2か国間会議開始
ウインはハイエリアヒールを使い、みんなを治療したが、ウインが倒れこんだ。
「もう無理だ。きつい。」
「あんなになるまで俺たちに回復魔法を使ってくれたのか!」
「ありがとうよ!あんた真の英雄だぜ!」
兵士がウインを讃える。
◇
しばらくしてエムルとベリーも到着した。
「おい!エムル!みんなに回復魔法を使え!」
「わかったよ。」
エムルは負傷者を集めて回復魔法を使っていった。
エムルの顔色が悪くなってきた。
「エムル、もう少し頑張ってくれ。」
「な、なんてことを言うんだ!このままじゃ聖女エムルが死んでしまう!」
「ウイン殿!それはあんまりです!」
兵士たちがウインを止めに入る。
「はあ!はあ!君たちは黙っていてくれ!ウインは僕に何かあってもみんなに責任が及ばないように、二か国間の友好を壊さないように、それでいてみんなを助けようと僕に無理をさせているんだ!英雄ウインはすべてを守ろうとしているんだ!!」
「そ、そこまでの事を考えていたのか!」
「ウイン殿、いえ、英雄ウイン!あなたの本意が見抜けず、申し訳なかったです!」
俺は魔王と四天王を見たが全員俺から目を逸らしていた。
エムルのやつ、こういう時に俺にののしられるMプレイを楽しむ気か!
時間が無いのに!いや、時間が無いって分かってて俺がエムルをののしるしかない状況を作ってるな!
「さあ、ウイン!言うんだ!みんなに責任が及ばないように!すべての責任を取って僕に回復魔法を使うように強く僕をののしるんだ!」
その両手を広げる動作は、聖女のようだった。
見た目と動きだけは良いんだよな!こいつは!
ウイン
「エムル!回復魔法を動けなくなるまで使え!」
「声と迫力が足りないよ!それじゃみんなに届かない!もっとだよ!」
「エムル!良いから使え!すぐに使え!!」
俺は本気で怒った。
「もう一回だ!」
「早く使えよ!」
「はあ!はあ!ハイエリアヒール!」
「聖女エムルが笑っておられる!」
「どんなに苦しくなっても、みんなを助けることに迷いがない!これが聖女エムル様か!」
魔王と四天王はしばらくの間俺と目をあわせることが無かった。
◇
魔王とアーサー王の2か国間会議が行われることとなった。
会議室に入ると、部屋の奥に向かって長い机が置かれており、その周りを椅子が囲んでいた。
入って左側には奥からアーサー王国側の王、王子、大臣、ウォール、メアの順で並んでいた。
入って右側には奥から魔王、四天王と並ぶ。
で、俺の席が入って一番奥の部分で、左右にはエムルと王女ルナが座っていた。
ちなみにベリーも誘われてたが、普通に断ってたな。
俺は参加拒否を拒否された。ずるくない?
ウインは敬語で切り出した。
「あの、よろしいでしょうか?」
「なにかな?」
「ウイン殿?何か?」
「いや、この席おかしくないですか?俺、私が座る席には本来魔王さまとアーサー王さまが座るのでは?」
「このままで良い!」
「このままで問題無い!」
「問題無いよ!」
「問題ありません!」
両国の王と王女は一斉に否定した。
えーーー!そんなにみんなで言う?
「それに、ウイン、敬語は不要で行きたいがアーサー王はどう思うか?」
魔王が切り出す。
「うむ、各自話しやすい口調ですすめよう。私もその方が疲れなくて助かるよ。」
アーサー王は気を使ってわざと柔らかい言葉で言った。
「分かったけど俺一般人。」
「違います!ウイン様は、二ヵ国間の友好の象徴にして、ドラゴンキラー、交易の英雄にして、アーサー王国を救った英雄です!一番上の席以外考えられません!!」
「ウインの英雄伝説はまだ幕開けに過ぎないんだ!この席で当然だよ!」
アーサー王と魔王は一斉に言った。
「「異議なし!」」
魔王とアーサー王シンクロしすぎだろ!いつからそんな仲良くなってるんだ?会ったばかりだよね?
ウォールはまじめな表情で口を開いた
「ウイン。」
お、まともそうなウォールなら何とかしてくれるのでは?
「席にこだわるのは無しにして会議を始めよう。」
ダメだ!席の件はスルーしたい派だった。
「そうだ。会議を始める。」
これ何言っても駄目な奴だな。
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