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『あと五百メートル。おそらく視界に収められるかと。グラウンドのような広場があると思われます。そちらにトラクターなどと一緒に人がいる場所が合流地点です』
「了解……確認した。これより降下する」
周介の視線の先に、確かにグラウンドのようなものに何やら機材のような物体と、何人かの人がいるのが確認できる。とはいえかなりの高さからであるために細かい人数などは判別はできなかった。
「こちらラビット01、02、聞こえるか?」
『聞こえてる。どうぞ』
「今こっちからそっちが確認できた。そっちから見て南西の方角にいるヘリだ。あと数十秒でそっち着くぞ」
周介は徐々に降下しながらその場所へと向かっていく。そしてその直上に到着するとかなり高度を落としていく。だがそうして距離を縮めていくと妙な感覚がある。いや、自分が動かせる物体があることに気付く。
能力によって回転させられるものを感知した周介は、それを確認しようと下の方を向くが、ヘリの窓ガラスの関係上それを見ることはできなかった。
『こちらドク、ラビット01聞こえるかな?』
「聞こえていますよドク。下にあるのなんなんです?なんか物体っぽいですけど」
『さっそく気づいてくれたようで何より。それがさっき話したそのヘリにドッキングできる後付け搬送用の機材さ。ヘリのフレームと接続できるようにしてある。接続方法はアームだ。君の慣れてるやり方だから難しくはないだろう。その機材の真上に着陸するような形にしてくれれば大丈夫だ。方向はもう君のチームメイトに教えてあるから誘導してもらってくれるかな?』
「……随分と用意周到ですね。こうなると予想してたってことですか?」
『そんなことはないさ。他にもたくさんいろいろ作っているよ?その中の一つがたまたま役に立ったってだけの話さ』
ドクの用意周到さには周介としては感嘆するばかりだが、個人的にはあまり良い気はしない。
いいように使われるという意味もあるが、同時にうまく流されているのではないかという感じもあるのだ。
だが今はそうも言っていられない。下にいる誰かに機材に合うような形でヘリの向いている方向を指示してもらわなければいけないのだから。
「02、ドクの言ってた機材とドッキングするから方向指示してくれるか?」
『もう03が動いてる。あいつのいる方角をヘリの正面に向けて』
既に誘導を終えているという事実に周介は感心しながら周囲を見渡す。玄徳のいる方角を確認するとそちらを正面に向けるようにヘリを動かしていった。そして機材の直上に移動してゆっくりと機材の真上にヘリを降ろしていく。
近づくにつれ、その機材の周介が干渉できる部分がわかってくる。機材の部品の中に動かせる物体がいくつあるのか、そしてどのような構造なのかを判別していき、それがドクの言ったように操りやすいアームであるということを知ると周介は下にある機材を操り始めた。
下で待機していた他のチームは驚いたことだろう。唐突に機材が動き出し、上部部分のフレームが開いたかと思えばアームが現れたのだから。
その機材は、一見すると船のような形をしている。空気抵抗を可能な限り受けないように流線型をしているのだろう。
底部が船の船底彷彿とさせる流線型をしており、上部はヘリとドッキングするためのパーツがいくつも付けられている。アームもそのうちの一つだ。
周介の操るヘリがアームが届く範囲に入ると、アームがヘリのフレームの一部に触れる。
「さて?どこをどうすれば繋げられるんだ?ドク、向きはそろえましたけど、どうすればいいんです?」
『えーと、口では説明が難しいな……もうそのまま乗っちゃっていいよ?ヘリの形とうまく合う場所があるはずなんだ。あとはそのアームをヘリに抱き合わせるような形で、ジョイント部分がヘリにあると思う。そこにアームを合わせるんだ』
「またいい加減な説明を……えっと?」
周介はヘリをとりあえず機材の真上に降ろす。揚力と重力がぎりぎりのところで釣り合う形でその上に乗り、機材から生えるアームを使ってヘリの機体を掴み微調整する。はまるところがあるということでそれらしいところを探していると、確かになにかがはまったような音がする。
『あ、オッケーだ、そこそこ!あとはアームでヘリを抱き込んで、部分的に凹みがあるからそこに接続するんだ』
「大丈夫なんですかこれ?えっと……これか?いやこっちか?もうめんどくさいな、外から見るか」
そう言って周介はヘリの外に出て外からジョイントを進めていた。ドクの言うように接続部分が存在していて、それらも回転によって接続できるようになっているためか接続作業は手早く終えることができていた。
「こちらラビット01、搬送用パーツとの接続完了。あとは移動ですね?」
『その通りだ。いやありがとう。これで僕が作ったパーツがいろんな役に立つんだよって上役に説明できるよ』
「そういうことはまた別のタイミングでお願いします」
要するに自分が作った半分趣味のようなものが実践でも使えるのだということを証明したいが為にこういうことをさせたのだろう。
相変わらずだなと周介は呆れてしまっていた。




