デイブック民主国 マスコミギルドの陰の支配者
デイブック民主国のマスコミギルドは絶大な権力を持っていた。
特にマスコミギルドを裏で支配するヘイトという男は、この国の政治家を超える権力を有していた。
デイブック民主国マスコミギルドにて
ヘイトは、マスコミギルドで秘書の報告を受けていた。
白いスーツと、紫色のメガネ。
見た目は20代の男性だったが、
注意深く見ると筋肉は発達しており、姿勢もよく、軍隊の兵士のような印象を受ける。
ヘイトは裏でマスコミギルドを支配していた。
マスコミギルド長は別の人間だが、ヘイトはあえてギルド長にはならず、裏からギルドを支配する道を選んでいた。
「それではクロノ、報告を頼む。」
クロノは凛とした女性で、ぴっちりした黒いスーツを着こなしていた。
「はい、無事アーサー王国に向かった6体のドラゴンですが、無事、討伐されたようです。」
デイブック民主国に厄介な魔物が現れると、隣国に擦り付けるのはいつもの事だった。
「ん?早いな?討伐が早すぎる。アーサー王国は全兵力をを投入したのか?」
「いえ、精鋭部隊1000名ほどのようです。ただ、魔王の娘と、元デイブック民主国の者が、ドラゴンを打ち倒したようです。」
「元この国の人間?」
「元勇者パーティーの斥候、ウインです。彼はアーサー王国で英雄となっているようです。」
「ああ、たしかフェイクニュースでつぶされた少年が居たな。しかしあれは下級ジョブ・・・無能のはずだ。」
「はい、その少年が英雄になっています。」
「おそらく、ドラゴンを倒したのは魔王の幹部、四天王あたりだろう。魔王の手柄にすることは国として出来ない。代わりに無能の斥候を英雄に仕立て上げたのだろう。」
「なるほど、しかし気になったのは、魔王の娘も聖女と言われ、ともに英雄のような扱いを受けているようです。」
「バランス、だろうな。魔王側にもある程度花を持たせるための配慮なのだろう。」
「・・・・・・・そうなんですね。」
ヘイトは思い込みの強い部分があったが、クロノは口をはさむような真似はしない。
「ここ数年、魔物の動きが活発になっている。魔物呼びの魔道具の増産を働きかけろ!」
「分かりました。」
クロノが部屋から出ると、ヘイトはにやりと笑った。
ディアブロ王国とアーサー王国か、せいぜい頑張ってくれ。
奴らが発展すればしたで、厄介な魔物を押し付けやすくなる。
アーサー王国に高値で魔道具を売ることでこの国はさらに潤う。
せいぜい我が国の周辺の魔物を狩って役にたってくれ。
「すべてがうまく行っているな!」
この国の国民にマスコミギルドの闇が暴かれそうになれば、適当な記事をばらまいて、国民の目を逸らす。
マスコミギルドが危なくなっても、ギルド長の首を切り、新しい傀儡を用意すれば良い。
こうしてヘイトは支配体制を維持していた。
「ふん!馬鹿な国民どもだ!」
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