スタンピード②
「ゴブリンの精鋭300!進軍を開始しました!」
「来たか!」
ゴブリンの精鋭は弓の攻撃でも勢いを殺されることなく、まっすぐ城門の中に侵入してきた。
「まっすぐのあと!ひだりにまがるといきどまり!わなだ!このかべうすい!こわせる!」
短剣を持ったゴブリンが壁の薄さを見抜いた。
「俺!壁壊す!」
ハンマーゴブリンは壁を攻撃しだした。城門内の壁は、突貫工事の為、防壁ほどの丈夫さは無い。壁をどんどん壊されていく。
「おまえら!かべこわせ!」
斧やハンマーを持つゴブリンがハンマーゴブリンと協力して壁を攻撃し始めた。
「まずいぞ!もうバレたか!急いで下に行くぞ!」
「はい!」
短剣ゴブリンは防壁を走って登ってきた。上に居る弓兵をどんどん倒していく。
「あの短剣持ち、斥候系だな!あいつは俺が倒す!」
ウォールが短剣ゴブリンに迫ると、短剣ゴブリンはウォールと距離を取りつつ確実に弓兵の数を減らしていった。
「あいつ、俺とやりあう気が無いのか!」
その時!
ハンマーゴブリンによって壁が破壊され、ゴブリンがなだれ込んできた。
「弓兵!さがれ!」
そういいつつウォールはハンマーゴブリンに狙いを定めた。
だが、
「あいつ!つよい!みんなでかかれ!」
ゴブリンの精鋭がウォールに迫った。
「ウォール隊長を援護しろ!」
騎士たちは必至で援護を始めた。
「このままでは、なだれ込んでくる敵に包囲されてこちらがやられてしまいます。」
騎士の一人がメアに近づく。
「メアさん!あの壁の出口に向かってハイウインドを撃ってください!考えがあります。敵が居なくなったら、壁をふさいで下さい!」
「どうやるんですか!?」
「今は時間がありません!早く!」
「分かりました。ハイウインド!」
風の刃が敵を倒しながら直進し、通り道が出来た。
その瞬間、騎士ライトがハンマーゴブリンが壊した壁の中へと走った。
「挑発!!」
ぐるん。
ゴブリンの視線が一気に騎士ライトへと向いた。
「こっちだ!こっちにこい」
精鋭以外のゴブリンたちは騎士ライトに向かって攻撃を開始した。
「ライト!やめろおおおお!」
ウォールは精鋭に囲まれ身動きが取れない。
メアは、壁の穴に土魔法を撃ち壁をふさいだ。
「今のうちにみんなでゴブリンを倒すんです!」
メアの目には涙。
メアはMPを気にせず攻撃魔法を撃ちまくった。
「じゃまだああ!」
ウォールは、ハンマーゴブリンを斬り倒した。
他のゴブリン達も次々と倒していった。
騎士たちははウォールの後に続き、一気に殲滅した。
「次はお前だー!」
ウォールは鬼気迫る表情で短剣ゴブリンに迫った。
短剣ゴブリンは、逃げようとするが、騎士とウォールに追い詰められ意を決してウォールに突撃した。
ウォールが斬りつけ、ゴブリンは短剣でガードするが、のけぞった。
そのスキにウォールは腰を落として横一線!
短剣ゴブリンを討ち取る。
壁の中に入ってきたゴブリンは一掃された。
だが、メアが倒れる。
騎士の消耗も激しかった。
ウォールの動きも鈍くなっていた。
どごん! どごん! どごん!
壁を殴る音が聞こえる。
「・・・まだくるのか。まずいぞ。メアを下がらせろ!!」
メアは兵士におぶわれて撤退した。
その時、
老兵の一団が現れた。
「ウォール。きつそうじゃな。」
「ゼスじいか!」
「わしら引退組が、時間をかせぐでの!」
「無茶だ!死ぬぞ!」
ゼスの眼に狂気が宿っていた。
「そのつもりじゃ!若いもんに守られて老いぼればかりが生き残る国に未来は無いわ!!そうじゃろ!!」
うおおおおおおーーーーー
老兵たちが叫んだ。
どごん! どごん! がらがらがら!
壁が壊された。
老兵たちは我先に穴の中へと突撃していった。
生き死には考えない!
時間を稼ぐだけの駒になりきっていた。
後先を考えず我が身を犠牲にしているのは明白だった。
一緒に飛び出そうとするウォールを、騎士たちが止めに入る。
「スタミナポーションです。飲んでしばらく耐えてください!」
ウォールはスタミナポーションを飲み干すと、騎士の制止を振り払って突撃した。
ウォールが中に入ると、乱戦状態。
必死で剣を振るが、どんどん老兵が倒れていく。
「ウォール!何で来た!!もどれええい!!」
「ことわあある!」
ゼスとウォール二人でゴブリンを倒していくが、ウォールは連戦によりすぐに動きが悪くなっていった。
ウォールはゴブリンの攻撃によって少しずつ傷が増えていた。
「もお良い!お前はよくやった!戻れ!戻ってくれ!ウォール!」
ウォールはすでに耳が聞こえなくなっていた。
命の灯は消えかける。
味方の老兵が一人、また一人と減ってウォールは孤立した。
ウォールはゴブリンに囲まれ、なぶり殺される寸前の状態だ
そこにゼスが突撃し、ウォールを掴むと、思いっきり穴の外へとほおり投げる。
ウォールは騎士にキャッチされた。
「挑発!・・・後は、たのんだぞ。」
騎士の一人が開いた穴を魔法でふさいだ。
みながゼスの居た方向にに敬礼をした。
◇
ウォールが目を覚ますと、戦闘の音がした。
「みんなは!」
ウォールが急いで駆け出すと、たくさんの兵とゴブリンが倒れている。
ゴブリンは再び壁を壊し内部に侵入し、乱戦状態になっていた。
ライトもゼスも、たくさんの人が死んだ。
「俺が・・・壁になろう。」
ウォールはゴブリンが出てくる穴に向かって歩いていった。
襲い掛かって来るゴブリンを確実に仕留める。
ウォールは穴の前に立ち、出てくるゴブリンを確実に倒していった。
出来るだけ長く、少しでも多く倒す。俺は壁になる。
ウォールの戦い方はいつもと違っていた。
いつものような激しさは無く、出来るだけ無駄に動かず、最小限の動きでゴブリンを倒していった。
そして、少しずつ、少しづつ、自身も傷つく。
動けなくなっていく。
死が近づいてくるのが分かる。
ライト。俺が犠牲になるべきだった。
ゼスじい。俺もそっちに行く。
手の感覚が無くなってきた。
「すまない。待たせたな。」
背後から声がした。
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