勇者パーティーの失敗続き⑥
アーサー王国の侵攻に失敗したゴブリンキングの軍団は、森でキャンプをしていた。
ゴブリンキングが王都攻めを中断し、撤退したことで、ゴブリンキングに対する不満が高まる。
「ナゼニゲタ!ナゼテッタイシタ!」
「俺はまだ戦っていない!」
「こちらが全滅する可能性があった!」
何人もの精鋭がゴブリンキングを非難した。
「オレタタカッテナイ、オンナサラウ!」
「俺は戦いたい!!」
こいつら、斬り殺してやろうか!いや、落ち着け、こいつらは精鋭部隊の隊長だ。あそこには得体のしれないやつらが居る。だが、東の方の人間どもは弱かった・・・・
「分かった!戦おう!帰る途中の町で人間と戦い、女を奪え!」
「タタカイダ!オンナダ!」
「戦える!戦える!」
ゴブリンの軍団は雄たけびを上げた。
うぉおおおおおおおおおおお!!!
ゴブリン達の不満はデイブックにぶつけられようとしていた。
◇
マスコミギルド
クロノは緊急の連絡を始めた。
「ヘイト様、ゴブリン率いる軍団がデイブックの南部へと迫っています。」
「なんだと!アーサー王国になすりつけたはずだ!」
「現在調査中とのことですが、アーサー王国で魔王がゴブリンと応戦したとの情報が入っています。」
魔王か。それならゴブリンが撤退したのも納得できる。
「デイブックの動きはどうなっている?」
「戦えるものを南部に集結させつつ、国民の避難を行っているとのことです。しかし、ゴブリンの侵攻があまりにも早く後手に回っています。」
「ゴブリンの数は分かるか?」
「約1万とのことです。」
「ご苦労だった。下がってくれ。」
「失礼します。」
ゴブリンども、大分減ったがまだ1万もいるのか。防ぎきれるか微妙だな。
◇
デイブック南部でゴブリンとデイブックの冒険者たちが対峙する。
デイブック側6000
ゴブリン軍団の数は1万
最前線には勇者パーティーのブレイブ・ガーディー・マリーの姿があった。
勇者ブレイブはみんなに持ち上げられ、おだてられて最前線に立つ。
ブレイブは完全にゴブリンをなめていた。
こちらの方が数は少ないが、一人2体倒せばお釣りがくる。
今回の戦いは余裕だな!
だがブレイブは計算違いをしていた。
今対峙しているゴブリンはアーサー王国との激戦を生き延びた精鋭揃いだという事を分かっていない。
7000のゴブリンが侵攻を開始した。
全軍で突撃しないのはゴブリンキングのいつものやり方だった。
前回の戦いの結果から精鋭部隊の再編成を行っていた。
後ろに強い者を残し、相手が息切れした瞬間に一気に残りの軍団を突撃させるのだ。
アーチャー同士の矢の雨の撃ちあいが始まるが、ゴブリン軍団は苦戦していた。
「光の盾!」
ガーディーが光の大きな壁を出し、矢の攻撃を防いだ。
余裕だな!どんどんゴブリンがやられていく!このパーティーのランクアップも近いぞ。
くくく、ゴブリンども!俺の生贄になれ!
距離を詰めたゴブリンと魔法の撃ちあいになるが、やはりゴブリンは苦戦した。
俺がお前らを狩ってやる!みんなに俺の有能さを見せつけてやる!
その後前線が乱戦状態になり、ブレイブはどんどんゴブリンを斬り倒していく。
人間側は勢いを増して攻撃を繰り出し、ゴブリンを倒していった。
「はっはっはっは!余裕じゃないか!マリー、天使の翼を使え!」
「天使の翼!」
マリーの背中に光の翼が現れ、マリーの周りに居る人間の傷を癒やす。
「行ける!いけるぞ!」
ゴブリンキング精鋭部隊の陣
ゴブリンキングは確信した。
あの勇者ども。大したことは無いな。みんなレベルが低すぎる。
精鋭部隊にかかればあいつらはただの獲物に過ぎない!
「マダカ!マダカ!」
「戦いだ!早く突撃ししたい!」
「よし、お前ら、前で調子に乗っている一団を潰すぞ!突撃だ!」
うぉおおおおおおおおおおお!!!
ゴブリンの精鋭部隊は勇者パーティーに狙いを定めて突撃した。
「はっはっはっは!所詮はゴブリンか!俺の敵じゃないな!」
油断するブレイブの前・右・左の3方向からゴブリンの精鋭が迫った。
おかしい!
ゴブリンどもが強くなった?
精鋭か!!
