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アロットロールゲイン  作者: 池金啓太
三話「外れた者の生きる道」
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 首都高を走り続けていると、周介は何度か工事を行っているような人物たちの姿を見ることができる。


 より正確に言うのであれば、首都高内にいくつか設置されている退避用の空間に車両を止めて何やら準備をしているのだ。


「メイト15、首都高の脇のところになんか工事っぽい人がいるんですけど、あれはうちの関係者ですか?」


『確認します。少々お待ちください…………確認が取れました。彼らはビルド隊のメンバーですね。そこから先のところに分かれ道や出入り口があるために、減速を促すためのチームだそうです』


「減速……ああぁそっか。いきなり現れても止まり切れなかったりするもんな。そういうチームが何人も配置されているんですね」


『そうです。万が一事故などがあった場合も彼らが対応を』


「ビルド隊って一体どれくらいいるんですか?なんか何度もすれ違ってるんですけど」


『ビルド隊は小太刀部隊の中でもかなりの勢力です。建設に向いている能力はかなりあるので、一時的にとはいえ高い効率での拠点構築を……次の分かれ道は左へ。レーンの左側を進んでください』


「了解です。首都高っていうから結構車が多い印象でしたけど、そうでもないんですね」


 周介は車の間を縫うようにして車線を変更していきスムーズに移動していく。少なくとも現状、まだ深夜には早い時間帯で、車はそこそこしか走っていない。


 周介の勝手なイメージだが、もっと僅かな隙間を奪い合うかのように車が行き交っているのを想像したのだが、そんなことはないようだった。


『時間帯に関してもそうですが、今回に関しては主要の企業などには事前通達していたため多少混雑は緩和されているのでしょう。現在トラックなどとは接触していないのでは?』


「あぁそういえば。そういう根回しって大事ですね。すごく運転しやすいです」


『平時はこのようなものではないでしょう。週末ともなればなおさらですね。それではそのまま』


『ちょっと失礼、アルファ01、バイクの調子はどうだい?』


 無線に割り込んできたドクに周介は目を細めながら自分が運転するバイクの感覚を一つずつ確認していく。


 回転させているタイヤ部分も、発電部分も、そしてハンドル、車体など一つずつ確認していくが変なところは今のところはない。


「今のところ異常はありません。何か気になることでも?」


『初めて車道に出て、しかも長時間ずっと普通に走るっていうのはなかなかなかっただろう?今まで使っていなかった部分の筋肉も使っているはずだ。そういうところにも気を付けてみてほしい。自覚できていないだけで、いろいろと不調を感じているという部分もあるはずだ』


 確かに今まで訓練をしていて、これほど長時間バイクに乗り続けて、しかもずっと普通に運転しているということはなかった。


 単純に乗るだけではなく、訓練をしているとかなりアクロバティックな動きをするために常に同じ体勢でいるということは基本的にはない。


 普通のバイクと違って周介の場合はアクセルなどを使う必要はない。ただ回していればいいだけなのだ。


 ブレーキもその気になれば能力で何とかできるが、それでも限度というものがある。


 常に同じ体勢でいることに対して、周介は経験が薄い。特にバイクという体をそこまで動かさずに重心で操作するような機械は、普段使わない部分の筋肉を使うため負担になりやすい。


 ドクはそういった部分も気を付けているのだろう。


「今のところは大丈夫です。このまま何事もなければいいんですけど」


『何事もないってわけにはいかないだろうね。そのあたりは臨機応変に頼むよ。チームメイトの位置もよく把握しておいたほうがいいよ。メイト隊のみんなが把握してるから、しっかり連絡を取ってね』


「了解です。ありがとうございます」


 周介からすれば初めての連携だ。何が必要で、何をしなければいけないのかなどはあまりわかっていないことが多い。


 とにかく細かに連絡を取り合う必要があるだろうと周介は無線に耳を傾けていた。


『まぁそう硬くならなくてもいいと思うけどね。あたし今普通に休んでるだけだし』


 無線を聞いていたのか、瞳から周介宛に連絡が入る。どうやらどこかで休んでいるようだった。

 作戦が始まるまでは待機しているというのも十分ありなのだろう。


「02は首都高で動くのって初めてじゃないのか?」


『何回かあるからそこまで緊張とかはしないかな。それに、あたしはあくまでフォロー役だから。他の連中の声も聞いておいた方がいいと思う。特にアイヴィー隊とかは』


「あぁそうだな。メイト15、アイヴィー隊は今どこに待機してるんですか?」


『今彼らはミーティア隊と見通しのつく場所にて待機しています。万が一何かがあった場合即座にその場に向かえるように準備を整えている状態ですね』


 他のチームも着々と行動をとっているようだった。そんな中こうして首都高を走り続けている周介。自分もほかに何かしたほうがいいのではないかと思えてしまう。


 だが周介の役割的には目標が現れてからが重要になる。


 今ここで変に動くのは逆に迷惑をかける結果にもなりかねないと、周介は焦る気持ちを少しでも抑えようとゆっくりと深呼吸していた。


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