アーサー王国からみた英雄ウイン
英雄ウイン達は、パレードの翌日にはディアブロ王国へとむけて出発していった。
アーサー王国王城
王とルナは大臣の報告を聞くため会議室に集まっていた。
「英雄ウイン殿についての情報は集まったか?」
「断片的ではありますが、まとめてまいりました。」
「報告を頼む。」
「は!まずは英雄ウインの経歴についてです。デイブック民主国の生まれで、幼くして孤児院で生活し、冒険者学校に入りますが、飛び級し12歳の若さで卒業します。その後冒険者として独り立ちしますが、13才の時に勇者パーティーに強制的に加入させられ、約1年ほど勇者パーティーの一員として活動します。パーティー内ではひどい扱いを受けていたようです。例を挙げると、勇者からは下級ジョブの無能と言われていたようです。その後14才で勇者パーティーの失態のすべてを押し付けられ、トカゲのしっぽ切り同然でパーティーを追放されました。その後殺されかけ、魔の森で2年ほど修行をしていたようです。その後魔王城に現れ、今に至ります。」
「勇者パーティーに強制的に加入と言うのはどういう理由かわかるかね?」
「勇者パーティーは人格に難ありのくせ者揃いのようで、おもりをさせる役割として加入させられたようです。」
「おもり・・・か。勇者パーティーのひどさは私の耳にも入ってきている。パーティー内でひどい扱いを受けていたようだが、ウインはその時弱かったのか?」
「いえ、パーティー追放時はトータルレベル100を優に超えていたようです。少なくとも130は超えていました。」
「今のウォールやメアと同格ではないか!この国に居たら、皆がほおっておかないだろう!」
大臣は、王や王女の質問を数秒待ち、質問が出てこないことを確認すると、また報告を続けた。
「次は英雄ウインの人格についてです。元々は面倒見の良い人間だったようですが、勇者パーティーと一緒に行動するようになってからは、人との距離を取るようになっています。特に権力者や身勝手な人間への嫌悪感は強く、交渉やお願いをする際は、慎重になるべきでしょう。」
「ルナたんはウイン殿の事をどう見ているのかな?」
「とても真面目で、善良な人間です。強さはこの大陸、いえ、もしかしたら世界で最強かもしれません。」
「ルナたん、今後ウイン殿との話し合いは一任しても良いかな?」
「お任せください。この国との信頼関係を築き上げます。私のすべてをささげる覚悟で臨みます。」
「ルナたんは、ウイン殿と結婚したいだけだよね?」
ルナは顔を赤くした。
「そ、それもありますが、今後ウイン様が活躍し続け、デイブック民主国の耳に届けば、あの国はウイン様を取り込むためにどんな手でもつかって来るでしょう。エムル様と私がウイン様と結婚し、両国とのつながりを深めることが、ウイン様を守り、両国の発展にもつながると確信しています。」
「デイブック・・・確かに、ウイン殿が武力で負けることは無いでしょうが、マスコミや政府を使った情報戦は仕掛けてくるかもしれませんな。」
「ウイン殿には助けられた。我らは返しきれないほどの恩を受けている。」
「そうですね。ですが、パレードの時のウイン様の表情、かわいかったです。ふふふふふ。」
「置物のようになっていたね。話は変わるんだけど、今回のドラゴン襲撃の件も、どうやらデイブック民主国から擦り付けられたようだね。」
デイブック民主国は定期的に厄介な魔物を隣国になすりつけてくる。
「デイブック民主国の近くに住む国民には住居を移転してもらうのが一番安全なのですが、国民に新しい住居や農地などを用意する国力がこの国にありません。」
大臣は話を続けた
「・・・デイブックとの交易で我々アーサー王国は高い値段の魔道具を購入しております。魔道具が無ければ生活は成り立ちませんから、デイブックは強気で高い値段で売ってきます。こちらの利益はほとんどデイブックに持っていかれております。」
「我が国はデイブックにとって生かさず殺さず、利益を吸い上げる都合の良い隣国だ。我が国は実質デイブック民主国の属国になっている。」
「資源が豊富で魔道具生産技術の高いディアブロ王国との交易が実現すれば、流れが変わるかもしれませんね。」
「英雄ウイン。彼が両国の希望になってくれることを願う。」
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