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ベリーの秘密

話しておきたいことか。

大事な話だ。

そんな予感がした。



ベリーは、ポニーテールに結っている髪をほどいた。


そして自身の首輪に手を当てる。


首輪が光り、地面に落ちる。

ベリーの体も光に包まれた。

ベリーの頭から耳が生え、後ろには尻尾が出てくる。

髪は銀色に変わり、狐族の姿となった。


ベリーは今にも泣きだしそうな顔で俺を見る。


ベリーを抱きしめると、ベリーは号泣した。

俺はベリーが泣き止むまで抱きしめ続けた。






「ベリー、報告は明日にして今日はここに泊まろう。」


俺はキャンプハウスのスキルを使う。

ベリーは俺の服を握って離さなかった。


食事中も俺の服を掴み続けた。


俺はベリーを引き寄せ、俺の膝の上に座らせる。

後ろから包み込むように抱きしめる。


そこでようやくベリーが口を開いた。


「怒らないの?」


「怒らないぞ。」


「騙していたのに?」


「怒る気はない。それより、何があったか知りたい。」

ベリーは理由もなくみんなを騙すと思えない。

理由があったはずだ。


「私ね。この本土の西で育ったの。お母さんの知り合いに魔道具作成スキルを持った人が居て、その人が私の為に変化の首輪を作ってくれたの。おかあさんが死ぬ時に私を守ってほしいって言われてそれで作ってくれたみたい。首輪をつけて魔力を補充している間は、尻尾と耳を無くして、髪色を変えることが出来るのよ。」


俺はベリーの狐耳が目に入り両手で触る。

「んああああ!」


「悪い、ついつい触りたくなってしまった。話を続けて欲しい。」

人間の耳の他に、頭にも耳がある。見ていると触りたくなってくる。


「もお!狐族の耳を触るのは良くないのよ!マナー違反!」


「悪かった。」

だが、また触りたくなってきた。

時間をおいてから触ろう。


「それでね、人間族に紛れて生活していたの。でも私がレアスキルを持っていたから、兵士として連れて行かれそうになったわ。この国では兵士の服装を規制されているから、首輪を取られたら狐族ってバれちゃうのよ。」


「狐族は立場が弱いってのがあったけどそれがらみか?」


「そうね、ばれたら最悪殺されると思って、首輪を作ってくれた人が私をデイブックに逃がしてくれたのよ。デイブックは服装の規制も無いし、レアスキル持ちは優遇されるから・・・」


なるほど。それでそのまま生活を続けていたら、正体を明かすに明かせなくなったのか。

いや、それだけじゃないな。デイブックはデイブックで獣人や魔族に厳しい国だ。



「ベリー、気にするな。顔も変わって無いし、耳と尻尾が増えて前よりかわいくなったぞ。」


ベリーは照れて話を逸らす。

「で、でも、私を連れて報告に行ったら、失敗するかもしれないわ!」

俺はベリーを思い切り抱きしめる。


「もし、ベリーが狐族だから失敗するってことがあれば、ヤマトから手を引こう。デイブックに戻って、みんなを助ける生活も出来る。」


「うん。」


ベリーはその日ぐっすり眠った。

俺の服を掴むことも無かった。





次の日

「なあ、俺も付いていこうか?」


「大丈夫よ。ダメだったら逃げてくるわ。」

ベリーの表情は明るかったが、俺は心配になった。

ヤマトの国がベリーをどう見るかが気になりだしたのだ。


「外で斥候しながら待ってるぞ。」


「分かったわ。」


俺はベリーを見送り、城の外で待つが落ち着かない。

気配はある。無事だ。

だが長い!


いや、実際はそんなに時間がかかっていないのかもしれない。

だが長く感じる。


俺が入り口前でうろうろしていると、城の者に呼ばれる。

ベリーとハナの所に案内するようだ。


案内され部屋に入ると、

ベリー・ハナ・シノが迎える。

俺が座るとハナとシノが深々と俺に頭を下げた。


シノが耳打ちされながら発言する。


「狐族、助けられず、申し訳ありません。ベリー殿、姿偽る目に合わせた。申し訳ありません。」

うん、言いたいことは分かるぞ。


「謝罪は受け取った。それで、西のゴブリンの討伐とさらわれた女性を取り戻したい。」


「今、ヤマトの王、帰ってくる。協力して取り戻したい。」

シノが答えた。シノが答える係何だろう。


「いつごろ帰ってくるんだ?」


「3日前後。」


「分かった。それまでにこちらの準備を整えたい。他に要件は無いよな?」


「無い。」


俺はシノの片言言葉に苦笑しつつ、ベリーと一緒に城を出る。


「ベリー。大丈夫だったか?」


「大丈夫だったわ。逆に謝られたのよ。」

良かった。ひどい目にあうことは無いだろう。


俺たちがウォール達の元へ戻ると、ベリーが俺の後ろに隠れる。


「ウォール、今後ろにいるのがベリーだ。今まで事情があって、狐族であることを隠して生きる必要があった。」


「うむ。分かった。西のゴブリンの件はどうなった?」

ウォールはあえて深く聞かず、気にしないそぶりで接した。

ウォールの気遣いだろう。


「3日前後でキュウビと闘っていた王が帰ってくる。それからこっちと協力して救出する流れになった。」


「今日と明日はここで魔物狩りをし、明後日は皆を休ませよう。」

「ああ。それで頼む。俺たちも討伐するぞ。」


俺とベリーはウォール達の隊と少し距離を取って、魔物を狩ることになった。

俺が魔物を呼ぶペースにみんながついてこれないらしい。


俺とベリーはその日魔物を狩りまくった。


その日の夜。

ログハウスで夕食を取るタイミングで俺は切り出す。


「ベリー。」


「何よ。」


「ヤマトの件が全部終わったら、結婚してくれ。」


「え?誰と誰が?」


「俺とベリーで結婚したい。」

俺はベリーをじっと見つめる。


「わかったわ。」

ベリーがまた泣き出す。


ベリーが俺に抱き着いた。

思えば、ベリーから抱き着いてくるのは、これが初めてかもしれない。


俺とベリーはいつものように眠ったが、次の日からベリーの機嫌がさらに良くなった。






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