幸せな人生の為の転生者狩り
何も存在しない世界と世界の狭間選ばれし者のみが来ることが出来る神の領域
この神の領域の一角、ここはパッと見30~40ぐらいの黒髪の無精髭を生やしたおっさん様な神が管理する区域である
そこにはそこを管理するおっさんとビッチの様な「ぼんっ、きゅっ、ぼんっ」の神の二柱の神がいた
「貴方、なんのつもり」
「君こそなんのつもりだ…」
虚空にポツンと浮き出た玉座に腰を下ろし呆れたようにおっさんは問うた
「なんのつもりかって?フフッそんなこともわからないの?まぁわざわざ貴方に言う必要もないでしょう、貴方こそなんのつもりで私の世界に異物を送ったのかしら?」
傲岸不遜に腕を組み怒気を含んだ声でビッチは問う
おっさんは鋭く睨み付け声を張る
「君の考えを俺は察したからな…もう一度問おう、なんのつもりだ…!まさかとは思うが終焉戦争を起こそうなどと考えてはあるまいな…!?」
「…あら、気付いていたのね…」
「貴様ァ!!」
おっさんは立ち上がりビッチの首を鷲掴みする
「そんなことをしても良いと思っているのかしら?貴方はよく分かっているわよねぇ、神と神の殺し合いは御法度だってことくらい」
艶かしい仕草で嘲笑う
「糞ッ!」
首を掴んでいた手を離し玉座へと戻る
「それで良いのよ」
「なぜそんなことをする…答えるのだ」
底冷えする程の殺意を込めて問うがそんなものは意味がないと、まるで醜い豚を見下す様な笑顔で答える
「邪魔だからよ、貴方や他の神全てが…神は一柱で良いのよ、そう、最も美しく最も強い世界も所有する私の様なね」
おっさんは諦めた様にため息をついた
「そうか…君がその気ならしょうがない全力で我々も対抗するまでの話だ、気付いていると思うが君が自分の管理外の世界から自分の世界へと送る様に我々も自分の世界から君の世界へと戦力を送る君の世界を内側から破壊させてもらうよ」
「やれるものならやってみなさいな、自分の管理外の世界に送ったところで大した能力なんて与えられ無いことくらい貴方が知らない訳では無いでしょう?それにそんなことをしても良いのかしら?それは『神々の法』に違反している筈よ」
顔色一つ変えずに言い放つビッチに反論を唱える
「君こそ違反しているじゃないか、他の世界の住人を引き込んでいるのだから、それにその法はあくまでも世界の中に入ってはいけないだけであり外からなら問題ない筈さ」
何を言われてもやはりビッチは動じない
「それなら私も同じね、世界から外れた子を拾っているのだもの問題なんて何にもないわね」
言い争いは常に平行線、もうどう足掻いても会話で決着がつく筈も無く二柱の神は口を開くのを止め静寂がこの何も存在しない世界を包む
そんな静寂を切り裂きおっさんは言う
「あぁ全く……どうなっても知らないぞ」
「ええ、楽しみにしていて頂戴」
そう言ったビッチの姿は消え失せた
「元……いやゲン、お前に全てが掛かっている後は任せたぞ」
その言葉は誰に届くわけでも無く静寂の世界に溶けていった……
前回の続きは次回から
今回は裏話的な感じです