4.聖天使猫姫
俺はアカウントを再作成してアースレジェンドにログインした。
俺のプレイヤーネームは『堕天使ルシフェル3』になった。
早速ランクマッチを選択する。
俺は初心に戻って斧ゴリラたるバーサーカーを選択する。
他の2人はサムライとプリーストを選択した。
プリーストのプレイヤーネームは『聖天使猫姫』と記載されていた。
試合が始まると、サムライがプリーストにチャットしていた。
「きみ女の子? どこすみ?」
試合中にナンパしてんじゃねえぞドグサレが。
聖天使猫姫とかいう名前のヤツがリア女なわけねえだろ。
「ねえちょっと遊び行かない? 俺こう見えて外資系なんだけどさ」
プリーストに無視されたサムライは自己アピールを始めた。
外資だから何なんだよ。
試合しろよ。
サムライが棒立ちで3デスしながらアピールを繰り返している間、俺たちはどうにか2対3で勝てないかと奮戦したが無駄なあがきだった。
「レポートしますね」
試合後、プリーストがそう言い残して落ちた。
「外資の俺に楯突いていいの? 謝れば許してあげるよ? だから会わない?」
外資外資うるさいので俺もサムライをレポートした。
ログアウトした俺はネット掲示板に書き込みをした。
『サムライって頭おかしいやつしかいないの?』
すぐにレスがあった。
『そうだぞ』
『サムライ使いは全員頭おかしい』
『サムライが来たらドッジする』
どうやら常識らしかった。
ちなみにドッジとはキャラ選択画面でゲームクライアントを強制的に落として対戦を回避することだ。
マナーは悪いが違反ではないとされている。
ただしドッジすると次の対戦の際に数十分待たされるというペナルティがある。
面倒なので俺はドッジしないが、サムライ使いは頭がおかしいと学習した。