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アロットロールゲイン  作者: 池金啓太
番外編『世界の垣根を超え崩す』

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「ここは俺の召喚獣が片づけておくから!お前ら二人は行け!」


「頼んだ!05行くぞ!」


「はい!」


 05と06が高架橋の下に飛び降りるとその姿がいやでも目に入った。


 そこにいるのは巨大な機械だ。長い胴体から生えた無数の多関節の腕を使って器用に歩き回り、巨大な蛇と鳥を混ぜたような外見の生物を掴んで押さえつけている。


 その蛇も胴体が非常に長い。長さは五メートルほどだろうか。いくつもの腕を使って完璧に押さえつけているが、その機体は既に外装が損傷している。


 よくよく見れば、その動物も能力を発動しているようで、胴体から白く輝く鞭のようなものが発現し機体に何度も叩きつけられていた。


 一撃一撃がそれなり以上に重いのか、それが叩きつけられるたびに機体が悲鳴を上げているのがわかる。


 あのままでは長くは拘束できないだろうと05と06は察していた。


「あれだ!θを出してるってことは近くにいるのか?」


「なんでもいい!あの蛇みたいなの捕まえるぞ!」


 その場にいるように見えているのは機体だけだ。それ以外の、肝心の人物の姿は確認できない。


 いったいどこに行ったのか。機体に乗り込んでいるのか。あるいは別の場所で集中して操作しているのか。索敵能力を持たない二人はその辺りを状況から判断するほかなかった。


 迷っているような時間はない。早い段階で攻略しないとまたどんな無茶をしだすかわからない。


 ある種の強迫観念を受けながら、05と06は巨大な機体が押さえているその蛇のような、鳥のような生物目掛けて突撃していく。


 巨大な機体に押さえられている状態でも、二人のことを脅威に感じたのか、その体から白く発光する無数の鞭がその攻撃方向を変える。


 鋭く放たれた鞭の一撃を回避しその懐に潜り込んだ06は機体に押さえつけらえている胴体に掴みかかり、思い切り拳を叩きつけた。


 だがその肉体の鱗と筋肉によって拳が跳ね返されてしまう。硬いわけではない。強いわけでもない。だがどうにも攻撃しにくい体だ。


 そして弾かれて体勢を崩したところに、再び白い鞭が襲い掛かり06は弾き飛ばされてしまっていた。


 巨大な体だけあって簡単にはやられてくれそうにない。強化の力も若干ではあるがかかっているのか、単純な力だけでこの蛇と鳥の混合生物を倒すのは苦労しそうだった。


 単純に殴れば済むのであれば楽だろう。だが白く光る鞭を掻い潜りながら、なおかつ致命打を一撃で与えなければいけないのは面倒なことこの上ない。


「05!また炎で焼けるか!?」


「大丈夫です!けどこの機体に兄さんが乗ってたら……!」


 万が一この機体に人が乗っていた場合、炎の熱で多少なりともダメージを与えてしまうかもしれない。

 周辺の被害を減らせても、身内に怪我をさせては本末転倒だった。


『俺はそこにはいないぞ。早くそっちを片づけろ』


 そんな危険を考えていたのも無駄だと言わんばかりに、無線から聞こえてくる声に二人は愕然としていた。

 この場所にいないのであればいったいどこに。そんな疑問は今は置いておくほかない。


 早々に片づけて、今どこにいて何をしているのかを確認しなければならない。


 彼らはラビット隊の盾であり、矛であるのだ。誰よりも前に行ってメンバーを守らなければいけないのにその守るべき存在の位置が分かりませんなど笑い話にもならない。


「あぁもうあの人は本当に!マジでどこにいるんだよ!?」


「とにかくこいつを片づけます!離れててください!」


 05の黒い毛が異形の生物に巻き付いていく。そして毛の一部から先ほどと同じように炎が発生し始める。


 唐突に火が発生したことで、先ほど以上に激しく暴れ、能力によって辺りを攻撃していくが、それらすべてを異形の生物を取り押さえる巨大な機械が防ぎきっていた。


 装甲が破損していくも、破壊するまでには至っていない。ところどころから蒸気が噴き出してるのは、機体の限界以上の力を受けているからだと05は気づいていた。


「強化も若干入ってる!火力上げないと焼き尽くせないぞ!」


「了解!なら……!」


 相手の肉体に若干ではあるが強化がかかっているためにただの炎ではなかなか焼き切れない。ならばと05は生み出し続ける体毛を異形の生物の口元へ導いていく。そして口の中に体毛を突っ込むと、体内で大量の炎を顕現させた。


 体の外からではなく、体の内側から炎で焼くことにしたのだ。


 先程の変貌能力に対してのそれと同じだ。外側が強くできても、内側が弱いのは変わらない。いくら強化で耐久力を上げていたとしても、内臓部分の強度を上げるのには限界があるはず。


 その目論見はおよそ正しく、多量の炎を出すことによって異形の生物は暴れ回るが、数十秒もすると動くことができなくなり、完全に息絶えていた。


「よし……こちら05、二匹目も処理完了しました。兄さん!今どこにいるんですか!?」


『ビルド隊の援護に行ってた。こっちも終わったよ。後片付けだ。周辺状況の確認と被害確認。04、周辺警戒頼む』


『了解しました』


 いつの間にかビルド隊の方の援護に向かっていたのかと、05は大きくため息を吐いてしまう。


 前衛組が苦労している間に二つの現場を移動してほぼ同時に対応しているその行動力と対応力は褒められるべきなのだろうが、正直褒めたくないのが05達の本音だった。


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