2か国間会議
「まずはウインの件について話をしたい。」
魔王はいきなり俺の名を出した。
「え?俺?」
「キングウッドゴーレムの件だが、出来ればこのまま交易路の周りの木を抜き続けて欲しい。」
ウッドゴーレムは農家になると使えるスキルで、農家レベル100になると、キングウッドゴーレムに強化される。一体しか呼び出すことが出来ない。ただ、ウッドゴーレムは消耗しても、土に埋まって太陽の光を浴びていれば勝手に回復して自動で命令をこなしてくれる便利なスキルだ。
「良いけど、もう交易路は開通したよな?」
「道の周りの木を抜いて整理する利点は二つある。一つは、道の周りの木を抜くことで、魔物や盗賊からの奇襲対策になる。もう一つは、抜いてもらった木をこちらでもらいたい。ディアブロ王国は山岳地帯で冬は寒く、木が育ちにくい土地だ。木は常に不足している。」
「分かったけど、もしどうしても使いたくなったら、ほかの場所で使うけど大丈夫か?」
「それで構わない。アーサー王はどう思うか?」
「木材の件は大丈夫だが、気になっているのは、今アーサー王国は人手が不足している。交易路の運搬や巡回はディアブロ王国に多く人を出してもらいたい。」
「それは構わないが、魔族がアーサー王国に行くと怖がられないだろうか?」
「それは問題ない。もし問題が出たら、連絡が欲しい。」
「それでは交易路の人員はすべてこちら側から出す形で良いか?」
「おお!そうしてもらえると助かる!しばらくすれば多少は余裕が出来るはずだ。その時再度話し合いたい。」
「分かった。次にウイン。キャンプハウスのスキルで作った交易路の家があるが、こちらで使用したい。」
「うん。自由に使ってくれ。」
「助かる。代金として素材などを渡そう。」
「ただで良いけどな?」
「対価は必要だ。」
「分かった。」
「両国の問題点を上げていきたい。こちらから良いか?」
「うむ。」
「アーサー王国の問題点だが、重要度の高い順に言うと。」
①深刻なポーション不足
②人材不足
③デイブック民主国からの魔物のなすりつけ
④盗賊問題
「となるな。」
「なるほど、すべて人材不足が解消されれば解決しそうではあるな。」
「うむ、だが、人材の育成には時間がかかるのと、人口自体も少ない。人材不足が一番解決が難しいともいえる。ディアブロ王国の問題点は何かな?」
「ディアブロ王国は。」
①飢餓問題
②文官不足
③街道整備
④デイブック民主国からの魔物のなすりつけ
「だな。飢餓問題が圧倒的に優先度が高い。」
「文官不足なら100人程度なら、お貸し出来ると思います。それと、学校への受け入れも数百人単位で可能かと思います。」
ルナが発言する。王女っぽいな。
というか、この会議、両国の王とその息子娘が居れば良かったのでは?
「それは助かる。代金は魔道具や素材代から引く形でお願いしたい。」
「至急その件については確認します。」
大臣が後ろに立っている者に確認し、すぐに後ろの者が会議室から出ていった。
「ところでウイン殿はこれから数か月や年単位で何か予定はあるかな?」
「修行はしようと思っていたけど、ちょっと考え中だ。ちょっと両国の問題点のやつ紙に書いたのをもらいたいんだけど。」
「こちらになります。」
大臣は素早く紙を渡してきた。
「大臣優秀だね。」
「ありがとうございます。」
大臣は嬉しそうだった。
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アーサー王国問題点
①深刻なポーション不足
②人材不足
③デイブック民主国からの魔物のなすりつけ
④盗賊問題
ディアブロ王国問題点
①飢餓問題
②文官不足
③街道整備
④デイブック民主国からの魔物のなすりつけ
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「アーサー王に聞きたいんだけど、ポーション不足っていうのは、今回のスタンビートで消費した分と新しく兵を訓練する時に使いたい分ってことで良いかな?」
「うむ、その通りだ。」
兵のレベルを上げる際には魔物と戦うわけだが、どうしても傷を負う。特に新兵ならなおさらだ。さらに治癒士はどこも不足していて、治癒士だけで回復は足りない。治癒士をレベルアップするには、治癒士に魔物を倒してもらう必要がある。そうなると、ほかの人に使う分の魔法を攻撃に回すことになる。兵を訓練するにはどうしてもポーションが必要になる。
なぜか全員が俺を見ていた。
「ん?何?」
「次のウイン君の発言が気になってしまいました。」
メアは興味津々だった。
