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カサ泥棒

『カサ泥棒』

 どこの学校にもいるんじゃないかな? いや、学校に限ったことじゃないか。

 ビニール傘とか置いておくと、すぐなくなっちゃう。この前なんて持ち手のところにネームシールが巻き付けてあるお父さんのを持ってきたのに。


 犯人が誰かまでは分からないけれど、傘入れ付近に無残に剥がされたネームシールがポトリと落ちていた。


 だったらもっと特徴的な傘を持てばいいんじゃないって?

 お母さんもそういって、可愛い花柄の傘を買ってきてくれた。

 キャラじゃないって分かっていても、まぁお母さんが買ったやつだし! と自分に言い訳しながら持って行ったこともあった。


 けれどカサ泥棒はまたしても私の傘をパクっていったのである。


 しかも折り畳み傘に変えても、変わらず犯行を繰り返す。


 なのに毎回毎回、翌日には元の場所に返してあるのだ。

 ネームシールが巻かれていた傘に至っては新品の傘に私の名前が書かれたシールが貼られていた。


 そのせいで今日も私は親切な幼馴染に入れてくれと頭を下げなければいけない。


「また盗られたのか? ツイてないな」

「なんでいっつも私のなんだろう……」


 そう愚痴りながら、大きめの傘に入れさせてもらう。


 中学に上がった直後は『相合傘』なんて揶揄われもしたけれど、いつしかそんなしょうもないことで揶揄ってくる男子はいなくなった。それどころか最近では「お前も大変だな……」なんて憐れみの視線を向けてくる。


 雨が降る度に傘を盗まれる私に同情したのかな?

 そろそろレインコートを買おうかな~なんて話ながら、今日も雨の道を幼馴染と2人で歩くのだった。

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