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アロットロールゲイン  作者: 池金啓太
十九話「世界は動く、まだ見ぬ先へ」

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「検査ってことは、行くのは俺だけでいいってことですか?」


「ぶっちゃけて言えばね。一応僕も同行するつもりだよ。さすがに高校生一人でドイツ一人旅は危ないからね。全員を連れていってもいいけど、本当に君の検査だけだから他の人は完全に暇になっちゃうのが注意点だね。その場所の周りってほとんど何もないから暇つぶしもできないし」


 観光でもできるならばと考えていたが、どうやらそういうこともないようで周介は迷ってしまっていた。


 ラビット隊全員を連れていくのも手だが、さすがに周介の検査の為にそれを強要するのも申し訳ない。


 何せほかの面々にだって生活があるのだ。特に玄徳などは社会人として仕事をしている。そんな人間をただついてきてほしいなどという理由で連れまわすのは問題だ。


 とはいえ海外に行きたいという意見が出れば連れていくこともできる。であればこの場でそれを決めることもない。


「一応全員に話してみて、それでもついてきたいっていう奴がいれば連れていくことにします。それでいいですか?」


「うん、構わないよ。ただ誰を連れてくるかは早めに教えてほしいかな。チケットを確保するとかの話もあるからさ」


「あー……ちなみにそれっていつの話なんです?来月……来年とか?」


「いいや?来週」


「来週!?」


 海外に行く予定をその前週に伝えるというのは社会人としてどうなのと周介は呆れてものも言えなかったが、ドクはこういう人だったということを思い出して項垂れる。


「来週ですか……あの、また学校休まなきゃいけない感じですか?」


「ごめんね。休むのは一日くらいで済むと思うから。君の目と脳のあたりは本当にちゃんと解析しておかないとまずいんだよ。そのあたりはわかってほしい」


「……もう赤目状態にもだいぶ慣れてきたんですけどね、それでもダメなんですか?」


「ダメだね。状態をちゃんと確認しないと大丈夫なのかどうかも判別できないんだから。今の状態は医学的には大丈夫とわかっていても、能力的にはまずいかもしれないんだから……いや、医学的に大丈夫かも確定はしてないんだけどね」


 周介の状態は眼球と視神経、そして視覚をつかさどる脳の一部が変質しているのだという。とはいえ周介の日常生活にそこまで変化はない。変化はないと言うか異常はないといったほうがいいだろう。


 日常生活に支障がないため、そこまで気にはしていなかった。過剰供給状態を引き出して使うことにも慣れてきている。まだ長時間は難しいが、それでも発動に支障はなくなっているのが現状だ。


 とはいえ、今の周介の状態が危険ではないという保証はないのだという。ドイツのその研究施設にけばそう言った危険がわかるかもしれないのであれば行ったほうがいいのはわかる。


 だが来週というのはずいぶん急な話だった。


「ドク、せめてそういうのってもうちょっと早く言ってくれません?」


「ごめんごめん、例の選抜を急いだ関係でそっちが疎かになっちゃってたのは謝るよ。とはいえ必要なことだ。一応時差とか考えて三日から四日程度を予想してる」


 日本とドイツの時差は約八時間。こちらが朝八時でも向こうでは深夜の零時という計算になる。


 日本とドイツ間における飛行時間は一般的に十二時間。しかもそこに時差も加わるため、現地を出発して丸一日近くが日本では経過してしまう計算になる。


「丸一日検査って感じですか?」


「まさか。一日で終わるほど楽な検査じゃないと思うよ?丸二日くらいかかるんじゃないかな?」


「……それだと移動手段的にきつくないですか?確かドイツって半日近くかかりますよね?」


 周介は以前飛行したことがあるためそのあたりを理解している。一般的な航空機の速度でもその程度時間がかかるのであれば、どう頑張ったったって一日以上検査でかけてしまえば三日では帰ってこられない。

 だがドクはにやりと怪しい笑みを浮かべる。


「大丈夫。交通機関を使うといっても、基本的な空港を経由するってだけの話で、乗る飛行機そのものがちょっと特殊なのさ。実験機だけどね」


 やっぱりそういう話だったかと周介は眉を顰める。万が一事故が起きた時にでも対応できるような人選の時にそういう有人飛行テストをしたいという話なのだろう。


 それがスポンサー関係の話なのかはともかくとして、こういう話を当たり前のように持ってくるのがドクの怖いところだ。


「というわけで、一般的な旅客機だと……直行便で十二時間くらいだったかな?それが……大体三時間くらい?になるのかな?」


 簡単に言ってのけているが、一般的な旅客機の速度は音速を超えないギリギリの速度、所謂亜音速帯で運行している。


 それで十二時間かかっているのに対し、三時間程度、四分の一程度の時間ということは、音速の四倍近く、マッハ四程度の速度で運行する可能性が高いということである。


「実験機って言いましたけど、それ大丈夫なんです?」


「大丈夫大丈夫。そのあたりは君達ならどうとでもなるさ」


「落ちることを前提にしないでほしいんですけどね……みすずに俺らの未来を見てもらおうかな……」


 今こうして訓練をしている未来を見通せる少女の力を借りようとも考えた。これで落ちる未来が見えたら間違いなく出国拒否することになるだろう。ドクとしても苦笑いするしかなかった。


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