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ベリーは壁ドンに弱い

俺は倒れこんでいるルナとベリーの埃を払い、ログハウスのベッドに運ぶが、エムルが騒ぎ出す。



「僕もベッドまで運んでくれないかい?」

プレイじゃないし、そこのどこに面白さがあるのかわからないぞ。

手早く済ませよう。

俺はエムルを担いでベッドまで運ぼうとした。

もちろんやる気は無く、適当に済ませる気満々だ。


「ウイン・・・君は分かっていないよ。外で僕が倒れている所からが始まりなんだ。」

エムルのこだわりは良く分からないが、エムルの機嫌は悪かった。


「分かった分かった。」

俺たちは外に戻った。


エムルは寝ころびゴロゴロと自分の体に葉っぱやほこりをまとわせていた。

俺は無言で埃を払い、ログハウス内のベッドに運んだ。


俺のやる気の無い顔を見てエムルは悟ったような表情でしゃべりだす。

「ウイン、人生に無駄なことなんて一つもないんだ。」

良く分からない名言のようなことを言ってくるが、俺はスルーした。






気晴らしに料理でも作るか。

時間が無い場合はストレージから出した料理を食べるが、評判が良いのはその場で作って食べることだ。

焼き肉にしようと言って焼かれた肉をポンと出されるとテンションが下がるだろう。

一緒の理由だ。

料理をしているときの匂いなんかも大事なんだろうな。

俺が料理を始めると、他の3人は後ろで見ていることが多いが、ルナだけは来なかった。


「ルナはダウン中か?」


「うつぶせで寝てるわ。」

ルナが疲れた時の奴だな。


今作っているのはミートソースパスタと野菜スープ。

野菜スープには風味を増すためベーコンを入れた。

スープと言っているが、具がスープからはみ出るくらい具を多くしている。

さらにエムル用にコーヒーのお湯を沸かし、ルナ用のケーキを2ホール用意した。

あと少しで出来上がりだ。


「ルナを呼んでくるわ。」

ベリーは空気を読んでルナを呼びに行く。


ルナはベリーにおんぶされて来た。


ベリーがルナを座らせたタイミングで言った。

「みんな、もう食べてていいぞ。」


ルナは覚醒したようにケーキを切り分ける。


俺がパスタとスープを鍋ごと机の中央に置く。食べたい分を取り分けて食べるのだ。


みんなで食事を食べだすが、ルナはケーキから、ベリーはミートソースから食べだした。

エムルは落ち着いた様子で野菜スープを食べる。

この様子を見てエムルに腹黒さを感じるのは俺だけだろうか?


野菜スープを食べると表現するのは、具が多いため、どうしても飲むというより食べる形になってしまう。

皆、食べ方に品があって綺麗なんだよな。

エムルも食べるしぐさは綺麗だった。


俺がみんなを見つめていると、ベリーが視線に気づいた。

「なによ?」


「みんな食べ方がきれいだし、個性があると思ったんだ。」


「個性とは何でしょう?」


「ルナはケーキを食前と食後に挟むだろ。ベリーはいきなりメインディッシュを食べ始めてストレートな感じがする。エムルは最初にスープを食べて様子を見るような策士感が出てると思った。」


「僕だけ軽蔑されている気がするよ。でもそれが良い!」


ベリーとルナは赤くなっていた。


「気にしないで食べてくれ。さあさ!召し上がれ。」


「食べにくいわよ。」

ベリーはうつむいたまま食べていた。


「みんな、食事が終わったら壁ドンをしてみないかい?」


「なんだ急に?」

エムルは唐突に変なことを言い出す癖がある。


「壁ドンだよ!ウインがみんなに壁ドンをするんだ。みんなウインに壁ドンをされたいと思ってるんだ。特にベリーに壁ドンは効果的だよ!」


「そういうのって今からやるぞって言って壁ドンして効果あるのか?」

しかもベリーが巻き添えを食っている。ベリー。災難だったな。


「私も賛成です。」

ルナが賛成に回った。意外だな。てっきりスルーするかと思っていたんだが、うーん。でもエムルの言うことだから何か裏があるんじゃないか?」


「ウイン。僕たちはみんなレベル200を超えたんだ!このくらいのご褒美はあってもいいはずだよ。これから長い探索生活は続くからこそ、こういう心のゆとりは大切だと思うよ。それにルナも賛成している。ベリーは素直になれないだけでやってほしくてしょうがないに決まっているんだ。壁ドンなんてすぐに終わるさ。君に迷惑はかけない範囲の要求だよ。それに君は食事が終わると魔物狩りや偵察なんかで出かけてしまうじゃないか!パーティーの結束を今こそ強めておくべきなんだ。」

エムルの話が長い。しかもベリーは巻き添えを食らって真っ赤になっているぞ。

後気になるのがエムルの吐息が激しくなっていることだ。

だがここで無視すると数日間エムルのしつこい説得が続く。

それはそれで厄介なんだよな。


「分かった。やってみよう。とりあえずルナからな。」


「お願いします!」

ルナは壁を背にして立ち、俺はルナに近づき右手をどんと壁に当てた。


「ストップ。違うんだ。顔と顔が遠すぎるんだよ。それは壁ドンじゃないんだ。もっと真剣にルナを見つめて顔を近づけるんだよ。」

エムルのストップが入る。

何なんだ!


要求が細かいぞ!


お前の好みの問題だろ!


「分かった分かった。もう一回な。」

「それと、ウインの気分が乗ったらもっと熱くむさぼるようなプレイも大歓迎さ。」


俺は無視してもう一回壁ドンした。

ルナと俺の顔が近づく。


「こ、これは!良いです!皆さんもすぐに試してみるべきですよ!」


「うんうん大成功だね。次は僕だよ。」

エムルは壁を背にして立つが、両手を後ろに組んでいるせいで、胸がやたらと前に出ている。

俺が壁ドンすると、エムルの顔が前に出てくる。唇を少しとがらせてキスをする気だ。

俺は左手でエムルの顔を壁に押し付けた。

ある意味これも壁ドンだ!


「ああ!良いよ!ご褒美だよ!」

エムルは体をくねらせて喜んでいた。


「最後はベリーだな。」

ベリーはすでに顔が赤かった。


「ベリー。もう顔が赤いぞ。」

俺はベリーの頬に手を当てる。

ベリーの体温はみんなより少し暖かい、さらに今は赤くなったことで体温が上がっている。


「ベリーってルナやエムルより体が暖かいよな。」

「ふぇ?」

ベリーはさらに赤くなる。


「始めるぞ。」

俺はベリーを壁に立たせて右手で壁ドンし、顔を近づけて見つめた。

ベリーは耐えられないようで、自身の顔を両手で隠しす。


「ベリー、顔を隠しきれてないぞ。」

ベリーは俺の両眼を手で覆った。

ベリーの反応は予想以上に良かった。


「こ、これは!もう一回だよ!みんな並んで壁に立つんだ!」


ベリー、エムル、ルナは壁を背にして並んだ。

こうしてみると、ベリーとエムルの背は標準的だけど、ベリーが少し高いな。

ルナは背が低い。

俺はもう一回壁ドンをしてその日は休んでもらった。


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