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アロットロールゲイン  作者: 池金啓太
二話「手を取り合うその意味を」

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「いやぁさっきはやばかったな。警察沙汰を見るの久しぶりだったからびっくりしたわ」


「結構職質とかはあるんだけどな。あのクラッシュは見事だったわ。犯人案外ぴんぴんしてたしな」


 警察に取り囲まれた状態でも、先ほどの犯人はまだ暴れていたように見えた。思い切り事故を起こしたというのにそれだけの元気があるというのは良いことなのかどうかは周介たちには分らなかった。


 特にあれを起こした張本人である周介からすれば、あの行動が正しかったのかはわからない。


 一つ間違えば死人だって出ていた。軽率な行動であったと、周介は今になって冷静になって自分の行動を強く反省していた。


 確かに苛立ちを覚えた。自分の好きなように行動して、誰かを傷つけて、自分だけが得をしようとしたあの行動に強い憤りを覚えた。


 そして気づいたらあのような行動をとっていた。


 周介の目が蒼く輝いたところは誰も見ていないだろう。幸いにして周介自身が目元を押さえてたからか、あるいは逃げ去ったひったくりに目を奪われていたからか誰も周介の方を見ていなかった。


 次はないかもしれない。何より、人が死んでもおかしくなかったし、他の人に被害が出ていたかもしれないのだ。


 暴走したバイクが他の人に当たる可能性もあった。転倒し、衝突した犯人が死亡していたかもしれなかった。


 それだけの能力を周介はすでに有してしまっているのだ。自分の思うが儘に行動してしまえば、先ほどのひったくりと何も変わらない。


 昔映画で見た、大いなる力には大いなる責任が伴うという言葉を思い出した。周介は力を得てしまった。


 望む望まないに関わらず、周介はもう力を手に入れてしまったのだ。そしてその力は、その気になれば人を簡単に殺すことができる。


 幸いにして、周介の能力は直接人を傷つけるものではなかった。だがそれでも先ほどのようなことができてしまうのだ。


 危険な力だ。使うべきではない力だ。周介は自らの中で未だ続く興奮を落ち着かせながらゆっくりと息をつく。


「でも東京怖いな。まさか日中にあんなのが起きるとは。さすが都会だ、コンクリートジャングルは伊達じゃないぜ」


「そのうちマフィアとかの抗争が起きたりしてな。拳銃打ち合って思い切り殺しあうみたいな感じ!」


「龍が如くみたいだな。実はキムタクもそういう勢力に入ってる感じ?若頭的な?」


「やめろぉ!俺の思い出のイメージを汚すな!ゲームとはいえさすがに無理なんだよあれは!スケボーとか!レンジでチンとか!」


「結構やってるじゃん。普通に楽しんでるじゃん。あれはあれでありだと思うけどな。この辺りはその舞台って感じじゃないよな」


 ゲームの話になったところで、周介は周りの建物を見て、この辺りの建物はまだ比較的低いのだなと思う。


 スカイツリーから見えた遠くの景色にはもっと高いビルがたくさんあった。見上げなければ上の方が見えないほどの高さの建物が、文字通り山のように連なっていた。


 人が作り出した山脈のようにさえ見えたその光景と、今周介たちが見ている光景はまた違うものだった。


「次どこ行くよ?スカイツリーは制覇したし、秋葉原に乗り込むか!?メイド喫茶行っちゃうか!?」


「お前ずっと楽しみにしてたもんな。しょうがない、俺は行ってもいいけど、どうする?」


「小遣い少ないからさすがにぼったくられるのはなぁ……それだったら武器屋に行きたい。秋葉原にあるんだろ?」


「あぁ、勇者の剣とかヒノキの棒とかが売ってる店か。確かに行ってみたいな……どっちにする!?俺的にはどっちもあり!」


 秋葉原に行くのを楽しみにしていた友人はメイド喫茶でも武器屋でもよいようだった。メイド喫茶も純粋に気になるが、武器屋も心躍るものがある。


「いっそのこと両方行くっていうのもありだけど……たぶん両方行ってたら他の場所に行く余裕がなくなるからなぁ。どっちかだな。さぁどっち!?」


「うん、どうするか。コインの裏表で決めるか?」


「いや、お前それで結構裏表操作できるだろ。もっと別な……そうだ、あれで決めようぜ。あの店から次出てくる人が男だったら武器屋へ。女の人だったらメイド喫茶へ」


 友人が指さした先にあるのは甘味処だった。和風の小豆系の甘味が有名なところなのだろうか、かなり繁盛しているように見える。


 だが表から見える限り、ほとんどが女性客だ。


「お前ざけんなよ!絶対お前メイド喫茶に行きたいんだろ!正直に言いなさい!メイド喫茶行きたいんだろ!」


「あぁ行きたいよ!悪いか!男がメイドに夢を見て何が悪い!偽物だろうと俺はメイドさんに接客してほしいんだ!」


「こいつぶっちゃけやがった!別のだ別の!そんなので決めたら間違いなくメイド喫茶に」


 そんなことを話していると件の甘味処から男性客が数名出てくるのが見えた。


 三人連れの客は、満足した様子で甘味処から出ていく。


「くそがぁああぁあああああぁぁぁぁああぁ!!」


 そしてメイド喫茶に行きたがっていた友人はその場に崩れ落ちた。


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