最後の戦い。
バグズは両手剣を構え、口角を釣り上げる。
グラブは魔道銃を構え、ウインを狙う。
ビックは大きなこん棒を構え、ウインを睨む。
バグズが前に出る。
「ようやく貴様を倒せる。」
「まだ戦ってもいないぞ。」
「言って置くが俺にキャンプファイヤは効かない!何故なら炎の完全耐性を持っている!」
どや顔で言うが、そんな事は分かっている。
ステータスはもう見た。
「はっはっは!声も出ないか!」
「ばぐず、はやくたおすぞ!」
「グラブ黙れ!俺はこの瞬間の為に我慢してきた。じっくりなぶり殺しにしてやる!」
「だが、あいつはなにをやってくるかわからない。はやくいきのねをとめたい。」
「ふん!臆病者が。」
俺はこの会話で確信した。
ゴブリン軍団をここまで大きくしたのは、グラブの力が大きい!
あの慎重さ!
合理的な考え!
こいつはゴブリンの軍師だ!
しかもグラブの固有スキル。
同族成長促進・武器作成時性能アップ
爆炎の矢とバグズの武器、ゴブリンの早すぎる成長速度はこいつが居たからだ!
バグズとグラブ、どちらも生かしておくのは危険だ!
グラブが俺に銃を撃つ。
強制的に戦闘を始める気か!
「ち!グラブめ!」
バグズとビックも攻撃を開始する。
「ミラクルアップ!」
「メギド!」
ビックが炎に包まれる。
バグズに炎が通用しないと分かった今、温存する意味は無い。
早く1対3から1対2の状態に持ち込む!
ビックが業火に焼かれ、動きを止める。
さらにその隙にグラブに突撃。しようとしたがバグズに阻まれる。
ビックが倒れ、二段階目に移行する。
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名前持ち ビック オス
ゴブリンキング レベル451+300
スキル
同族支配
固有スキル
ゴブリンウォー
MPガード
炎耐性
レベルブースト
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バグズのレベルに迫るくらい強くなったな。
炎耐性か、もしメギドで倒せなかったら厄介だな。
俺はビックに3連の斬撃をお見舞いする。
ビックの体が光り、攻撃を吸収された。
ビックのHPの代わりにMPが減っている?
これがMPガードか。
ビックがバックステップをすると同時にグラブの弾丸が飛んでくる。
◇
城の外では、魔王・メア・ウォール・オガが倒れたまま眠り続ける。
精鋭の中で、四天王・エムル・ルナ・ベリー・きゅう以外まともに動けるものは居なくなっていた。
エムルがみんなを集めて切り出す。
「みんなのMPをきゅうとベリーに受け渡して、ベリーにはウインをサポートして欲しいんだ。」
セイラも続く。
「私からもお願いします。」
「すべてのMPとポーションをベリーに渡すよ。僕たちは遅れて城に突入するんだ。」
「でも、私も強力なスキルを使いつくしたわ。」
ベリーの切り札。フレイムダンスとフレイムソードは、MP消費無しで使える代わりに、使えるようになるまでクールタイムを必要とする。
「それはみんなも同じだよ。今この中で一番強いのはベリーときゅうのコンビなんだよ。」
「私からもお願いします。一番良い方法を取りたいのです。」
ルナが横になりながら言う。
「分かったわ。」
「私の力を託します。」
ルナの口からMPをベリーに流し込む。
ルナの顔色が明らかに悪くなり、すぐに横になる。
エムルはMPヒーリング、ハイMPヒーリングを使う。
「ベリー、君に託すよ。」
ベリーにMPを供給する。
四天王はきゅうにMPを受け渡す。
ベリーはきゅうを連れ、城の奥へと進んでいく。
◇
ビックはしぶとく、バグズも中々倒せない。
グラブはチャンスがあるとすぐに銃を撃ってくる。
普通に戦っていると終わりが見えない。
バグズは慎重にキングタイムを使うタイミングを狙っている。
厄介だな。
そこにベリーの炎の斬撃が飛ぶ。
バグズと俺の距離が離れ、グラブの銃撃が止む。
俺は一気にビックを7回斬りつけ、風の斬撃を何度も放つ。
このまま畳みかければ倒せる!
「キングタイム!」
バグズの剛力・疾風・キングタイムの重ね技で、俊敏と筋力だけは俺を超える。
バグズとビックを相手にするのはきつい!