「そっか。俺は魔の森の北で魔物を狩って魔物が居なくなったら薬草集めをする。ディアブロの飢餓と、ポーション問題同時に手伝う。」
ディアブロ王国の飢餓は交易路の開通で良くなっていくとは思うが時間がかかるだろう。
俺も魔物の肉を狩って手伝おう。
「さすが僕のご主人様だよ。」
「ウイン様、さすがです!」
「ウイン。もし良ければ、こちらから人を出したい。ウインが魔物を狩った後に人を使って素材を集めたい。もちろん薬草系はアーサー王国に売却し、対価は払うがどうだろう。」
「俺は助かるけど、アーサー王はどうなんだろ?」
「むしろ助かる。所でどの程度の期間続けるつもりかな?」
「決めてないな。出来ればアーサー王国にあふれるくらい渡せたらいいと思う。」
・・・・・・
「俺はもう良いか?退出したいんだが?」
「待ってください!」
「え?まだあるのか?」
「私をウイン様のそばにおいてください!」
「私からもお願いしたい。ルナをもらってやってほしい。」
「ウイン殿、権力者への拒否感があるのは承知しています。しかしアーサー王国はデイブック民主国とは違います。決してウイン殿に迷惑が掛からないよう努力します。」
「ルナ様は良いお方だ!決して悪いようにはならない!」
「ウイン君とルナ様は相性が良いと思いますよ。」
アーサー王国側が一気にまくし立ててきた。
「ちょちょえ?なに?」
みんなでまくしたてるようなのなんなんだ?急にみんなしゃべりだして怖いんだけど。
「ルナはウイン殿の事を好きなのだ!」
「ん?」
「初めて会った時から、魅力的な男性だと思っていました。」
ルナはもじもじしはじめた。
「う、うん。ま、魔の森の件が終わったら改めて話をしよう。」
「ウイン、王女にここまで言わせておいて逃げるのは良くないぞ。エムルとベリーとセイラも一緒に居たいと思っているが、ルナ王女は大丈夫か?」
「わ、私は・・・・」
セイラが赤くなった。
「構いません。私をハーレムの一員にしてください。」
ルナは赤くなった。
「ルナがついてきたら、ルナにエロい事をするかもしれないけど?」
「大丈夫です。」
「ベットで押し倒して、無理やりやられたら泣いてしまうかもよ?アーサー王まで怒らせることになる。」
「お好きなようにお願いします!」
ルナはさらに真っ赤になった。
「はあ!はあ!ついにウインが目覚めたんだ!」
「良い。二人が結ばれることをうれしく思う。」
「そこは分かったんだけど、ん?ルナのレベルが25か、厳しいな。下手をすれば死なせてしまうのと、魔物狩りが遅れてしまう・・か。」
「では、私のレベルが50になったらそばにおいてくれますか?」
「50でも・・・死ぬときは死ぬな。と言うか、100でも死ぬときは死ぬ。」
「ウイン、もし心配なら、セイラを護衛につける。セイラもウインといられて喜ぶはずだ!」
セイラは真っ赤になった。
残りの四天王はセイラを見てにやにやしていた。
「ウイン殿はルナの事をどう思うかね?」
「かわいいし、性格も良さそうで、かなり魅力的だと思う。けど正直権力者なのが引っかかるのと、ほかの人からの嫉妬を受けたくない。」
「重ねて言いますが、権力によってウイン殿に迷惑が掛からないよう努めます。そして嫉妬についてですが、デイブック民主国より、アーサー王国の国民の方が嫉妬は少ないかと、失礼ですが、昔に勇者ブレイブやベリー後援会によってひどい目に合いすぎたのでは?それで過剰に反応しているように見えます。」
大臣の言葉に思い当たる節がありすぎた。
「分かったよ。まだ飲み込み切れていないから、考えておきます。」
「今約束してほしいのです。そんなに私といるのが嫌ですか?そんなに・・私と・・・」
ルナは泣き出した。
「泣かせたな。」
「ウイン。良くないな。」
「ウイン君。良くないですよ。」
魔王・ウォール・メアが一斉に反応する。
「ルナを今からでもベッドに連れ込んで押し倒すべきだよ!」
え?俺ええええ!!しかもエムルの最後のおかしいよね?そこは誰も突っ込まないのか。
「わかったよ。ただ、問題が起きたら相談させてもらうぞ。」
「それはルナと結婚するという事で良いな?」
「良いでしょう。はっきりと聞きました。」
「分かった。もう疲れた。寝るぞ。」
「ご苦労だったな。ゆっくり休め。くくくく。」
「魔王笑ってる?わらってるよね?」
「ゆっくり休め。」
そう言って魔王は顔をそむけた。
このやり取りを見ていた周りも笑い出した。
「‥‥休みます」
俺が部屋を出た後、一斉にみんなの笑い声が聞こえた。
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