5.スマーフで俺TUEEE
俺はニートなので時間は有り余っている。
今日もアースレジェンドにログインする。
キャラを選択する。
今回はビーストにしよう。
味方2人も選択する。
普通にゲームが始まる。
俺はいけると確信した。
特段ケンカもなく普通にゲームが始まった。
味方は良識ある普通のプレイヤーに違いない。
粛々とプレイすれば結果がついてくるはずだ。
俺たちは進軍する。
敵がいない。
隠れているのだろうか。
固まっていても捜索の効率が悪いので、バラけることにした。
俺は森の中を探す。
突然、手裏剣を投げるアサシンが飛び出してきた。
敵だ。
俺はすかさずビーストを操作するが・・・アサシンが人智を超越した動きを見せて俺のビーストを瞬殺する。
俺は目を剥いた。
何だ今のは。
明らかに3ランクくらい格上の動きだ。
動きの滑らかさとコンボの繋ぎが段違いだった。
敵のアサシン一人に順番にボコられて俺たちは負けた。
格が違うとはこのことだった。
試合後、味方の一人がチャットした。
「あれはスマーフだよ」
もう一人の味方も言った。
「上級者がサブアカウントを作って、低ランク狩りするんだ」
「何のために?」
俺は聞いた。
そんなことをしても腕は上達しないだろうに。
「低ランク帯で俺TUEEEしてストレスを発散するんだ」
俺たちはストレス発散のカモにされたらしい。
「この手の対戦ゲームならどこにでもいるよ」
「運営は対策してくれないのか?」
「サブアカウントは規約違反じゃないからね」
確かに俺もこのアカウントは3つ目だ。
堕天使ルシフェル3だ。
つまり対策のしようがないのだ。
「事故だと思って諦めるしかないんだ」
「そうか」
味方は達観しているようだ。
だがそんな理不尽なことがまかり通ってたまるか。
俺は決意した。
俺も上級者になった暁にはスマーフして俺TUEEEしよう。