■ 四条1・東 ■
大変遅くなりましたが続きです。
読んでくださっていた方には大変申し訳ありません。
必ず完結させます。
浜大津からの直通電車に乗り京都市役所前で降りた朋夏は、少し歩いて河原町三条からアーケード街に入っていく。さて、何処で時間を潰そうか。アーケードの入り口からはカラオケ、飲食店、薬局、コンビニなどが目についたが、あまり時間を潰せそうな場所が見当たらない。三条通りのアーケードをしばらくまっすぐ歩いていくと、出口のすぐ手前から左手にもアーケードが伸びていて、さらに奥、大きな動くカニのモニュメントが飾られたお店の正面にもうひとつアーケードが伸びている。アルファベットのFの字を逆さまにしたような形で、三条通とは垂直に、二つのアーケードが並行して並んでいる。朋夏はたまに服を買いに行く店が奥の寺町通りにあることを思い出して、そちらへ行くことにした。
広々とした店内には早くも夏服が売り始められていた。そういえば今年はまだ夏に向けて何も買っていなかった。可愛いシャツがあったら買おうかな。スカートも欲しい。あーでもない、こーでもないと悩んでいると、バッグの中のスマートフォンが振動する。慌てて店を出て確認すると、画面には昨日何度も目にした電話番号が表示されていて、このスマートフォンの持ち主である彼だと分かったので、朋夏は着信に応じた。
「もしもし?」
「あ、もしもし! すみません、昨日スマートフォンのことで電話をした南野です」
「あ、南野さん。……そういえば、名前言って無かったですよね、私、東山と言います」
彼の名前を聞いて、名前を教えていなかったことに気付いた朋夏はそう名乗った。
「そういえば聞いてなかったです。東山さんですね。えっと、今用事が終わって京都駅まで出てきたのですが、どこへ向かったら良いですかね?」
「私、今、四条の方にいるんですよね。分かりますか?」
「……いえ、分かりませんね」
「……ですよね」
地元の人ではない上に、よくよく考えれば今は調べようにもスマートフォンが使えないのだ。それはそうだなと思い、朋夏は夏服選びを諦めて京都駅へと向かうことにした。
「今から京都駅に向かいますので、少し待ってもらっても良いですか?」
「分かりました。何処かで時間を潰しています」
和也の返事を聞き電話を切った朋夏は、辺りを見渡す。ここから京都駅へ行くのであれば四条烏丸から地下鉄に乗るのが一番早いだろうか。そう思い、アーケードを南下して四条通りまで出て西へ向かう。方向音痴の朋夏だが、京都の大学に通い始めて何年にもなる上、高校時代にも買い物に出てきたこともあったので、この周辺だけはなんとか道を覚えていた。しかし、長年出歩いていても存在に気付かない店というのはあるもので、四条烏丸の交差点へ向かう途中、昨日東京で見かけたマイクロソフトの表計算ソフトのような名前のコーヒーショップが四条通りにもあることに初めて気が付いた。昨日食べたピッツア・アボルトは非常に美味しかったので、夏服でも買いに来るついでにまた今度訪れることにしよう。