ガーディーとブレイブは素早く後ろに下がるが、マリーが逃げ遅れた。
「オンナ!オンナダ!」
「ツカマエロ!!」
マリーはゴブリンに両手足を掴まれた。
「ブレイブ!ガーディー!助けなさいよ!!!」
「げへへ、いきがいい!」
「連れて帰るぞ!!」
マリーは必死で抵抗するがゴブリンに捕まり後方へと消えた。
さらにゴブリンの精鋭たちがブレイブとガーディーへと迫る。
ブレイブはブレイブタイムを使用して全力で後ろに下がるが、ガーディーは、精鋭の隊長クラスに捕まり、逃げ遅れた。
「ブレイブ!援護しろ!!!」
あ、あいつが悪いんだ!俺をののしるだけののしって馬鹿にしたあいつが悪い!!
ブレイブは全力で逃走した。
ガーディーは必死でガードスキルを使い防御するが、ゴブリンの精鋭に囲まれたことで、なすすべもなかった。
戦いは人間側の敗北に終わり、ゴブリンたちは人間を襲い、若い女が多くさらわれた。
◇
ブレイブが逃げ帰ったことで、国民の怒りの矛先はブレイブへと移った。
ブレイブの緊急記者会見が始まった。
「ブレイブさん!ゴブリンから逃げ帰ったとのことですが!?この責任について考えをお聞かせください!!」
「俺は逃げていない!」
「ブレイブさん!逃げていないというのはどういうことですか!たくさんの勇者逃亡の目撃情報が上がっています!」
ブレイブ「剣が駄目になって取りに行っていたんだ!今から戦いに行く!じゃましないでくれ!」
そう言ってブレイブは緊急記者会見を抜け出し、さらに国民の怒りを買った。
その後ブレイブはマスコミに付け回された。
「ブレイブさん!まだ戦いにいかないのですか!答えてください!やはり逃げたんですよね!!今も逃げてるんでしょ!!」
「俺は今から戦いに行くんだ!邪魔しないでくれ!!」
マスコミギルド
「勇者ブレイブが南部へと行かず逃げ回っているようです。」
「あいつか、分かった。下がってくれ」
あいつは一切戦わない気か!
こうなったらマスコミの力を使って追い詰めてやる。
ブレイブはマスコミに囲まれていた。
「ブレイブさん!討伐隊の馬車がもうすぐ出発しますが、参加しないのですか?ブレイブさんにも連絡が行っているはずですが?」
ヘイトは討伐隊用の馬車を用意したのだ。これに乗らなければ逃げていることが一目瞭然となる。ブレイブを逃げられないように誘導したのだ。
「さ、参加するに決まっている。ただ、今からトイレに行って来る。」
「また逃げるんですか!?ブレイブさん!また逃げるんですか!!」
「もう冒険者を引退するという事ですか!!」
「ブレイブはゴブリンを恐れて討伐に参加しない無能となってしまいますがよろしいですね!!」
「ガーディーさんやマリーさんを見殺しにして国民も見殺しにするという事ですか!!答えてくださいブレイブさん!」
ブレイブ「俺は参加する!!黙ってみていろ!!」
◇
ブレイブは馬車に乗って南部の前線に来ていた。
くそ!マスゴミめ!
安全な後ろから俺をバカにしやがって!
お、俺は逃げないと何度も言っている!
ブレイブの手は震えていた。
ブレイブが前線に出てすぐにソードゴブリンと遭遇した。
ソードゴブリンの手下は10体ほどだった。
「お前が逃げ出した雑魚勇者か!」
「なんだと!」
マスゴミだけでなく、ゴブリンまで俺をバカにするのか!
こんなことは許されない!
「おーい!雑魚勇者だ!適当に相手をしてやれ!」
「ざこ!」
「ザコ!」
「ふざけるなあああ!」
ブレイブの恐怖を怒りが上回った。
ブレイブはソードゴブリンに雷の斬撃を飛ばした。
ソードゴブリンは挑発に乗ったブレイブを見て口角を釣り上げる。
ソードゴブリンはブレイブの攻撃をかわした。
ソードゴブリンとブレイブは剣で切りあうが、ゴブリンの方が優勢だった。
ブレイブはいつの間にか包囲されており、後ろからゴブリンに斬りつけられた。
「ぐ!おらあ!」
後ろのゴブリンを一体斬りつけるが、そのスキに後ろからソードゴブリンに斬りつけられた。
「ごおあ!ブレイブタイム」
包囲しているゴブリンに素早く斬りつけると、全速力で前線を逃げ出した。
「ハイヒール!く、くそ!大勢で囲んできやがって!ゴブリンどもが!!」
そう言いながら北へと避難した。
◇
マスコミギルド
「またブレイブが逃げたのか!」
「はい。たくさんの目撃情報が上がっています。」
「ゴブリンの動きは?」
「たくさんの女性をさらい、南へと撤退しました。」
「まずいな!繁殖してまた攻めてくるぞ!ご苦労だった。下がってくれ。」
ゴブリンの繁殖力は高い。人同士の人口増加をはるかに凌駕する。
単体では弱いゴブリンだが、繁殖能力の高さ。
ゴブリンキングを中心とした精鋭化・統率力の強化により、放置できない相手となっていた。
勇者か、いままで優遇してやったが、もうあいつはダメだな。
全ての罪はあいつに背負わせる!
最後までお読み頂きありがとうございます!
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