俺はバグズの斬撃をガードするが、そのまま吹き飛ばされる。
壁にたたきつけられる。
「はっはっは!ウイン!口ほどにも無いな。」
仕方ない。
クサナギの力を使う。
この城の兵器を破壊した時、クサナギが進化したことで新たな力を得た。
クサナギに炎を吸わせることで、一定時間俺の身体能力とクサナギの攻撃力をアップする能力。
「メギド!キャンプファイヤ!キャンプファイヤ!」
クサナギの刀身と俺の体を紫の光が包む。
ビックに近づき、何度も斬りつける。
ビックはあっけなく倒される。
「貴様!何をした!」
わめくバグズの腕を切り落とす。
さらに高速で何度も斬りつけ、バグズを窮地に追い込む。
グラブが銃を構えるが、ベリーの斬撃に邪魔され、うまく援護できない。
「うおおおおおおお!」
何度もバグズに斬撃を浴びせ、魔石を斬ろうとするが、バグズに阻まれる。
バグズの二段階目が始める。
俺とベリーは一気にグラブに詰め寄り、グラブを倒す。
「バグズとグラブの二段階目か。ここからが本番だな。」
ウインキラーポーションを飲み干す。
バグズは二段階目に移行するが、グラブの様子がおかしい。
グラブの体が黒い霧に覆われ、次元が歪む。
グラブの体が霧に覆われる前に見えた。
固有スキル:ゴブリンフィールド
「ここは、異空間か?」
城の中とは空気が明らかに違う。
薄暗く、地面はごつごつした岩。
俺はみんなのステータスを確認する。
ウインレベル1900-200
ベリーレベル779-200
きゅうレベル445-200
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名前持ち バグズ オス
ゴブリンキング レベル800+200
固有スキル
炎完全耐性
ウイン殺し
エンドレス・キングタイム
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バグズのレベルが200上がって俺たちのレベルが200下がっている。
恐らくゴブリンフィールドの効果だろう。
バグズのスキルがガラッと変わっている。
ウイン殺しってなんだ!効果が分からん。
エンドレス・キングタイムはずっとキングタイム状態って事か?だとしたらバグズの能力はレベル2000相当。
俺を超えているな。
「きゅう、ベリー、この剣に炎の魔力を与えて欲しい。」
俺はクサナギにほとんどの魔力をチャージする。
ベリーときゅうも続き、クサナギに炎の魔力をチャージした。
さらに、
「真・レイバーティン!能力開放!」
真・レイバーティンから炎の魔力がクサナギに流れ込む。
「はっはっは!終わったか!貴様は俺が死ぬまでの間、嬲り殺してやる。いや、そうだ。そこの女をお前の目の前で犯してやろう。手足を斬り刻まれ、動けなくなった状態で絶望を味わえ!」
「バグズ、お前を打倒する!」
二人は剣で打ち合い、ありえないほどの火花を散らす。
「貴様のその剣は炎を使って少しの間能力を上昇させる!それだけだ!」
俺の剣がバグズを捕らえ、バグズに細かい傷を無数につける。
だが、決定打は一つもない。
「馬鹿め!そんな攻撃で俺を倒せると思うな!」
俺の体の光が少しづつ弱まるにつれて、俺の攻撃が当たらなくなってくる。
バグズの攻撃が優勢となってくる。
「はっはっは!どうした?攻撃を当てられなくなってきたぞ!?」
バグズが俺を剣で吹き飛ばす。
地面の岩に何度もぶつかり態勢を立て直して着地する。
クサナギの炎ブーストは完全に消えた。
「ぐは!げほ!はあ、はあ、バグズ、お前の稼働時間はいくら残っている?」
「気になるか?気になるよなあ!稼働時間が短ければ希望はある。はっはっは!」
俺はバグズをじっと見つめる。
「教えてやろう!俺の稼働時間は残り5時間近くだ!」
バグズは俺の表情を見て口角を釣り上げた。
どうやら俺の絶望の表情が嬉しくてたまらないらしい。
「はっはっは!絶望したか?さらに教えてやる。俺に炎の攻撃は一切通用しない。さらにキングタイムの効果はずっと続く。残念だったな!時間稼ぎのつもりだろうが、俺には通用しない!」
「それが全スキルか?」
「まだ一つ残っている。だがお前には関係のない話だ。」
バグズが剣を構える。
俺は剣を構えつつポーションを飲もうとした。
「させるか!」
バグズが一気に間合いを詰める。
俺はポーションを飲む前に投げ捨て、バグズの剣を受ける。
俺は何度もバグズに吹き飛ばされ、ボロボロになっていく。
そこに、
「きゅう!」
「火炎斬り!」
バグズの意識がベリーときゅうに移る。
「聞いていなかったのか?俺に炎は通用しない!」
「ウインは私が守るわ!」
「きゅう!」
ベリーにターゲットが移る。
その瞬間!
バグズの左腕がウインに切り落とされる。
「なん、だと!」
続けて、横腹を袈裟斬りにし、横一線。
さらにバグズの魔石がある胸を狙い剣を突き立てる。
バグズは剣を離し、ウインの剣を受け止める。
「なぜだ!そんな力は無いはずだ!」
「お前には関係のない話だ!」
剣を素早く引き、さらにもう一度剣を突き立てる。
バグズの魔石にクサナギがヒビを入れる。
クサナギの力でバグズの魔石を食らう。
「させるかああ!ウイン殺し!」
バグズが倒れる。
俺の体が動かなくなり、地面に倒れる。
「ウイン!ウイン!しっかりして!」
俺は意識を失う。
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