが、アオールの思いとは裏腹にマスコミギルドの人間は急速に居なくなっていた。

求人も集まらず、それどころかアーサー王国への移民は流れを増し、軍部と冒険者ギルドの存在そのものがこの国から消えつつあった。

アオールが蓄えた金も価値を落としつつあった。

デイブック民主国の通貨は紙幣を使っているが、紙幣には何の裏付けもなく、国の衰退とともに紙幣の価値も目減りしていった。

「紙幣の価値が目減りしているな。だがまだ、金庫の中に蓄えた金塊がある!」

アオールは急いで自宅へと向かう。


アオールが自宅へと向かうと、家はボロボロになっていた。

自宅に盗賊が押し入り、金目の物はすべて奪われ、家に火をつけられていた。」

軍部と冒険者が居なくなったことで治安が悪くなっていたのだ。



「み、水!みず!消火だあああ!」

アオールはなんとか家を消火するが、家が焦げ臭く、部屋の半分以上が使えなくなる。









アオールも事の重大さを理解した。

マスコミギルドを去るものが後を絶たず、戦闘が出来る冒険者達も国を去った。


「私がトップになってから情報が集まってこない!」


このままではまずい。そうだ!アーサー王国に亡命しよう!

まだ何とか港の船を使える。今のうちにアーサー王国に亡命すればまだ間に合う!

アオールは急いで船に乗り込んだ。








アーサー王国の港!

「アオールさんの入国は許可できません。」


「なぜだ!他の者は入国している!なぜ私だけダメなんだ!」


「アオールさんはアーサー王国に魔物をなすりつけた容疑がかかっています。入国すれば、罪人として処罰される可能性がありますが、それでも入国しますか?こちらとしては罪人として処罰されないために配慮しているのです。」


「ぐれあああがああ」

アオールは奇声を発して受付に襲い掛かった。


「取り押さえろ!」

アオールは警備に取り押さえられた。

アオールの斜め後ろには、警備の者が配置されていたのだ。

アオールは危険な犯罪者の疑いがかかっていた為、万全の体制が取られていたのだ。



「ふざけるな!この俺になんてことをする!離せ!!」

アオールは全力で抵抗したが、警護に殴られてデイブックに強制的に帰国させられた。







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