14.氷の壁
俺は今日も両親がいないので好き放題アースレジェンドをプレイすることにした。
堕天使ルシフェル5でログインする。
もちろんいつも通りランクマッチだ。
ノーマルはぬるい。
殺気が飛び交い、一瞬の油断が死に繋がる戦場でこそ、腕が磨かれるのだ。
キャラクター選択画面で、俺は手裏剣を投げるアサシンをピックした。
どうやらアサシンはスマーフ御用達のようで、使いこなせれば非常に強いらしい。
俺もこいつを極めたい。
味方はアーチャーとアイスバードをピックした。
アイスバードは氷の鳥だ。
とりわけユニークなのが氷の壁を出現させるスキルで、これで敵の逃げ道を塞いだりできるのだ。
面白そうだ。
試合開始。
俺は一人で森に潜入して、迂闊な敵をキルしようと試みた。
しかしバレた。
俺は敵3人に追いかけられた。
なあに、問題ない。距離は充分にある。
さっさと逃げればいいのだ。
ニョキッ!
いきなり目の前に氷の壁が生えた。
は? 何?
おいふざけんなよ!?
俺は逃げ道を失ってボコられて死んだ。
「おいてめえふざけんなよ。わざと逃げ道を塞いだだろ」
敗北した俺はアイスバードにチャットした。
「手元が狂ったんだ。悪かった」
「そうかよ」
こいつが故意にやったと証明はできない。
俺は泣き寝入りをするしかなかった。
次の試合で俺はアイスバードをピックした。
ニョキッ!
ニョキッ!
ニョキッ!
俺はひたすら氷の壁で味方の進路を妨害するプレイに勤しんだ。
とても楽しい。
こんな遊び方があったとは思わなかった。
上手く進路を塞いで味方をキルできたときの充足感といったら。
アドレナリンドバドバである。
今後、一日一回はこれで遊ぶことにしよう。
「てめーわざとだろ!」
味方がイチャモンつけてきた。
だが抜かりはない。俺はすでに学習している。
こう言い訳すればいいのだ。
「手元が狂ったんだ」
「何回狂ってんだよ。どう見ても意図的だろうがゴミカス」
「わざとじゃねえっつってんだろうが雑魚。レポートすんぞ」
「黙れよトロール野郎。こっちこそレポートするぞ」
「しね」
「カス」
「report plz」
「uninstall plz」
俺はVRゴーグルを投げ捨てると、気を落ち着けるために風呂に入った。
さっぱりして戻ってきたら画面にメッセージが表示されていた。
【あなたのアカウントは停止されました】
ふざけんじゃねえぞ。
手元が狂っただけでBANすんのかよ。
やっぱりクソ無能運営だわ。




