ルナとの再会
ルナが出迎えると、すぐにきゅうに気づく。
ベリーの狐耳は気にせず、きゅうに視線がくぎ付けとなる。
「可愛いですね。狐ですか?」
「そうよ。きゅうって言うの。」
「きゅう。こっちに来てください。」
きゅうがルナの胸に飛び込みすりすりする。
懐いてる!
やっぱり三大天使か!
ルナはきゅうをなでなでしながら、
「3人、いえ、きゅうも一緒に食事にしましょう。」
食事の用意の間、きゅうはずっと二人に挟まれ、撫でられ続けた。
うっとりと瞳を閉じ、ご満悦だ。
食事が運ばれてきてからも、きゅうはルナに抱かれ、ケーキを食べていた。
頬にケーキを溜め、とにかく口に入れ続ける。
ルナがきゅうの頬をつんつんしようとすると、
きゅうは素早く前足でブロックする。
「それやると不機嫌になるのよ。」
「そうなんですね。もうやらないですよ~。」
「ルナ、最近元気でやってるか?」
「元気ですよ。最近は、魔眼を使ってたくさん視察をしています。」
魔眼を使う事で、悪いことをしそうな人間を早めに発見したり、優秀な人間を重要なポジションで働かせることで、様々な改革のスピードを上げているようだ。
「そうか。所で、ヤマト本土の串団子とイチゴ大福があるんだけど、もらうか?」
「もらいます!」
「良かったわ。フォックスにもヤマトのお店があったから、もしかしたらいらないかもって思ってたのよ。」
「いえ、本場の味ですから、喜んでいただきます。」
「それと、この国で困ってることは無いか?」
「盗賊に困っています。精鋭がおらず、手が回っていないのです。」
デイブックの移民者が増えたことで、また盗賊が現れだしたようだ。
「今から潰してくる。」
「あ、その前に、」
ルナが俺に抱き着く。
「次は私も抱いてくださいね。」
耳元でささやいた。
ベリーが真っ赤になる。
ばればれか。
◇
盗賊のアジト
「げへへ!この国に今騎士はほとんどいねえ。」
「仕事が捗るってもんよ。」
「次は女を奪おうぜ!」
「ああ、しばらくご無沙汰だ。」
男は舌なめずりをする。
「そうか、それは良くないな。早めに潰すか。」
そこには見知らぬ若い青年が立っていた。
「誰だお前は!どこから入ってきやがった!?」
「やっちまえ!」
向かって行った男たちがバタバタと倒れだす。
「な、何をしやがった!?」
「ただ殴っただけだぞ。弱いと見えないかもな。」
「ちくしょーめええ!!」
こうして盗賊は壊滅した。
ルナとベリーはきゅうとボール遊びをしていた。
ルナがボールを投げると、きゅうが体当たりをしてボールを拾ってくる。
きゅうは以外にもワイルドだった。
「ふふふ、きゅうもボールのように丸いですね。」
「きゅう」
ご機嫌でボールを持ってくるきゅうはすっかり城の人気者になっていた。
「ウインの気配?盗賊を捕まえて帰ってきたようですね。」
「え?どこにいるのよ?」
「あっちから、空を走ってきます。」
ルナの指さした先には、ウィンが空中を走り、こちらに向かってくる。
さらに、投網を担ぎ、投網の先には気絶した盗賊が団子になっていた。
兵士があわただしく動き出す。
「盗賊の拘束準備を急げ!」
「縄だ!縄を持ってこい!」
ルナとベリーは顔を見合わせ、笑い合う。
「これは、また劇のネタとして使われるわね。」
「ウインは目立ちすぎるんですよ。」
ウインは自分が劇などの題材にされるのを嫌がる。
だが、行動が目立ちすぎて、ウインはいつも話題に上がってしまう。
その矛盾に二人は笑ってしまうのだ。
ウインが二人の元へと向かってくる。
「おはよう。ショックなことがあったんだ。」
「どうしました?」
「街を見たら、劇場に『打倒してしまってもかまわんのだろうから始まるウインの英雄譚』ってのがあって、本当に俺は劇で英雄扱いされてるんだって思うとショックだった。」
「その劇は今人気なんですよ。」
「そっか。また行ってくる。」
「いってらっしゃい。」
「お気をつけて。」
ウインは納得いかない表情で盗賊を捕まえに飛んで出かけて行った。
ウインが居なくなった後二人はまた笑う。
「ふふふ、も、もう、さっきのも劇に使われますよ。」
「飛んじゃ駄目よ。ふふふ、目立ちすぎるのよ。」
二人は10分ほど笑い続けた。
最後までお読み頂きありがとうございます!ここまで少しでも、ほんの少しでも面白いと思っていただけた方はブクマ、そして下の☆☆☆☆☆から評価をお願いします!




